いきなりですが、ビールはお好きですか?
全国のビール党の皆さんにも、そしてビールはちょっと苦手・・・という皆さんにも、今回の記事はゼヒ読んでいただきたいです!
記事タイトルにもある通り、「日本一行列のできる生ビール専門店」のマスターに、こだわりの生ビールの注ぎ方、そして「家でもできる激ウマなビールの飲み方」 をたっぷりとうかがってきました。
年末年始、おうちでビールを飲む機会が多いと思います。「家庭で出来る激ウマビールを飲む方法」は、記事の最後にまとめました。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
広島にめちゃんこ行列する生ビール専門店があるんです
そのお店は「ビールスタンド重富」さん。
開店の1時間前から行列ができ始め、一説によれば「日本一行列するビール屋さん」と評する人もいるそうです。
なんと、わざわざ他県から足を運ぶお客様も多いそうです。
そんなに人を惹きつけるビール屋さんって、いったいどんなお店なんでしょうか?
いったいどんなお店なんだ!?
お店を教えてくださった常連客のAさんに聞いてみました。
――生ビール専門店ということは、全国のいろんな生ビールを楽しめるんですか?
Aさん「いえ、生ビールは1種類しか置いていないんです」
――そうですか、じゃあ何か生ビール以外のメニューに特色があるんでしょうか?
Aさん「いえ、生ビールしかありません」
――では生ビールがおいしく飲める名物料理があるとか!?
Aさん「料理やオツマミのたぐいはありません。生ビールだけです」
・・・本当に生ビールだけなんですね。。。
しかも銘柄は1種類だけ。
――じゃあ、いったい、皆さんが行列してまで飲みたがる生ビールって、どんな生ビールなんですか・・・!?
Aさん「それは実際にお店に行って体験してみてください」
・・・ということで、さっそくお店に行ってみました!
昭和っぽい雰囲気が満載の店内
おじゃましまーす。昭和っぽい雰囲気が良いですね。
木製のビールサーバーが目を引きます。
なんと、昭和時代の資料を元に、昭和初期のビアサーバーを復元なさったそうです。
このビアサーバーにはすごい秘密が隠されてるんですが、それは後述するとして、まずは美味いと評判の生ビールをいただいてみましょう!
キュッ!シュワァーッ!!
マスターが慣れた手つきでビールを注いでくださります。
「どうぞ」
ムムッ!!
なんて美しいルックスなんだ・・・!!
もう、飲む前から「絶対うまい!」って分かるルックスです。
飲んでみます。
グビィッ!!
う・・・うまい!!
今までに飲んだビールと全然違うぞ!?!?
なぜ!?
うまいビールのための秘訣とは!?
マスターは「当たり前のことをしているだけです」とおっしゃいますが、ビールスタンド重富さんのビアサーバーにはすごい秘訣がたっぷりとありました。
秘訣その1 氷冷による「ビア樽」の温度管理
サーバー横の樽の中に秘密があります。
パカッ!
樽の中には、ビア樽がありました。
そしてこのビア樽が氷水で冷やされています。
マスター「生ビール樽は工場から車で運ばれて納品されますが、運搬の震動で中のビールが荒れた状態になっています。そこでまずビア樽を48時間以上、冷蔵庫で寝かせて落ち着かせます。
2日寝かせたビールを、次は氷水に漬けてゆっくりと冷やします。そうやって時間をかけてゆっくり冷やすとビールが持つ美味しさをよく表現できるのです」
ベストな温度は5℃前後だそうで、温度が低すぎるとビールの味わいを感じにくくなるそうで、綺麗に透き通った味わいのある重富ビールの秘密は、温度管理にあったんですね!
秘訣その2 氷冷による「ホース」の温度管理
パカッ!
昭和初期の冷蔵庫は、電気ではなく氷によって保冷をしていました。
「秘訣その1」と同じ理由で、ビア樽からビアコックまでを経由するホースの中のビールも、同様に氷で冷やしてらっしゃるのです。
なるほど、木製の昭和の冷蔵庫を使われているのは「見かけ」だけではなくて、そこにちゃんと必然があるんですね。
秘訣その3 太くて長いホースで「ビールの流量をコントロール」!
そして、このホースにも秘密がありました!
昭和時代の直径の太いホースを使用されているそうです。
そして、なんとホースの長さ30メートル!!というから驚き!!
