こんにちは。ライターのヤスミノです。
先日、35歳の男性と話していたら、「高校時代に飲んでいた紙パック飲料」の話になりました。
僕は26歳なので、「高校生=紙パック飲料って、世代を超えた共通認識だったのか!」と驚いたんです。自分の世代だけじゃなかったんだ……。
しかし、その男性は、
「高校生=森永アロエドリンクだよな〜、アロエドリンクばっかり飲んでたわ〜」
と言うのです。アロエドリンク?
いや、アロエドリンクは飲んでなかったな、僕も含めて周りの誰も……。
「奇をてらってるんじゃないですか?」と反論しようとしたのですが、さも宇宙の真理を語るような口ぶりで話すので、何も言えなくなってしまいました。30代後半の人の高校時代は、アロエドリンクがスタンダードだったの?
僕は高校時代、リプトンのミルクティーが好きで毎日のように飲んでいました。1人も友だちがいなかったので、ミルクティーが唯一の友だちだった言えるかもしれません。
というわけで、気になったのでアンケート調査をしてみることにしました。
質問は、もちろんこれ。
この質問に加え、紙パック飲料にまつわる思い出なども募集します。
Googleフォームで質問を作成し、Twitter上で呼びかけを行ったところ……
【アンケートご協力のお願い】
— ヤスミノ (@yasumino_boy) October 18, 2018
高校時代に愛飲していた『紙パック飲料』について、簡単なアンケートを実施しています!
いまのところかなり意外な結果となっています…!
集計結果は記事で利用させていただきます!
▼アンケートフォームhttps://t.co/bgAgr9p0EYpic.twitter.com/TenlXpJxPO
合計1008人から回答が集まりました。さっそく結果を見ていきましょう!
アンケート結果
年齢の分布は以下のとおり。15~34歳を中心に回答が集まりました。
それでは、「高校時代に飲んでいた紙パック飲料ランキング トップ10」の発表です。
やはり1位は圧倒的多数で「リプトン ミルクティー」。そして、2位、4位、7位とリプトンの紅茶が上位にランクイン。全票数のおよそ半数を、リプトンが占める結果となりました。
また、牛乳を使った飲料が多くランクインしているのがわかります。3位の「雪印コーヒー」、5位の「明治 いちごオ・レ」はとくにミルク感が強く甘いイメージがありますね。
ちなみに「森永アロエドリンク」は14位(15票)でした。
さらに、紙パック飲料を愛飲していた理由を聞いたところ、答えはさまざまでしたが、特に
安い・甘い・多い
とコスパを意識した回答が多く寄せられました。高校時代らしい結果といえるのではないでしょうか。
高校生っぽいといえば、こんな意見も散見されました。
入学したての頃、部活の三年生が紙パックの紅茶を飲みながら「こうして紙パックの紅茶を飲むのってすごく高校生ぽくない? 卒業するまでに沢山飲んどこ」と言っていたこと。何歳だろうと飲めばいいのに…と思っていたけど今ならちょっと分かります。紙パック、高校生ぽい。(東京/20代女性)
※都道府県名は高校当時のもの、以下同じ
本当はストローで飲むタイプの飲み物が苦手(一緒に空気を吸い上げるのが無理)なのに女子高生っぽさのために紙パックで飲んでいた(新潟/20代女性)
「高校生らしさ」を演出するために紙パックを飲む。高校生が自分の立場を客観視し、それを意識的に振る舞うというのは興味深いですね。
高校時代の紙パック飲料エピソード
加えて、アンケートでは「紙パック飲料に関してのエピソード」も募集しました。皆さんのエピソードを紹介していきましょう。
「リプトン」のシールを集めた
リプトンの紙パックに貼ってあるシールを自転車に貼るのが流行っていた(兵庫/20代女性)
当時女子高生の間では、リプトンのシールをノートやクリアファイルに貼るのが流行っていました。(神奈川/20代女性)
リプトンの紙パック飲料に付いていた長方形のシール?的なものを収集して筆箱やバックなどに貼っていた。なぜそうしていたかは分からないが、自分の他にも絶対やっていた人がいると思う(宮城/20代女性)
リプトンシール集めてる女って知れ渡って、知らない人からもシールを差し出された。(島根/30代女性)
とにかく多かったのは「リプトンのキャンペーンシール」について。リプトンのシールをファッションアイテムとして使用していたという思い出が、20代女性から多数寄せられました。
