こんにちは、 昼飲み大好きのアカサカです!京都の美味しいお店を巡り歩いています。
さて、春の京都はなんといっても桜です!東京では早くも桜が開花したというニュースが飛び交っていますね。2017年の満開予想日は、京都が4月6日頃だそうです(桜の開花予想<第4回> 日本気象協会より)。
さて、京都の桜の名所の一つに京都御所がありますが、その近くに「京都の台湾」と筆者が勝手に呼んでいるお店があるんです。
それがこちらの「微風台南」さんです。「台南のそよかぜ」といった意味でしょうか。なんだかオリエンタルな雰囲気満載の外観ですね。
こちらでは台湾のお料理をいただけるんですが、現地の味を楽しめると評判です。台湾からの留学生や、台湾から京都へ観光で来た方も訪れるお店として有名。それもそのはず、このお店、実は「台湾人向けのお店」のつもりで作られたそうです。
台湾の方に来てもらえばいいと思っていたため、メニューにも当初は日本語の表記が一切なかったんだとか。ちなみに、今でもメニューは日本語メインではありません。日本人にもわかるように、説明やカタカナで振り仮名を入れてくださっているだけなんです。現地感満載すぎて、日本人のほうが逆に観光客気分になれそう。日本にいるのに。
スプーンが止まらない…甘辛味がたまらない「魯肉飯」
さっそくですが、ここに来たら絶対に食べてほしいのが「魯肉飯(ルーローファン)」。柔らかく煮込んだ豚バラ肉をご飯にかけたメニューで、台湾では定番の料理なのです!
これは中椀サイズ(600円)で、煮卵(80円)と油豆腐(80円)をトッピングしています。甘く煮付けられた豚肉は、口に入れると八角の独特の香りが鼻に抜けます。甘いお肉とご飯の組み合わせに、スプーンが止まらない……!ほろっと崩れるほど柔らかいお肉が本当にズルいです。
トッピングした煮卵はよく味がしみています。ご飯に混ぜて食べるとまた違った味わいに。油豆腐は日本でいう厚揚げのようなものでしょうか。これも味がしみていて美味しい……。少し甘めの高菜漬け(?)がアクセントになって全く飽きないのです。そしてやっぱりスプーンが止まらない。日本人の口に合うのに、どこかやっぱり異国の味です。
気づけば無言でかっ込み、ガツガツと一気に食べてしまいます。美味しすぎる。
こちらでは日本米を使用されています。台湾のお米は、日本で一般的に食べられているお米と同じだそうです。
ちなみに、+300円でおかずセット(スープ付)にできます。おかずはその日によって変わりますが。
お邪魔した日は「ジャコとピーナツ炒め」「キャベツと豆腐皮のお料理」「青梗菜の炒め物」でした。3種類も付いていて300円はうれしいなぁ……。スープはあっさり味で口がさっぱりします。
魯肉飯は小椀400円、大椀800円と選べるのもうれしいポイントですよね。筆者はこちらのお店を昼飲みにも使わせていただくのですが、締めには小椀がちょうど良いですよ!
意外な隠し味がヤミツキになる「麺線」
炭水化物続きで申し訳ないんですが、続いて紹介したいのは「麺線(ミェンシェン)」です。こちらはモツが入った「大腸麺線」(800円)。
いつぞや台湾グルメを紹介するテレビ番組で見かけて以来、「食べてみたい!」と思い焦がれていたのですが、微風台南で発見して「京都で食べられるんだ!」と感動しました。
麺線は日本でいうところのにゅうめん(煮麺)。だけど、とろみのあるスープは甘味とほんの少し酸味があります。麺は柔らかいんだけど伸びているわけじゃない、という絶妙なバランス。上にのったパクチーもあわさって、エスニックな香りが漂います。しみじみと美味しいなぁ……。
「麺線と一緒にお好みで」と出された黒いお酢。見た目から黒酢かと思いきや、香りがソースそのもの!聞くと「烏酢(ウース)」という、ウスターソースのお酢なんだそうです。そんなん初めて聞いた……!
