自然が豊かな鹿児島県には、海の幸、山の幸が豊富にあり、県内各地に「そこでしか味わえない」グルメも。今回は南大隅町で「秘境めし」としても評判の海鮮丼と、桜島の火山灰が生み出した美味しいものを求めて、南北に大隅半島をドライブしてみました。
秘境めしと人気の海鮮丼を食べられる南大隅町の「時海」を後にして、来た道をひたすら北上し次の目的地を目指します(秘境めしが食べられる「時海」の記事はこちら)。
↑別名「薩摩富士」と呼ばれる開聞岳と手前の海は錦江湾
対岸に見えていた開聞岳に別れを告げて車を走らせること1時間と少し。それまで錦江湾の奥にあり小さかった桜島が大きく見えてくるようになりました。
↑画面中央に小さく写っている桜島を目指して車を走らせます!
垂水市街地を貫く国道220号線の海潟トンネルを抜けると、目の前にド~ンと桜島がそびえました。
桜島の麓の信号を右折するとすぐに左手に「黒神」方面への入口があり、ここから県道26号線へ。道なり進んで「黒神埋没鳥居」にたどり着いたら、
↑大正時代の大噴火で火山灰に埋まった鳥居
そこの真向かいにあるのが「椿の里」です。
↑赤い看板が目印です
↑店内は座敷とカウンターのみ
ここは店主の大山さんがひとりで切り盛りされる店。5年ほど前にオープンした当時は定食や単品メニューの揃う“普通の”食事処でしたが、現在は椿チャンポン800円のみ提供する店となりました。
椿チャンポンは登場して4年半ほどとのことですが、地元紙に紹介されたことをきっかけに人気が出て、他のメニューがあるにもかかわらずお客さんの多くが椿チャンポンを目当てに訪れるようになり、ついにオンリーワンメニューとなったのだそうです。ではなぜ椿チャンポンなのかというと、具材の野菜などを炒めるときの仕上げに椿油を使用するチャンポンだからです。
運ばれてきた椿チャンポンは、とってもカラフル! 麺の上に炒めたキャベツなどが乗り、さらにそのうえにカラーピーマンや茹でたモヤシ、カイワレ大根などが彩りよく盛られていて、普段野菜をあまり食べない人には特に嬉しい量です。
スープは豚骨をベースに鰹節やリンゴなど数種類の具材や隠し味を使っているそうで、見た目よりあっさりとした味わいです。炒め野菜も脂っこく感じないのはやはり椿油だからとのこと。
ではなぜ椿油を使っているのでしょう? 実は桜島の特産品のひとつに椿油があるのです。桜島は活火山で噴火活動が活発な頃は毎日のように降灰がありました。そのため麓では農作物がうまく育たないこともあり、昔から椿を育ててその種を集め、製油業者に卸していたそうです。
↑これが椿の種、このままではとても食べられない味だとか、、、、
また「椿の里」のある黒神地区の小学校と中学校では、毎年秋になると生徒たちが椿油を作って鹿児島市内のデパートの前で販売し、生徒たちの学習活動の費用などに当てるのが伝統行事だそう。
椿油というと髪や肌の手入れに使うものというイメージのある方も多いかもしれませんが、もちろん食用としてもOK。こちらでは桜島産の椿の純度100%、クセのない椿油を作る製油所の椿油を使用し、店内ではボトル入り椿油の販売も行っています。
↑小さいボトルが500円、中1000円、大1500円
まさにここにしかないご当地グルメといえる椿チャンポン、ぜひ桜島観光の際にでも立ち寄ってみてください。
↑黒神地区の少し上のほうから眺める霧島連山
↑鹿児島市内に向けて帰る頃にはすっかり夕暮れ時でした
紹介したお店
椿の里
鹿児島県鹿児島市黒神町670-37
☎ 090-4484-0849
営業時間 11:30~16:00(日によって変動あり)
休み 火曜
駐車場 3台
おばらけいこ プロフィール
鹿児島は南薩に生まれ、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」のひとつ旧集成館にほど近い上町エリア在住のフリーライター。
地元タウン誌出身、取材範囲は鹿児島を中心に九州全域の観光関連情報を中心にあれこれ。
芋焼酎のお湯割りと鶏刺しがあればとりあえずご機嫌になります。