まいど憶良(おくら)です。
世界に認められた美味しさ、神戸牛。この神戸牛が驚きの値段で味わえるラーメン屋さんがあると聞き、三宮にやって来ました。
確かこの辺だったと思うのですが、・・・。あの、すみません。
あら、私かしら。
はい、実はこの辺でとんでもなく美味しいラーメン屋さんがあると聞いたのですが。
なんでも神戸牛も食べられるとか。
そうねぇ、あなた、とってもいい所で尋ねたようね。
ほら、う・し・ ろ。
あっ、ありがとうございます・・・。
と、いう事で無事到着。
店内は、ラーメン屋さんという感じはでなく、渋い感じ。
やたらと目に入るのは、矢沢永吉・・・。
はっ!八坐和って、「ヤザワ」って読むんだ。
神戸牛は、お墨付きの一級品。
神戸牛の取扱量は世界一
ここ八坐和は、神戸でも有名な吉祥グループの会社。
この吉祥グループ全体で年間に焼き上げるステーキの枚数は50万枚と、神戸牛の取扱量世界一を誇っています。
さらに株式会社八坐和でも、牛の一頭買いをしているんです。
八坐和の展開する店は焼き肉、ステーキ、しゃぶしゃぶ、すき焼きなど多岐にわたっています。
一頭買いした牛を色々な食べ方をすることで余すことなく使う。
無駄をなくして、最高級の牛をより安く提供できる。というわけです。
コスパの高さに仰天!神戸牛とラーメンのセット
ステーキ丼4500円も、確かに素敵です。
大とろ炙り握り600円、赤身の炙り握り300円も魅力はあるんですが、
神戸牛とラーメンのセットこそがリーズナブルに神戸牛を味わえる。また文字通り骨の髄まで楽しめる料理だと言えるのではないでしょうか。
100%神戸牛の牛骨を使った牛骨ラーメン。
そして神戸牛肉。
このセットが、830円だなんて!
サイドメニューも830円と、破格の安さです。
もともと特徴のあるラーメンを作ろうとしたのではなく、神戸牛の楽しみ方を追求する中で作られたメニュー。
つまり、神戸牛が主役なんです。
絶品神戸牛らーめんが出来るまでに密着
では、その神戸牛らーめんが出来るまでの過程をご紹介しましょう。
まず、牛骨です。
牛骨ラーメンを提供する店は数あるものの、100%神戸牛の牛骨ラーメンは滅多とお目に掛かれるものではありません。
骨周りの肉に、そして髄には、旨味が詰まっています。
この牛骨から旨味たっぷりのエキスを 圧力なべを使って 取り出していきます。
白湯スープと、清湯スープは、別々にとります。
130℃まで加熱して、骨の髄から旨味を、そして兵庫県産の野菜たちと、昆布も一緒に煮だして、極上のスープが出来ます。
白湯スープと清湯スープは同じ材料からとれます。
加圧、加熱した状態から一気に圧力を下げ、空気に触れる事で脂分が乳化し、白濁したスープに。そして圧力を逃がさずに静かに時間をかけて冷ましていくことで澄んだスープになります。
ラーメンのトッピングと、神戸牛の乗ったご飯が用意されました。
いよいよ、ラーメンに取り掛かります。
写真右上の肉のアップが、こちらです。
この中に顔を突っ込んでがつがつと食べたいくらいに美味しそう。
麺が茹でられてきました。
ここでスープを鉢に。塩と、醤油のスープです。
麺は南京町にある、自社製麺所で作る自家製麺。
麺にもこだわりが詰まっています。
まず小麦粉は北海道の、ゆめちからというグルテンを多く含む超強力小麦。
新規に手に入れようと思ってもなかなか手に入らない物。
昔からのお付き合いがあってこそ、仕入れることができる貴重な小麦粉です。
そこに加わるのがアマニ粉。
亜麻仁油は熱に弱いという特徴があるため、粉の状態で練り込まれています。
この亜麻仁粉のつぶつぶを見て、これは全粉か、と思われている方も多いのだとか。
麺の茹で上がりを待ち受けるスープに、
ゆであがった麺が投入され、トッピングをすると完成です。
ペンパイナポーで一世を風靡した方にも似た店員さんに運ばれてきた、待望のラーメンです。
神戸牛ラーメンをいざ実食!
