自然が豊かな鹿児島県には、海の幸、山の幸が豊富にあり、県内各地に「そこでしか味わえない」グルメも。今回は南大隅町で「秘境めし」としても評判の海鮮丼と、桜島の火山灰が生み出した美味しいものを求めて、南北に大隅半島をドライブしてみました。
まず向かうは南大隅町にある「食事処 時海(ときみ)」。鹿児島市内から車で南大隅町を目指すときは複数のルートがありますが、今回はナビおすすめのルートで向かうことにします。まずは鹿児島県庁近くにある鴨池港へ。ここから大隅半島の垂水市まで鴨池・垂水フェリーに乗船します。
↑鹿児島市街地がどんどんと遠くなっていきます
緑色のフェリーは桜島の南側を通って約40分の航海で垂水港へ到着。ここからはひたすら陸路で南下します。垂水市街地を抜け、「佐多岬」と出ている標識を時々確認しながら国道220号線、県道68号線などをひたすら走ります。
天気のいい日は真っ青な錦江湾と対岸に見える薩摩半島や開聞岳の美しいシルエットや、海に突き出た岬に立つ荒平天神などが車窓からも楽しめます。
↑荒平天神、学問の神様・菅原道真公を祀っています
↑道の駅ねじめからの眺め
↑同じく道の駅根占から。正面に見える三角の山が開聞岳
出発から約2時間で、目的の「時海」へ到着! 国道から漁港へ少し路地を入ったところにあります。
↑周りは民家で注意していないと通りすぎてしまいそう
店長さん夫妻が切り盛りするこの小さなお店は「秘境めし」とも呼ばれ、お客さんのほとんどがそれ目当てで訪れるという「時海丼」1200円が名物なのです。
もちろん今回もこの時海丼をお願いしていました。
この時海丼、何が凄いかってそのボリュームと鮮度です。
多い日は12種類ほど、少ない日でも9種類ほどは乗っている刺身は、すべてその日の朝、水揚げされたものばかり。(ちなみにこの日はアジ、サゴシ、ハマネイゴ、チヌダイ、サバ、ヒラソーダカツオ、ハマチ、トビウオ、サンノジ、ネイゴ、カマス、ヤバタ※魚の名前は地元での呼び名です)
しかも佐多漁港沖にある親戚の定置網まで店長さん自らが仕入れに行く「地物」の魚ばかりを使用しているのです。南大隅町の付近は東シナ海と太平洋が交わるエリアということもあるのか、定置網には多種多様な魚がかかるそう。「タイやマグロは日本のどこでも食べられるから」ということで、丼に使われる魚は地物にこだわっているそうです。しかも驚くほど厚切りの刺身は、魚好きにはたまらない魅力。
↑この厚み! この色艶、たまりません!
お客さんが「東京なら3000円でもおかしくない」というのも納得の鮮度と厚み、量です。刺身を1種類ずつじっくり味わうのもよし、豪快にワサビを醤油で溶いて上からぶっかけてかき込むもよし、自由に食べてくださいとのこと。
↑刺身の下はご飯と海苔やネギ、ゴマが敷かれています
時海丼が圧倒的に人気ですが、ほかにもメニューは定食やうどんなどの単品、豚の角煮と刺身盛りがセットになった時海定食1700円などもおすすめだそう。
ちなみに時海丼は限定メニューではありませんが、だいたい1日20~25食、早いときはランチタイムで完売してしまうこともあるそうなので、「絶対食べたい!」という人は必ず予約をお願いします。予約時に携帯番号など連絡先を伝えておけば、もし、天候不良などで魚を仕入れられない場合、予約日の朝に店長さんから連絡をいただけるそうです。確かに、片道数時間もかけてたどり着いて食べられなかったらショックですから、この心遣いは嬉しいですね。
↑「時海」から県道68号線、566号線を経由して車で20分ほど南下すると本土最南端の佐多岬に行けます!
紹介したお店
食事処 時海
鹿児島県南大隅町佐多伊座敷3931-2
☎ 0994-26-0663
営業時間 12:00~14:00、17:30~22:00(早じまいの場合あり)
休み 第1,3日曜、その他の日祝日は昼のみの営業
駐車場 あり
おばらけいこ プロフィール
鹿児島は南薩に生まれ、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」のひとつ旧集成館にほど近い上町エリア在住のフリーライター。
地元タウン誌出身、取材範囲は鹿児島を中心に九州全域の観光関連情報を中心にあれこれ。
芋焼酎のお湯割りと鶏刺しがあればとりあえずご機嫌になります。