こんなに美味しいラクサを食べられるお店は他にないんじゃないか
以前マレーシアで働いていたときに出会って以来、大好きな「ラクサ」。
地元の屋台やレストランではメジャーな麺料理で、美味しく、お店や街によって味が違うのも楽しくて、よく食べた。
ラクサとはマレーシア、シンガポールで有名な麺料理。地域によって様々な種類のあるラーメンのような食べ物。
(「いただきます食堂」店内メニューより)
そんなラクサが、先日訪れた神奈川県逗子市のコミュニティパークというイベントの屋台で販売されていて、何気なく食べてみたらあまりにも美味しくて感動した。
ココナッツミルクと海老の香りが特徴的なスープは、以前マレーシアやシンガポールで食べたもの以上に美味しく感じた。
その味が忘れられず、また食べたい…と思い調べてみると、なんと今年の春に茅ヶ崎にお店がオープンしたばかりとのこと。
今回はそのラクサをつくる茅ヶ崎にあるラクサ専門店「いただきます食堂」さんを紹介したい。
お店は茅ヶ崎駅からは徒歩20分程、海からは歩いて3分くらい。茅ヶ崎駅からバスに乗れば約7分、駐車場も4台分あるから車でも行くことができる。
こちらの建物の2階にあるのが「いただきます食堂」さん。
いただきます食堂の「発幸ラクサ」ができるまで
逗子で食べたラクサが感動的に美味しかったということを店主の梶原裕矢さんに伝えて、一体どうやってこのラクサができたのか伺ってみた。
――ラクサとはどのように出会い、ラクサ専門店をつくるまでどういう経緯があったのでしょうか?
梶原さん 以前オーストラリアに1年間ワーキングホリデー行っていた時に、たまたま入ったシンガポール料理屋さんでラクサに出会いました。元々ラーメンが好きだったんですけど、海老とココナッツのラーメンみたいだ、なんだこれは!と、一発でハマってしまったんです。
オーストラリアでは結構メジャーな料理だったので、オーストラリア各地のさまざまなラクサを食べ歩いて、その後シンガポール、マレーシアでも食べ歩きました。
もともと将来一緒にお店をやろうと話していた相方がいて、相方はベトナム料理で、僕はタイ料理で、タイ・ベトナム料理のお店をやろうと思っていたんですが、ラクサに出会い、「看板メニューはラクサでいきたい!」という話をしたら、最初は「え、シンガポール料理でしょ?美味しいの?」という感じだったのですが、「美味しいよ!」「じゃあ、いいよ!」という感じで。
「いただきます食堂」という名前は、もともと「食堂みたいな感じでいろいろなものが食べられるようなお店にしたい」という思いがあったからです。今まで知り合いの中華料理のお店を週に1日借りたり、声がけいただいた海の家に入らせていただいたりして、タイ・ベトナム料理以外もオーダーあればなんでもつくっていました。それから縁あって、また別の店舗を貸してもらったのですが、そこがキッチンが小さくて……これは「ラクサくらいしかできないね」って感じで、もともと人気もあった「ラクサ」の専門店をはじめてみたのがきっかけで、今があります。
――そうなのですね!いただきます食堂のラクサはどのようにメニュー化していったのでしょうか?
梶原さん ラクサはいろんな種類があります。シンガポールのラクサはカトンラクサといって麺が切れていてレンゲで食べるのが主流で、マレーシアだとさらに種類が豊富。アッサムラクサ、ペナンラクサ……とかあるんですが、自分はもともとハマったマレーシアのマラッカという街で親しまれている、海老とココナッツをベースにした「ニョニャラクサ」をつくろうと思って。
マレーシアのマラッカへ行って有名と言われるお店を、1週間で20食以上くらい食べまくって、日本に帰ってきた当時はクックパッドにレシピも無いし、料理本もなかったから、タイ料理を少し勉強していた経験を活かして、自分のインスピレーションからつくっていったんです。
最初は辛くなりすぎたり、コクがなかったりしたんですが(笑)つくって、つくって、つくりあげて、また現地へ行って、というのを繰り返して……。今のは、正確にはわからないけれど、シーズン15くらいかな。改良を加えて加えて加えて……。最近も「いい海老あるよ」と聞いたら変えてみたり。ベースは変えないけれど、皆に気が付かれない程度に日々常に改良を重ねています。
――メニューを見ると通常のラクサとは別に「発幸ラクサ」というのがありますね?