ルーズソックスや頭にハイビスカスなど、独自のファッション文化が形成されるのは高校生によくあることですが、異なる地域で同じようなエピソードが発生しているのは不思議です。高校生界のカリスマ的な人が広めたんでしょうか。
恋愛
好きな人と飲んでるのが被ると嬉しかったなあ(北海道/20代女性)
好きな先輩が買ってるのを真似して飲んだ淡い思い出…笑(東京/20代女性)
恋愛絡みの 「THE・青春」といった甘酸っぱい思い出も寄せられました。
好きだった女子(彼氏持ち)が誕生日にパックにメッセージを書いたいちごオレをくれた。嬉しさから勿体なく思いなかなか飲めず5年経ちました(神奈川/20代男性)
それはもう捨てたほうがいいです。
青春
学校の帰りにいつも飲んでいた。嬉しいことがあった時も、悲しくて泣いてたいた帰り道いつも飲みながら帰っていた。(神奈川/20代女性)
このように模範解答のような青春もあれば、
留年して友達もなく孤立してた頃、出なくていい授業の時間によく学校を抜け出してラクト珈琲と弁当を片手に近くの公園へ行き、ベンチで寂しく食べてたりしました。おかげで青春が存在しません。(大分/20代男性)
暗い青春にも紙パックは寄り添います。
潰して遊んだ
みんなで飲み終わった紙パックの上部分を潰して正方形に近い形にした後、思いっきり踏んで「パァンッ!!!!」と音を鳴らし誰が一番良い音を奏でられるか競ってました。(東京/20代男性)
飲みきった後、飲み口を閉め、上から思いっきり踏み潰すことで破裂音を出し笑っていた。(沖縄/20代男性)
冷静になって考えると何が面白いのかよく分かりませんが、このような無意味な行為を楽しめるのも、とても高校生らしいです。
その他
よく火傷してたので、アロエ飲料があるのは有り難かったです。(東京/20代男性)
アロエドリンクを火傷の治療に使いますか?
飲み干した紙パックを入れると10円返ってくる機械があったため、我がバカ高は使用後パックの盗難が相次いで起きてました。食堂の自販機まで遠いため、みんなだいたいロッカーなどに溜まるまで保管しており、それがよく盗まれました。(東京/20代女性)
紙パックゴミの盗難事件って、あんまり聞いたことないですね。
怖すぎるエピソードがきて、笑ってしまいました。
……いかがでしょうか。
高校生活のさまざまな思い出を彩った紙パック。今回アンケートで集まった意見でも、やはり高校生=紙パック飲料のイメージは共通のようです。
しかし、この共通認識についてメーカーはどう思っているのか?
そもそも認識しているのか?
というわけで、アンケートで圧倒的多数を獲得した「リプトン」の紙パック飲料を製造・販売している森永乳業さんにお話を聞きに来ました。
飲料マーケティンググループの今村友香さんにお話をうかがいます。
「高校生=リプトン」はメーカーも同じ認識?
アンケートをとったところ、高校生の頃にリプトンを飲んでいた人が圧倒的に多かったです。おめでとうございます!
ありがとうございます!
森永乳業さんとしては「高校生はリプトンをよく飲む」という認識はお持ちですか?
はい。学生にも強いブランドと認識しながら、新フレーバーを考えたり、パッケージのデザインやキャンペーンの企画を検討したりしています。私も高校生のときにたくさん飲んでいて、シールを集めてキャンペーンに応募していましたね。
やっぱりメーカーさんも同じ認識だったんですね……!
高校生に人気ということは、やはり10代が購入する割合が多いんでしょうね。
いえ。実は10代の購入による売上は、全体の5%程度しかないんです。
あれっ? 10代ってそんなに少ないんですか……!?
そうなんです。コアになるのは20~40代で、30代前後が一番多いですね。
「高校生=リプトン」のイメージがあったので、かなり意外です。
ただ、学生時代に初めて飲んだ後、大人になっても買い続けていただける傾向にあるので、「高校生=リプトン」といったイメージも大事にしています。
自然発生的に流行したリプトンのシール
キャンペーンシールも、やはり当時の10代に刺さるようなものが多かったですよね。
シールのキャンペーンは、「リプトンの初体験をしてもらう」というところに重きをおいて行っていました。
リプトンの初体験……。つまり高校生の頃にリプトンに親しんでもらい、そこから継続的に飲み続ける人を育てているんですね。
キャンペーンシールについての思い出が多く寄せられたのですが、いつ頃から始めたのでしょうか?