烏酢はウスターソースの香りそのままで、少しお酢のツンとした香りがします。麺線のスープで感じた酸味は烏酢のものだそう。黒酢のようなクセもなく、日本人になじみやすい味だと思います。
このまま舐めてみても美味しいんですよ、烏酢。すっかりトリコとなってしまい、帰ってさっそくネット検索して購入しました……!肉料理にも炒め物にも使えるらしいです。
※微風台南では販売していませんのでご注意ください。
微風台南で出しているお料理は、台湾料理といっても台南料理。
甘くて味が薄いのが特徴なんだそうです。お店のお料理は、現地のものより少し具材を多めに使うなどして、味をしっかりさせているとのこと(スープのあっさり味はこういうことなのかと納得)。
町家をリノベーションした店内はだいぶノスタルジック
微風台南の店内は、こんな感じ。
雑貨類がたくさん並んでいます。どこか懐かしいけど、異国に来たような気分にもなりますね。
見上げるとこんなポスターが飾られてます。ノスタルジック…!
さりげなく並んでいるグラスも台湾っぽさ満点!
入り口すぐはテーブル席なのですが、奥は靴を脱いであがるお座敷席になっています。
古い町家をリノベーションしたお店とのこと。日本と台湾が混ざり合った雰囲気なんですが、台湾ではこういう作りのお店がよくあるそうです。日本のレトロブームのように、台湾でもこうした「懐かしい雰囲気」がちょっとした流行になっているみたいです。ちょっと親近感をおぼえますね。
メニューはこんなふうに手描きふうのイラストになっていました。かわいいメニューを見ながらお料理を選びます。
微風台南のオーナーさんは、もともとこの場所から2軒隣で「TEARS」というお店を18年もされていたそうです。TEARSでは、台湾だけでなくアジア各国の料理を出していたそう。そちらを一旦閉められて、今の微風台南のある場所へ移って来られたそうです。だからお店の名前も、上の写真からわかるように「微風台南 TEARSⅡ」というのが正式な店名なのです。
ご飯食べながら「ちょい飲み」は台湾ではめったにない
デザートをいただきながら、店主の平岡さんにお話を伺いました。
いただいたのは「鳳梨杏仁露(パイナップル入り杏仁豆腐)」(650円)。氷も入っているひんやり美味しいデザートです。お店で煮込んでいるというパイナップルが美味しい!風味も良くて、食べ応えもありつつ柔らかいのです。杏仁豆腐もしっかりした食感の美味しいやつ。
ちなみに、昼飲み大好きの筆者は、こちらに伺うといつも「台湾ビール」を注文してしまいます(食べかけ写真ですみません…)。
しかし、平岡さんによれば、実は台湾では「何かを食べながら飲酒をする」という習慣がないんだそうです。お酒を置いているお店もほとんどないとか。そのため、飲みたいものがあれば持ち込んでくださいな、というスタンスのお店が多いみたい。ずいぶん寛容なんだなぁ。それだけ、飲みながらの食事が珍しいということですね
微風台南のように食事をメインで出すお店では、あくまで食事。これをつまみにビールを一杯、という人は、まず、いないそうです。お酒を飲むなら、お酒をメインで味わう「快炒店」という居酒屋のようなお店に行くんだとか。(特別な食事会などはお酒が出るそうですが)。平岡さんいわく、台湾で居酒屋さん的なお店を見かけたら、それはほとんど日本のチェーン店だそうですよ。
そんなわけで、筆者のように「昼間っからどこぞのお店でビール片手に何かつまんでいる」なんて風景はまず台湾では見られないそうです。台湾行くときは気をつけよう……。
さらに、もう一つ平岡さんから台湾と日本の食文化の違いを教わりました。
デザートの杏仁豆腐は最後に出してもらったのですが、そもそも台湾では注文したものをズラリと並べて食事をするんだそうです。コース料理などのように、食べ終わったら次のお料理が来るわけではないんですね。テーブルの上がにぎやかで楽しそうです。
おまけに、料理をシェアするということも基本的にしないんだそう。それぞれが自分の分の料理を食べるだけで、誰かと半分こしたり、「それ美味しそうだな〜、一口ちょうだい」というのもないんだとか。他の人の料理が美味しそうに見えた場合は、改めて自分用に注文するのが普通。何かと「一口ちょうだい」と言っているので、台湾行くときは本当に気をつけよう。
日本と似ているようで、意外と食文化が違う台湾。台湾には日系企業も多く進出していて、日本の文化や食事については逆に台湾の人のほうが慣れているそう。日本人は台湾旅行すると驚くことがたくさんありそうですね。
最後にオススメのドリンクを。これ、実はお茶なんです(アルコールではありません)。その名も「星空飲料」。なんてロマンチックなネーミングなのでしょう……!
