3年前、創業から70年近かった鹿児島市の老舗のラーメン店が突然閉店しました。地元のお客さんはもちろん、鹿児島を訪れる観光客にも人気の高かった「のぼる屋」です。
のぼる屋は高齢のおかみさんを中心に同じ年代の女性で長年営業していましたが、跡を継ぐ予定だった息子さんが急逝されたため、惜しまれながらその歴史に幕を閉じました。
突然の閉店に多くのファンが驚いたものですが、そののぼる屋の味が復活し、9月4日、新たなのぼる屋がオープンしました!
老舗の復活の裏にあるファンの情熱
↑場所は鹿児島銀行本店の並びです
↑のれんは店内が定位置
「ラーメン専門店 のぼる屋」のオーナー・牧野さんは、子どものころからお父さんに連れられてのぼる屋に通い、結婚後は子どもも連れて親子三代で通っていたという生粋ののぼる屋ファン。突然の閉店、そして取り壊されてしまった店舗を見て心を痛めていたそうです。
そして「もう1回、あのラーメンが食べたい」と思い続けていた牧野さんが、前オーナーに会いに行ったのが1年前のこと。どうしてもまたのぼる屋のラーメンが食べたいと話すと、「あんたがせんね(あなたがお店をしなさい)」と思いがけない言葉をかけられることに。
↑新しい店舗は座敷もあり広々しています
そして、飲食店で働いた経験は皆無に等しい牧野さんでしたが、のぼる屋再開に向けて動き出すと、次々に賛同者や協力者が現れ、どんどん再開話が具体化していったそうです。
しかし前オーナーから許可を得たとはいえ、以前ののぼる屋には正式なレシピひとつ存在せず、味の決め手となるスープの食材探しからかなり難航したとか。それでも指宿市にある旅館「指宿白水館」の協力もあって試作はもちろん、35回、延べ500人が参加したという試食会を行って、のぼる屋の味を再現できたそう。
↑オープン以来、行列が絶えません
さらに鹿児島市内各地で探した店舗候補地もなかなか決まらなかったのですが、最終的に鹿児島唯一のデパートである山形屋向かいのビルに決まりました。「本当に多くの人のおかげでオープンできました」と牧野さん。まさにのぼる屋を愛するファンの力が結集したお店といえます。
500人のファンが納得した、あの「のぼる屋」の味を再現
そんな新生・のぼる屋のメニューは、現在のところ潔くラーメン大1000円と小800円の2種類のみ。
↑チャーシューも以前ののぼる屋を彷彿させます
鹿児島ラーメンの王道ともいえる豚骨を使いながらも白濁していないスープは、化学調味料を一切使用していないこだわり。麺もうどんのように白くて太めでもっちりとした食感。あっさりしたチャーシューと豆もやしが乗った姿は、往年ののぼる屋のラーメンそのものです。延べ500人の舌が納得した味だけに、懐かしい味を求めて訪れるお客さんもその味わいを懐かしんでくれるそう。
↑澄んだスープは優しい味
↑もっちりした麺
↑豆もやしも健在!
↑大根の漬物ももちろんあります
↑数年ぶりにラーメンのスープを飲みほしました!
のぼる屋復活! のニュースを聞きつけて、県内だけでなく関東や関西から訪れる人もいるとか。これから年末年始にかけて帰省する予定の鹿児島県出身者の皆さん、あの懐かしい味を味わってみませんか?
紹介したお店
ラーメン専門店 のぼる屋
鹿児島市金生町6-9
☎099-226-0141
営業時間 11:00~14:30LO、17:00~19:30LO
休み 月曜
駐車場 なし
おばらけいこ プロフィール
鹿児島は南薩に生まれ、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」のひとつ旧集成館にほど近い上町エリア在住のフリーライター。
地元タウン誌出身、取材範囲は鹿児島を中心に九州全域の観光関連情報を中心にあれこれ。
芋焼酎のお湯割りと鶏刺しがあればとりあえずご機嫌になります。