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悶絶必至!? 激辛好きなら博多・陽華楼(ようかろう)の「殺人担々麺」に挑戦するしかない

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ホラー映画を彷彿させる、黒地に赤の文字で「殺人担々麺」と書かれた不穏な看板。全国各地に激辛料理は数あれど、これほどインパクトのある料理がある店は、きっとどこにもないのではないでしょうか?

 

一部の激辛料理ファンの間では「激辛の聖地」とも称される「中国料理 陽華楼(ようかろう)」で、この話題の一杯を体感してきました。

 

激辛料理を求め、いざ修羅の国・博多へ!?

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やって来たのは、九州の玄関口・博多駅博多です。

 

あるアニメのストーリーでは、“殺し屋業の激戦区”として登場する街ですが、実際はこんな風にオシャレな建物がいっぱい。昼夜、平日・休日問わず、福岡県内外の多くの人たちでにぎわっています。

 

今回ご紹介する「中国料理 陽華楼」は、ここから歩いて6分ほどの場所に位置。駅前のにぎわいを感じさせない、オフィスに囲まれた通りの一角に見つけることができます。

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先述のおどろおどろしい看板の雰囲気とも、中華料理店ならではの雰囲気とも相容れない、明るい黄色を基調とした外観が目印。入口のドア付近には、看板と同様、かわいらしく「ビビッてんの?」と書かれてた紙が貼ってありました。

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基本的に小心者の私ですが、「殺人担々麺」の辛さを体感するというミッション遂行のため、意を決して入店です。

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昭和のスナックのような味のある雰囲気を醸し出す店内。最近、壁紙をオレンジベースのものに貼り替えた模様です。

 

カウンターの棚に並べられたキープボトルの焼酎からは “大衆中国料理店”のイメージを感じますが、「死神担々麺」という貼紙を見ると、「今から何かの儀式が始まるのでは?」という一抹の不安が頭をよぎりました。

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テーブルにはうちわが常備されていました。「殺人担々麺」を食べた人たちがきっと、その激辛さを和らげるために使っているんでしょうね。

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天井には、この店の人気ぶりを示す、有名人のサインがズラリ。果たしてこれらの皆さんは、「殺人担々麺」の辛さに見事耐えることができたのでしょうか?

注文時、「殺人を一つ!」と厨房に向かって叫ぶ店員の声にもビックリします。

 

満席になると、「殺人」というワードが連呼される模様。おおっぴらに「殺人」という言葉が行き交うところも、「陽華楼」の魅力だと思います(笑)。

 

1さじで味が激変する「殺人担々麺」を実食!

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注文することしばし。一見しただけで激辛だと分かる「殺人担々麺」(800円)が、湯気を立てながらテーブルに着丼しました。

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「うちの『殺人担々麺』は『薬膳担々麺』(750円)をベースに、自家製の薬味を別添えのレンゲにのせてお出しています。辛さは、スープで溶かす薬味の量によって調節できますよ!」と、笑顔で食べ方を教えてくださる店員さん。どうやら、このレンゲにこんもりと盛られたオレンジ色の薬味が、“殺し屋”の正体のようです。

 

直接口に入れるのは危険だということでしたので、皆さん、くれぐれもご注意を!

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それではまず、薬味を溶かさずにスープをひと口。ゴマの風味がしっかりと効いていて、クリーミー。ほど良い辛さで、ダシの旨みがしっかりと感じられます。 

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続いて、麺をズズッといってみました。もっちりとした食感は、まるでちゃんぽん麺のよう。中太で、クリーミーなスープがよく絡みます。口の中では、ほのかに感じる麺の甘みとコク旨スープのピリッとした辛さが、絶妙なハーモニーを奏でていました。

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トッピングとしてたっぷりと添えられた、モヤシのシャキシャキ感もグッド。肉味噌はうまみがギュと凝縮されていて、後を引きます。

 

赤く細い食材は糸唐辛子です。鮮やかな紅色が、担々麺のおいしさをよりいっそう引き立てているように感じました。

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壁には、味のベースになっている「薬膳担々麺」の特徴が紹介されていました。

 

内容を読んでみると、健康志向の人や美を追求する女性にヒットしそうな予感。訪れた日が肌寒かったせいか、それともカプサイシン効果か、体がポカポカと温かくなっていくのも感じました。

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ベースを一通り堪能したところで、いよいよスープに"オレンジの悪魔"を投入します。

 

「薬膳担々麺」のスープは思ったほど辛くなかったこともあり、店員さんの忠告を忘れて薬味を一気に溶かしてしまいました。

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みるみるうちに、鮮やかなオレンジカラーへと変化したスープ。すすってみると、「カーッ」と強烈な辛さが、口から一気に全身へと広がっていきました。

 

「かっ、辛い!!!」と悶絶する私。この辛さは“痛い”という言葉がピッタリなのかもしれません。口の中はヒリヒリ、体はカッと熱くなり、毛穴が一気に開いて、汗が噴き出すのを感じます。 

 

なんとか食べ進めて麺と具材は完食しましたが、あまりの熱さとしびれにスープは途中でノックアウト。飲み干すことができず、調子に乗り過ぎたなと反省しました。

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 店員さんの話によると、「殺人担々麺」を食べても平気という常連客は、ご飯を一緒に注文し、余ったスープにかけてチゲクッパ風で最後の一滴まで味わい尽くすそう。

 