下にレモンシロップが沈んでいて、紫~青とグラデーションになっています。台湾ではこんな星空のようなドリンクが流行っているらしいですよ。
ベースは青みがかった紫っぽいハーブティーで、これ自体は甘くありません。台湾ではこのお茶に砂糖などを加えて甘くして飲むのだとか。見た目がかわいいので、日本でも原宿あたりから流行り出しそうだな~とぼんやり思いました。
あまりに美味しかったので、お持ち帰りまで注文してしまった
帰りに、持ち帰りで「弁當(ベンタン)」も買っちゃいました。
こちらは排骨(豚肉)の方。
こちらは鶏腿(鶏肉の手羽元)ですね。
「弁當(ベンタン)」という漢字をみると「お弁当」と思ってしまいますが、日本でいうところの「弁当」とは少し違うんだそう。
「弁當」はメニューの名前で、持ち帰りに限らず、お店で頼んでも出してもらえるそう。ご飯を敷いて、その上におかずを盛っているランチプレートのようなイメージです。
弁當=ランチプレートは持ち帰りにも対応。テイクアウトだとこんなふうに入れ物に入れてくれるというだけであって、いわゆる「お弁当」とは少し意味合いが異なるそうです(持ち帰りが前提ではない)。テイクアウトはこの時期なら花見に持っていくのも良さそうですね。
日本統治の時代もあり、カレーはルウから作る、おでんが存在するなど、日本の食文化の影響も受けている台湾。日本と近いようで違いも多いんですね。店主の平岡さんからいろいろな台湾事情を伺って驚くことも多かったです。
微風台南は日本、それも京都にあるのに、なんだか台湾旅行にでも行ったかのような不思議な感覚になります。現に、スタッフもお客さんもほとんどが台湾の方。そんな中にいると、店主の平岡さんまで台湾の方に見えてきます。筆者が外国から来た観光客みたい。
平岡さんはとにかく台湾にお詳しいので、お店が忙しくなかったら台湾のことを聞いてみるのもいいかも。台湾旅行の予定がある方なんて特に、おすすめの屋台なんか聞いてみてはどうですか?
お店までのアクセス
微風台南があるのは、京都河原町からの大きなバス通り沿い。お店の目の前もJR京都駅行きのバス停があります。
遠くに見えるのは大文字さん(ずいぶん前に撮った写真なので雪が残っています)。すっかり台湾気分でしたが、そうだ、ここは京都だ。
これは鴨川。うん、やっぱりここは京都だったな。
「京都といえば和食」という先入観があるかもしれませんが、今回のような台湾料理や中華料理、そのほかのジャンルも美味しいお店がたくさんあるんですよ~。知らないなんて本当にもったいない!ぜひ京都に来たときには、いろんなジャンルを検討してみてくださいね。
紹介したお店
※店主の平岡さんは仕入れなどのために時々台湾へ出張されます。お店のFacebookなどでお休みかどうかを確認してから行くのがオススメです。
プロフィール
アカサカナツコ
食べて飲んでうろうろして、がまぐちも作ってます。
ブログ:http://assak-karakara.hatenablog.com/
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