皿にはスジ肉、肉味噌、そして神戸牛!
期待しない方がおかしいですよね。
白湯スープです。
そして、清湯スープ。こちらは醤油スープ。
まずは、塩から。
一切のごまかしが効かない、スープ本来の味がはっきりとわかる、塩ラーメン。
使われる塩は淡路島の、「おのころ」の塩。
40時間かけて薪を使って鉄窯で煮上げて作るという希少な塩が、牛の持つ旨味甘味を際立たせます。
乳化された、旨味の塊の様な牛の脂が、とってもミルキー!
そしてこの、神戸牛薄切りレアステーキ。
コイツがまためっちゃ、旨いっ。
そのまま何もつけずに食べても、神戸牛の甘みをしっかりと感じる事が出来ます。
少し噛んだだけでなくなってしまいまう所が残念です。
ずずっと麺をすすります。
幸せが口の中を埋め尽くします。
麺自体も牛の味に押されてぼけてしまうような、そんな存在感のない麺ではないのです。
野菜と一緒に食べて、食感の違いも楽しみます。
レアステーキのドアップ 。
すこしラーメンの上に乗せて、ちょっとだけ温まった所で食べると甘みが更に強く感じられます。
今度は牛すじを乗せてみました。
普段食べている牛筋とは全然違い、しっとりと柔らかいお肉です。
麺と一緒に食べても旨いっ。
神戸牛×醤油はどうでしょう。
使われているのは明治18年創業の、池本醤油。
この池本醤油合名会社も神戸のメーカーと、兵庫県産にこだわりを持っています。
乳化した先ほどの塩スープと違い、澄んだ清湯スープはすっきりとした旨さ。
上品な、素材の持つ甘味をよりはっきりと感じます。
見てください、この贅沢感のあるラーメン。
思い出しただけでもう口の中に唾が湧き出してしまいます。
レアステーキで巻いて食べる。
ステーキの味がぼやける、いえいえ、そんなヤワな肉ではありません。
麺も、一切肉の邪魔をしません。
むしろ、食感がアップします。
牛すじまでトッピングしたりして。
甘辛さもプラスされて、もうどうにかなってしまいそうです。
中盤まで食べ進めたら、肉味噌をプラス。
醤油も、塩も、また味わいが変わります。
元々の味もメチャ旨いんですが、ちょっと肉味噌が入っただけで箸が加速しそうです。
そしてそして、忘れてはいけません。レアステーキを、神戸牛が育てたごはんとともにいただきます。
これこれ。
これまた特別感のあるお米。
神戸牛が育てたお米なんです。 って、どういうお米?
実は神戸牛のたい肥を使って育てた有機米なんです。
このお米を
くるりと巻いてパクっと食べちゃいます。
乗っているワサビも程よいアクセント。
ワサビとビーフはとても合います。と、山芳さんも言ってました。
名残惜しや、最後の一枚。
この後は肉味噌を加えたスープで一気に加速が付き、あっという間に完食です。
OK、サイコー、よろしくっ。
正にグレートな味でした。
ソムリエをも唸らせる、本物の美味しさ
ここまでお話をしてくれたのはソムリエの中島さん。
肉ソムリエさんですか、と聞きましたら、いえ、ワインのソムリエです。との事。
J.S.A日本ソムリエ協会認定のソムリエさんにお会いしたのは初めてですが、そういえば一切ワインの話もせず、お肉の話ばかり聞いていました。
憶良 :塩に、醤油にとこだわりが詰まったラーメンですが、一番のこだわりは。
中島さん :それは当然お肉ですね。
神戸牛生産者の中でも屈指の肥育農家として知られる「中西牧場」で育てられた牛はストレスのない環境で、牛の状態によって飼料の配合を変えるなど細心の注意をはらい、万全な状態で育てているんです。
例えば、一歳未満の牛には頑丈な胃を作るための飼料、14か月以降の牛には肉質を仕上げていくために必要な飼料を与えるなど、仕上がりをコントロールする育て方で見事な霜降り肉を作っているんです。
憶良 :そうやって育てられたお肉が、千円未満で楽しめるなんて、考えられないですね。
ここまで低価格で神戸牛を提供できる、衝撃的すぎる理由とは
中島さん :しかも、A5ランクのお肉です。
憶良 :とんでもない話ですよね。
そんなことができるのは、一頭買いをしているから・・・。
流通、人件費・・・。
もっと何か秘密があるんでしょうか。
中島さん :ゴロです。
憶良 :ゴロ・・・。??