通常の「殺人担々麺」の辛さでは物足りず、1さじ(=レンゲ1杯)分の薬味を追加注文して楽しむ人もいるそうです(驚)。

 

「辛いものは好きだけど、激辛はちょっと…」という人は、まず「薬膳担々麺」から始めることをオススメします。

 

起死回生のアイデアと家族の協力で大ヒット!

f:id:takewest:20190313115550j:plain「中国料理 陽華楼」の2代目店主・平山博文さんです。

 

1978年創業のこの店を平山さんが父から引き継いだのが、今から21年前のこと。店主になりたてのころは周囲にそれほど飲食店がなく、先代が辞めたことによる客離れもあって、経営的に厳しい状況だったそうです。

 

なんとか客を呼び戻そうと、外観を女性に支持されるようなカフェ風に変え、内装も一新。周囲に反対されながらもメニュー改革に着手し、当時流行していた“薬膳”をテーマに、クコの実や豆鼓(トーチ)などを使った「薬膳担々麺」を、およそ1年をかけて完成させました。

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10時間以上をかけてとるダシと、クリーミーなゴマペーストのスープがおいしさの決め手となる自信作。それでもインパクトが足らなかったのか、「薬膳担々麺」で客足を伸ばすことができませんでした。

 

そんな時、たまたま見ていたテレビの経済番組の「まわりのお店と同じことをしてもダメ。人がやらないことをしなくては!」という言葉で、新たなアイデアが降臨。

 

「薬膳担々麺」に強烈な辛さの薬味を添え、どこの飲食店でも使わないような「殺人」という言葉をメニュー名に盛り込んで、2008年「殺人担々麺」が誕生しました。

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薬味の調合は今でも企業秘密なんだそう。それでも平山さんは、「『殺人担々麺』が誕生した当時に世界一辛いといわれた香辛料も入っている」と、ヒントを私に授けてくださいました。

 

後日、インターネットで調べてみて、おそらくこれが答えであろうという唐辛子を発見。今までよく知らなかった唐辛子の歴史に、改めて気づくこともできました。

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黒地に赤で大きく「殺人担々麺」と書く看板も、この頃に誕生しました。写真は現在の様子で、黒地の看板は木を使っていますが、デビュー当時は黒く塗られたダンボールだったそうです。

 

文字を書いたのはなんと、平山さんの娘さん。書道教室で培ったスキルがこんなところで役立つなんて、娘さんもきっとビックリしているんじゃないでしょうか(笑)。

f:id:takewest:20190313124750j:plain「殺人担々麺」が進化する過程で、ゴマペーストに使う芝麻醤(チーマージャン)や豆板醤(トウバンジャン)、器がスープの 熱を冷ましているという、新たな課題が見つかりました。

 

解決策に取り入れたのは、事前に“丼を湯せん”すること。セルフうどん屋さんの厨房の作業を見て、参考にしたのだそうです。

 

こうした創意工夫の積み重ねに加え、"SNSの隆盛"という時代の流れもヒットの要因となりました。

 

来店客や店の前を通る人はこぞって携帯で担々麺や看板を撮影し、写真をSNSにアップ。それを見たマスメディアからの取材依頼も増え、気がつけば、平山さんが店主に就任した時と見違えるような注目店になったのです。

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2017年には、「殺人担々麺」の辛さに慣れてしまったという常連客のリクエストを受け、「死神担々麺」(1,300円)を考案しました。

 

唐辛子は、2018年4月までギネス認定世界一の辛さを誇っていた、キャロライナ・リーパーを採用。Reaper(リーパー)が日本語で「死神」を意味することから、メニュー名は「死神担々麺」に決まりました。

 

「キャロライナ・リーパーの辛さは『殺人担々麺』で使う唐辛子の約3倍の辛さだけど、種類はまったく違うから刺激もぜんぜん違うよ」という平山さん。試しに一口味見をさせていただきましたが、「殺人担々麺」の唐辛子とは異なる“瞬殺の辛さ"に、再び悶絶してしまいました(汗)。

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もちろん、担々麺以外のメニューも豊富です。赤のメニューがランチタイムで、白のメニューが夜の追加メニュー。特に、先代のころから愛されているという「自家製焼豚チャーハン」(700円)は絶品だそうで、今度この店を訪れた時に食べてみたいと思います。 

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平山さんいわく、2019年3月時点で世界一辛いといわれる、ドラゴン・ブレス・チリやペッパーXの食用が入手できるようになったら、また新メニューを考案する予定だそう。 全世界の激辛党へ向けられた、「陽華楼」からの挑戦状はまだまだ続きそうです。

 

“とっておきの激辛料理”を日々探しているという皆さん、その答えはこの店で見つかるかもしれませんよ!博多を訪れた際は、ぜひ一度、チャレンジしてみてくださいね。

 

  

紹介したお店

r.gnavi.co.jp営業時間:11:00~14:00、17:30~21:00(LO20:30) ※土曜は昼のみ

定休日:土曜の夜、日曜・祝日、GW、お盆、年末年始

 

書いた人

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ニシダタケシ

福岡九州の編集プロダクション・シーアールに所属。生まれも育ちも福岡という生粋の九州男児。

流行りもの&甘いもの好きで、嫌いな食べ物はほとんどなし。「毎日完食!」をモットーに、小さなカラダで福岡のおいしいものを食べ歩きます。

憧れの人は出身校の大先輩・タモリさん。グルメレポではたま~にデカ盛りにも挑戦しますよ!


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