はじめまして。
「カフェオレ・ライター」というブログをやっているマルコと申します。
カフェオレは好きですが、ブログではほとんどグルメ系の記事は書かず、もっぱらBLなどについて語っております。
……初回にしていきなり干されそうな挨拶から入ってしまいましたが、知らないオッサンの自己紹介を長々と聞くのは苦痛だと思いますので、さっそく本題に入っていきましょう。
さて。
トマトを嫌いな人というのが、わりとそれなりの数います。
さらにその中にけっこうな割合でいるのが、「パスタなんかのトマトソースは好きだけど、生のトマトがちょっと……」という人。
気持ち、わかります。
僕もトマトソースは大好きですが、生のトマトは若干敬遠しがちで、感覚的にいうと「トマトソースのパスタはお店で積極的に注文するけど、塩トマトは誰かが注文して出てきたらまぁ食べる」くらいの距離感です。
そんな微妙なおつきあいを長年トマトとしてきたわけですが、このたびトマトに対する価値観をがらりと変えてくれるお店に出会いました。
池袋の路地の建物に店舗を構えるイタリアンレストラン「トマト・トマト・デルーチェ」です。
店名に「トマト」という単語を重ねていることからも、熱いトマト推しが伝わってきますね。
でもこの記事の主役はトマト料理じゃないよ!
場所を写真で説明します。
池袋東口からサンシャインの方へ歩き、路地を何本か入ったところにある栄町通りに入ります。
「説明する」と言いながらものすごく大雑把な紹介で申し訳ないのですが、この場所は本当に「路地を何本か入る」としか言いようがないのです。……お手数ですが、Googleマップのご準備をお願いします。
栄町通りを奥へと進みます。
……ちょこちょこ気になる看板がありますが、それはまた別の機会にご紹介するとして、
擬人化されたトマトが6体描かれた看板のビルの2階に、トマト・トマト・デルーチェが入っています。
中に入ってみると……
こちらが店内です。
席はこの写真に見えているのがすべてで、小ぢんまりとしています。
ランチ時は窓から昼の光が差し込み、夜はバーのようなムードに。デートするのにもぴったりな雰囲気のお店です。
単なるグルメ記事であれば、ここでイチオシの料理をご紹介するところですが、実はここまで書いておいて主役は料理ではありません。
今回の記事の主役は、
シェフのアモビさんです。
アモビさんはナイジェリア出身。
つまり、ナイジェリア出身で東京・池袋のトマト専門イタリアンのオーナーシェフなのです。
もう一度言います。アモビさんはナイジェリア出身で東京・池袋のトマト専門イタリアンのオーナーシェフです。
……トマトソース以上に濃厚な肩書きですが、僕が一番気になるのは、アモビさんがどんな道を経て池袋に店をオープンすることになったのか、という人生のドラマ。
今回はお店の人気メニューをいただきつつ、アモビさんにお話を聞いてみました。
ちなみにアモビさん、日本語は完璧です。
アモビさんの濃すぎる経歴
……はい。
ということで、さっそく一品目をいただきながらアモビさんの人生を振り返っていきましょう。
アモビさんが日本にやってきたのは16年前、21歳のとき。
お兄さんが輸出関係の仕事をしており、日本に住んでいたことがきっかけだったといいます。
日本の印象は、「町がきれいだし、安全。道に迷っていても教えてくれるし、日本人は優しいですね~」。
ナイジェリアの首都ラゴスといえばアフリカ有数の大都市ですが、「貧富の差ができてしまって、物価が上がりすぎてるんですよ~」と都会ならではの悩みもあるみたいです。
そんなこんなで最初はお兄さんの仕事を手伝っていたアモビさんでしたが、「その仕事は私には合わなかったんですよ~」ということで、別の仕事を探すことに。
もともと料理が好きで、実家でもご飯作りを手伝っていたというアモビさんは、その腕前を生かしてお台場のレストランに入りました。
……そんな話をしつつ、最初の料理「パンチェッタリゾット」(1300円)をいただきます。
トマトを器代わりに、パンチェッタ(豚バラの塩漬け)をたっぷり使ったリゾットを入れ、そこに卵を落として全体に焼き目をつけた一皿。
こんなの、どう考えてもおいしいに決まっているわけですが、とはいえ「生トマトが苦手な人」にとってトマトをそのまま使っている器部分は大丈夫なのか?