梶原さん 僕はもともと「へっころ谷」さんというほうとう屋さんで働いていて、発酵の技術を学んでいたんです。そのつながりで、日本人にとっても馴染み深い「発酵食品」が好きなんです。つくったラクサのタレを発酵させてみようと思って発酵タレをつくって、いれてみたら、旨味がぐっと増したんです。
逗子で食べていただいたのは普通のラクサですが、「発幸ラクサ」超美味しいですよ! 発酵の「酵」が「幸」なのは、そのへっころ谷さんの人気メニューの「発幸パフェ」からいただきました。
熱い思いやこだわりを、伺えば伺うほどにラクサを食べたくなっていく……。
早速、オススメという「発幸ラクサ」をいただくことに。麺は太麺、細麺、平打麺から選べたので、まず太麺を。
一口食べると確かに逗子で食べた以上に深み、コク溢れるスープに、ああやっぱりこんな美味しいラクサは食べたことがないな……とひたすら幸せな気分になった。スープは一口一口が非常に濃厚で、まるで「食べている」よう。それから、「麺の美味さ」にも驚いた。
――麺、すっごく美味しいですね……。そして、太麺、細麺、平打麺と麺の種類を選べるラクサって聞いたことないです。
梶原さん 麺の種類が多いのは、もともとそうしたかったんです。ラクサ専門店やりたかったけれど、ラクサだけだと飽きられてしまうと思っていて。
そんなとき、鎌倉の麻心(まごころ)というカフェの方が食べてくれて「お、美味い……これ、あとは麺が美味くなったら完成だな」という話になって、自分もずっとそう思っていたので「どこかいい麺屋さん無いかな?」と訊いたら、「今うちが使っている麺いいから紹介するよ」と、鎌倉にある今村製麺さんを紹介してもらえたんです。
連絡してみると太麺もいろんな太さがあって、細麺もいろいろ。平打麺もいろんな切り方がある……ってくらい本当に麺の種類が数多くて、その中から、今は僕が3種類厳選してお店で提供しています。
――だからこれほど麺が美味しいんですね。ちなみに最初にここのラクサを食べるならこの麺がおすすめだよ、とかありますか?
梶原さん どの麺がいいというのはなくどれもおすすめで、違う麺を食べるとけっこう全然違って面白いんですよ!スタッフは全員太麺をおすすめしているけど、お客様から人気があるのはダントツで平打ち麺というのも面白いと思ってます。平打麺が珍しいからかな。
ちなみにこの間逗子で食べてもらったのはイベント用の市販麺だったので、今日のはより美味いと思いますよ(笑)。
そんな感じで太麺、平打麺の発幸ラクサを楽しみながら、ふと店内に黒板を見るとなんと「冷やしラクサ」という文字が!冷やしラクサなんて聞いたことがない。「最初は普通の発幸ラクサがおすすめだけど、冷やしも美味いよ!」と梶原さんが言うので、取材日から4日後、お店に再訪することに。
こちらが写真ではわからないけれど、「冷やし」のラクサ 。冷えたラクサはどうなのだろうという不安は一瞬で消える旨さだった。ベースは同じだと思うけれど、温かいものに比べてすっきり、あっさりと感じられるスープが暑い日にはぴったりだ。もっと早く知っていれば、この夏何度通ったことだろう。
――メニューを見ると麺の後は「追い飯」なんですよね。「追い飯」のあるラクサって普通無いですよね……!
梶原さん うちだけだと思います(笑)。これはね、やっぱりラクサだけというよりは、僕はラーメンが一番好きな食べ物で、ラーメン屋行ったら最後にかならず飯を入れちゃうんですよね。ラクサってやっぱり原価的にはやや高くあまり安くできないので、だったらせめて出せる限りのものを出して1,500円以内くらいで、その日のランチを完全に満足してもらいたい!と思ってて。
麺のグレードを上げたことによって、麺の量を少なくせざるを得なくなってしまったんだけれど、全員にセットを楽しんでほしいから、その分盛れる量は自由のご飯(おかわりは不可)を、と。日本のお米でつくるとどうしてもでんぷん質が多くてべちゃっとなってしまうから、タイ米を使ってサラサラ入るようにしてます。
最後はその日あるアイスから好きなものを選べる食べごたえばっちりのセット。このアイスは梶原さんの奥さまが、「自分の子供に安心なアイスを食べさせたい」という思いでつくった、添加物無しで動物性のものや白砂糖も使っていないもので、それがあまりにも美味しかったのでお店で出させてもらうようにしたとのことだ。
確かに食べてみると濃厚なのに後味がさらりとしていて、若干お腹も満足しつつあったのに軽く食べられてしまった。
取材後に改めて、こんなに美味しいラクサを食べられるお店は他にないんじゃないか……と感じた「いただきます食堂の発幸ラクサ」。
『逗子コミュニティパークで食べてファンになって毎回イベントの度に食べに来てくれるお客さんも結構いますし、茅ヶ崎まで来てくれる人もいるのがうれしいです。先日取材に来たカメラマンの方は、「また来ますね」と言って2日、3日後に来てくれたんです、ちなみにその方は「“また来ますね”と言って初めて本当にまた来たお店です」と、言ってくれました(笑)』(梶原さん)
その話を聞いてすぐ納得してしまうくらい魅力的ないただきます食堂さんの「ラクサ」。ラクサを愛し、「ラクサを日本中で食べれるくらいメジャーな食べ物にしたい」と言う梶原さんがつくるラクサを、ラクサ好きはもちろん、アジア料理好きな方、アジア料理はそれほど興味は無いけれど「麺類が好き」って人にも是非一度食べてみてほしい。
紹介したお店
いただきます食堂
住所 : 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南6-3-26東海岸南シーサイドビル202
営業時間 : 11:00〜L.O.15:00
定休日 : 月曜日(祝日の場合は翌火曜日、他イベントなどで不定休あり)
電話 : 080-4435-1906
アクセス:
・電車の場合→茅ヶ崎駅前のバス乗り場1番09系統に乗り、第一中学校前下車 徒歩30秒。約7分
・車の場合は店舗前駐車場の一番海側と他裏に3台の計4台あり
・茅ヶ崎駅からは歩いて約20分
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著者「Taki」のプロフィール
Taki
1987年横浜生まれ。ウォーキングと美味しいもの探しが趣味です。
ブログ:http://walking-gourmet.hateblo.jp/
Twitter:https://twitter.com/Taki10_wg
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