2001年から展開しています。最初は「アフロ犬」とのコラボでしたね。
アフロ犬! めちゃくちゃ懐かしい……! キャンペーンシールを筆箱やバッグに貼っていたという意見もかなり多かったです。
こちらから何か仕掛けた意識はなく、自然発生的にひとつのファッションとして流行っていきましたね。そこからシールもいろんな色を出してみようとか、シールのデザインを100種類以上にしようとか、流行をきっかけとして展開していきました。
ミルクティーの売上が一番高いの?
私が行ったアンケートでもそうですが、広報キャラクターの「もーりー」がTwitter上で行ったアンケートでもミルクティーが一番人気でしたよね。
☕今日は #紅茶の日🇬🇧
— 森永乳業@もーりー (@morinaga_milk_) November 1, 2018
森永乳業の #紅茶といえばやっぱり #リプトン!
たくさんフレーバーがあるんだけれど、みんなはどれがお気に入り?
アンケートに答えて教えてモリ꒰。✪ω✪。꒱🍃キラキラ
結果は夕方に発表するモリよ✨#答えたらRT
やはり、ミルクティーが一番売れているのでしょうか?
最も売れているのではミルクティー、次いでレモンティーです。お客さまにとってリプトンは、1年を通じて販売している、この2品のイメージが強いようですね。
ミルクティーは結構甘いですよね。アンケートでも「高校時代は甘い物を求めていた」という意見が多かったので、需要と供給がマッチしている気がしました。いろんなフレーバーがありますが、「甘さ」の調整は意識して行っているのでしょうか?
お客さまの意見を聞くと、「甘さ」というのは重要なポイントのようです。甘さを控えすぎるとなかなか売れにくいですね。今までもスイーツ系の商品は多く展開してきました。
スイーツ系!? たとえばどんな商品ですか?
弊社の製品である練乳と合わせた「練乳ミルクティー」とか、
森永製菓さんとコラボした「ミルクキャラメルティー」とか。
見た目からして、かなり甘そう! 僕は甘いものが好きなので、店頭で見かけたら絶対手に取りますね。
最近であれば「アールグレイティーラテ」も通常よりミルク感を高めるなどして、リッチな味わいを出しています。一方で、こちらの和梨ティーは「希少糖」というカロリーの低い糖を使っているのでヘルシーです。
「砂糖を控えなきゃ」という健康志向の人も増えているので、時代の需要に合わせて、このような商品も展開しています。
なるほど。「甘さ」も大事にしつつ、「ヘルシー」もほしい。ある意味で対極にある需要に応えているんですね。
最後に根本的な疑問なのですが、リプトンが高校生と密接に結びついているのはどうしてだと思いますか? もちろんキャンペーンなどがその世代にマッチしたのもあると思うんですが、それだけではない気がして……。
中学生から高校生になると、少し大人になったような感覚があるじゃないですか。そこで、今までとは違う、もう少し大人っぽいものを飲もうという意識が芽生えて、紅茶を飲み始めるんだと思います。でも、ストレートティーでは少し苦い。そこで、甘みのあるラインナップが多いリプトンが選ばれるのかもしれませんね。
確かに。そう言われれば、「ミルクティー」や「レモンティー」って象徴的な感じがしますね。大人と子どもの中間点というか。苦さと甘さの中間と感じで。
おわりに
「高校生って紙パックジュース飲んでたよね~」程度からやってみたアンケートでしたが、予想外に多くの意見が集まりました。ぜひみなさんも同年代の人と「高校時代の紙パック飲料」の話をしてみてください。盛り上がること間違いなし!
最後に、締めにふさわしい意見を1つご紹介します。
大学生や社会人になると、リッチなスタバを買ってみたりマイボトルを持ち歩いたりなんかしていますが、使いづらい紙パック飲料を毎日飲んでいた生活、今になるとなんとなく乙だなあなんて思います。(東京 20代/女性)
大人になったあなたも、あの頃を思い出して、紙パック飲料を飲んでみてはいかがでしょうか?
<取材協力・画像提供>
筆者プロフィール
ヤスミノ
フリーライター。新潟出身。チョコパイが好き。スーパーに行くと必ずチョコパイの値段を確認する。
Twitter:@yasumino_boy
編集:宇内一童(ノオト)