百聞は一食に如かず。
いただきます。
……。
言葉にならないくらいおいしい。
半熟になった卵が絡んだパンチェッタリゾットは言うまでもなく最高ですが、それを引き立てているのがトマトの器。
生トマトが苦手な人って、特有の酸味を嫌っていることが多いと思うのですが、この料理はそのトマトならではの酸味がパンチェッタリゾットの濃い味のアクセントになっており、ものすごく濃厚なのにぜんぜん飽きないのです。
また、少し焦がしたことで香ばしさが加わっていて、これによりトマトとリゾットに一体感が生まれています。
……貧困な語彙力の限りを尽くして説明しましたが、伝わったでしょうか。
さて、アモビさんのお話、どこまで聞きましたっけ。
そうだ、お台場のレストランで働き始めたところでしたね。
アモビさんはその後、白金台、表参道のレストランを経験し、イタリアに渡ってしばらく修行。
帰国後、自分のお店をオープンさせるために物件を探し始めました。
ちなみにどうしてナイジェリア料理ではなくイタリアンだったのかについては、日本で働いた3店舗がすべてイタリアンだったことと、昔からトマトが大好きで、イタリア料理にトマトを使うものが多かったからだそうです。
もっとも、ナイジェリアでもトマトはメジャーな食材の一つ。有名なナイジェリア料理としてはトマトビーフシチューがあり、アモビさんは毎日食べていたとか。
トマト・トマト・デルーチェでは、このトマトビーフシチューもメニューにあるそうです。
なぜ池袋だったのか、というお話
……と、ここで次の料理がテーブルに。
トマトカルボナーラ(1300円)。
ランチでも食べられる人気ナンバー1メニューです。
……いやもう、こんなのって。
「おいしい」という概念を形にしたらこうなるんじゃないでしょうか。
うまいのはわかってたけど、それをさらに超えてくるうまさ。
……カルボナーラという時点で90点くらいは確定しているところですが、そこにトマトが加わることで120点まで突き抜けた感じ。
もはやカルボナーラの上位互換といっても過言ではないのでは。
といったところで、話を戻します。
イタリアンのお店をオープンすべく物件を探したアモビさん。
なぜ池袋だったのでしょうか。
何か池袋に対する特別な思いがあったのでしょうか。
ねえ、アモビさん。どうして池袋に?
「家が近かったから」
……シンプルー!
いや、ええ、わかります。家が近いの、大事ですよね。
もうちょっと補足しますと、池袋で見つけたこの物件の家賃がかなり安かったことと、学生街なので学生のニーズが拾えること、それからナイジェリア人が集まるナイジェリアミーティングが池袋で開催されていることなども理由だったのだそう。
なるほど、いろいろな要素を合わせて考えると、池袋で正解だった気がしますね。
最初こそアモビさん一人でやっていたトマト・トマト・デルーチェですが、最近ではスタッフも入るなど順風満帆。
アモビさんはどこへ行くのか
お店のほうは順風満帆とのことですが、アモビさん、次の目標や夢はあるのでしょうか?
おっと、ここで最後の一品。
トマトパンナコッタ(550円)の登場です。
トマトとパンナコッタって合うのかな……と思いつつ一口。
うわ~これは絶妙っ……!
パンナコッタの甘さとトマトの酸味が驚くほどマッチング。バケツ一杯いけるんじゃないかと暴走しそうになるおいしさです。
デザートでトマトがここまで活躍するなんて思いませんでした。
トマトのポテンシャル、想像以上です。
……さて、最後の質問の答えですが、アモビさんの目標は「お店を大きくすること」だそう。
といっても自分自身が厨房に立ってさばけるくらいということで、25席くらいの広さがベストなんだとか。
トマト専門イタリアンというユニークな個性と抜群の味、そしてアモビさんの陽気なキャラクターがあれば、お店が広がるのもそう遠いことではなさそうですね!
ということで、お店の紹介をしてきたわけですが、最後の最後にアモビさんから衝撃の一言が。
「そうそう、ワタシ、タレントになったんですよ~」
……えっ?
実はアモビさん、先日、外国人シェフが多数集まった某TV番組に出演し、その帰りに芸能事務所からスカウトされたのだとか……!
な、なんという衝撃の展開……
と思ったのですが、よく考えたらこんなにしゃべれて、ユニークな経歴を持っていて、料理の腕も一流なシェフなんていう貴重な人材、そりゃTVが放っておかないだろうなと妙に納得しました。
ええと、これでアモビさんの経歴は、ナイジェリア出身で東京のトマト専門イタリアンのシェフでもあるタレントになったわけか……。
情報量、すごすぎ。
トマトを最高においしく味わえる東京・池袋のトマト料理専門イタリアン、トマト・トマト・デルーチェ。
アモビさんの笑顔と一緒にめしあがれ。
紹介したお店
TOMATO×TOMATO DE LUCE(トマト・トマト・デルーチェ)
TEL:03-6914-1411
プロフィール
マルコ
ブログ「カフェオレ・ライター」を2001年より運営。
BL帯の魅力を発信しているうちにいつのまにかBL研究家に。
フリーライターとしても活動中。
ブログ:coffeewriter.com/
Twitter:@cafewriter