中島さん : ええ、普通だと、やってられないくらいの価格ですが、語呂を合わせるために、この価格になりました。
憶良 :語呂・・・。 はっ!
まっ、まさかっ! 830円・・・。
YA ZA WA!(そういえばポスターが貼られていました)
中島さん :そうなんです。
憶良 :そのために、無理をして!
中島さん :困ったものです。
だから、サイドメニューも830円なんです。
この理由はちょっとクイズにしても当たらないですね。
憶良 :元々、お肉屋さんとかがお店の前身なんですか。
中島さん :いえいえ、話せば長くなるんですが、かいつまんで言うと、元々は小料理屋さんだったんです。
店が流行って、店舗を移して季節料理を中心にしていたんですが、その時テレビ取材を受けることになりました。その話の中で、神戸牛もやっているんですか。と聞かれて、
「はい、やってます」と答えたために実際に仕入れないといけなくなったと。
そして一気に神戸牛の魅力に取りつかれて、神戸牛専門店になっていったんです。
憶良 :ものすごい話ですね。
そういえば、八坐和と矢沢。店舗名の由来は?
中島さん :そう、矢沢永吉さんのファンだから、という事でヤザワになりました。
憶良 :ご本人は、お店に来られましたか。
中島さん :いえ、残念ながらまだです。でも、神戸で矢沢永吉さんのコンサートがあったりすると、一見してファンだとわかる方が来られます。
ファンの方にはかなりご存知頂いている様子で、店が矢沢ファンであふれる事もあります。
憶良 :事情を知らない人が見たら、驚きの光景ですね。
最後に、店長さんにもお話をお聞きしました。
憶良 :ラーメンとしては具材の後乗せスタイルというのは珍しいですね。
店長さん : そうなんです。
元々ラーメンを作るのがスタートではなくって、神戸牛を無駄なく、余すところなくという事がスタートなので、お肉単体でも食べ、ごはんと合わせて食べ、そしてラーメンと一緒にと、いろんな味わい方をしていただけばよいかと思っています。
憶良 :なるほど、一つの料理方法としてのラーメンなんですね。
確かに牛骨から旨いスープが取れるから、ラーメンでも作ろうかという感じではないですね。
こだわりの塊料理、という感じがします。
店長さん :もう、ラーメンではなく、牛麺と言ってもらってもいいかと思います。
憶良 :最後にお客さんに、何かメッセージを頂けますでしょうか。
店長さん : こんな小さな店ですが、世界でここでしか味わえない、自信とプライドを持ってお出しするラーメン、そして神戸牛を是非ご賞味ください。
手間ひまをかけて、心を込めて作っています。
食材や調味料も兵庫県産にこだわって、兵庫県が、神戸がもっと盛り上がるよう頑張っています。
世界で唯一無二の味を、是非ここ神戸に来ていただいて、楽しんで頂きたいと思います。
最後に私からも、メッセージを。
皆さん、そして矢沢さん、美味しいので、是非食べてみてください。
アイ・ラブ・ギュー、OK。
食べれば、ただそれだけで解る。
そこんところ、ヨロシクっ!
紹介したお店
プロフィール
憶良(おくら) : 元ゲームプランナー、元ゲームプロデューサー。
ゲーム企画講師や駄菓子屋店長などを経て現在に至る。
休日は高速道路を使わずに名古屋から鳥取あたりの温泉に行って浸かり、道中や行先の地元スーパーで珍しい食材を買い込むと例え深夜に帰ったとしても料理する。
その際食べ歩きにも積極的と、食に対してはかなり貪欲。
「美味しいものを食べている時、美味しいものについて話している時に悪いことを考える人はいない。」という持論を持っている。
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