浅草駅から三ノ輪方面にあるいて15分。
日本を代表する観光地のにぎやかな喧騒もすっかりおさまった千束通り商店街。その片隅に老舗喫茶店「デンキヤホール」がある。
1903年創業、110年を超える歴史がある。
特徴あるその店名は、初代店主がもともと電機屋をいとなんでいたことに由来する。
牛乳やコーヒー、パンといった軽飲食をだすミルクホールとデンキヤをたして、デンキヤホールだ。
昭和の空気を残した店内は、レトロで落ち着く雰囲気だ。
いくつかのテーブル席はゲーム台になっていて、ゲームタイトルもディグダグやパックマンなど。30代半ばのわたしでもリアルタイムでは直撃してない古式ゆかしいゲームたちだ。
奥まったところが好きなので隅っこにある席に腰かけたら「麻雀女学園~身体検査編~」であった。
お水をもってきてくれた店員さんが「もしプレイされる場合は電気をいれるのでおっしゃってください」と気をきかせてくれる。
こんな雰囲気のある喫茶店で、脱衣麻雀はできない。
やさしい甘さ、ゆであずき
▲ゆであずき 500円
デンキヤホール名物、ゆであずき。
その名前からして、てっきりぜんさいのようなものかと予想したが、どちらかといえばおしるこに近い。
温かくて甘い汁の底に、ゆでたあずきがたっぷり沈んでいる。
寒い冬にぴったりの1杯。
一般的なおしるこよりずいぶんひかえめで優しい甘さだ。
焼きそば版のオムライス「元祖オムマキ」
▲元祖オムマキ 650円
もう1つの名物がこちら、元祖オムマキ。
オムライスの焼きそば版。ソース焼きそばを薄く焼いた卵でつつんで、ケチャップをかけた料理だ。ステンレスの皿が無骨でかっこよく、かえって食欲がわく。
おてごろなお値段なので小さいのかなとおもっていたけど、しっかり1人前ありますね。
「おこのみにあわせてどうぞ」と祇園からとりよせた黒七味と一味もセットで出してくれる。
いままで焼きそばに七味をかけたことはなかったし、ましてやオムレツにかけようなんて想像すらしたこともなかったけれど、ピリッと締まって意外にわるくない。
キャベツとたまねぎだけのシンプルな焼きそば。料理としては単純なんだけど、家で作る焼きそばとはまるで異なるウマさがある。
単体でうまい焼きそばを、うまい卵で包んでるのだから、そりゃウマいにきまってる。
小腹も満たせて、ゆっくりできる。
浅草の人ごみに疲れたら、デンキヤホールでひとやすみがおすすめだ。
取材したお店
作者:松澤茂信(まつざわしげのぶ)
東京別視点ガイド編集長。
るるぶとか東京ウォーカーが積極的に載せないようなとこばっかし巡ってます。
そういう人生です。けっこー楽しいです。
(編集:編集プロダクション studio woofoo by GMO)
東京別視点ガイド:http://www.another-tokyo.com/
Twitter:https://twitter.com/matsuzawa_s