マスター「ビア樽からビアコックまでのホースの長さが短いと、ビールを注ぐ時に圧力が強くなり過ぎるのです。30mの太いホースの中を流れていくうちに、ビールにかかる圧力が穏やかとなるのです」
「25mプールよりも長い距離を、うちのビールは泳いでいくんですよ」と、マスターは微笑んだ。
そして、もちろん、この30mのホースを毎日ちゃんと洗浄されているそうです。
30mのホースを毎日洗浄するって、すごい大変ですよね。
「うまいビール」のためとはいえ、なんて努力なんだ!!
秘訣その4 薄いグラスを、徹底的に洗って自然乾燥!
曇りひとつ無い、澄み切ったグラス(=タンブラー)。
「薄さ」にこだわった特注のタンブラーを、徹底的に洗って布巾を使わずに自然乾燥させるそうです。
「薄さ」は飲み口のスッキリ感に影響を与えるそうで、布巾を使わないのは細かい繊維の付着を防ぐためだそうです。
グラスの洗浄の良し悪しは、ビールの泡立ちに大きく影響するそうです。
(※ビールスタンド重富さんのホームページから画像をお借りしました)
ここまで品質管理にこだわった生ビールが美味くない訳ない!
マスターのすごいこだわり様が少しは伝わったでしょうか。
マスター曰く「ビールは料理と違って工場で作られたものが運ばれてくるだけです。ですから、単にビールの品質を劣化させないように、当たり前の商品管理をしているだけで、これが本来のビールの味なんですよ」とのことですが、当たり前のことをちゃんと実行するための努力には頭が上がりません。
写真と文章だけでお伝えするのは難しいのですが、
マジで驚愕のうまさです!
確かに行列しても飲みたい生ビールでした。
「澄み切った味」 というのでしょうか。
ビールの中にノイズが無いんですよね。
これが「本来のビールの持つ味」なんですね。
このビールを飲むことは「ビール本来の味」を確認して、自分の中に「ビールの基準」を作る行為とも言えそうです。
そして、さらにここから「ビールスタンド重富」さんの真骨頂となる最後の秘訣が登場します!
最後の秘訣 2種の特製ビアコック(カラン)
常連客Aさんとの回想に一度戻ります。
――皆さんが行列してまで飲みたがる生ビールって、いったいどんな生ビールなんですか!?
Aさん「生ビールは1種類だけなのですが、その「注ぎ方」を4種類に分けています」
同じ樽から注がれる同じ生ビールなのですが、「注ぎ方」で味の違いを表現し、ビールのいろんな表情を楽しめるのが「ビールスタンド重富」さんの特徴のようです。
その「注ぎ方」を実現させるための「ビアコック」(カラン)は2種類あります。
平成のビアコック
泡がキメ細かくなるように開発されたビアコックだそうですが、基本的には、今の日本で一般的に普及しているビアコックです。
居酒屋でアルバイトしたことのある人はご存じかもしれませんが、上に付いているハンドルを手前に倒すとビールが出て、奥に倒すと泡だけが出る、というものです。
重富さんでは、このビアコックで1種類の注ぎ方をされます。
そして、もう一方。
昭和初期のビアコック
簡単に言うと、こちらは「単なる蛇口」です。
ひねるとビールが出てくるだけ。
現代のビアコックのように、泡だけを出す機能は存在しません。
しかし、こちらの蛇口を使って、重富さんではなんと3種類の注ぎ方をされます。
お待たせしました。
それでは、4種類の異なる注ぎ方をされたビールを飲み比べてみましょう!!
本当に「注ぎ方」だけで、ビールの味は変わるのか!?
本当に注ぎ方だけでビールの味は変わるのでしょうか。
現在「ビールスタンド重富」さんには4つの注ぎ方がスタンダードメニューとしてあります。
・壱度注ぎ
・弐度注ぎ
・参度注ぎ
・重富注ぎ
まずは「壱度注ぎ」と「弐度注ぎ」を飲み比べてみました。
マスター「じゃあ、壱度注ぎ、弐度注ぎの2種類を比べてみましょうか」
マスター「これが壱度注ぎです」
マスター「こちらが弐度注ぎです」
同じですやん!!!!
マスター「まあ、まずは飲んでみてください」
いただきます。
グビーッ!
あれっ!
ほ・・・本当に味が全然違う!!
なんで???
同じ樽から注がれた同じ生ビールなのに!?
ものすごく不思議です。
マスター「遠目には同じに見えます。もっと近くで見るとよく解かりますよ」
本当ですか・・・?
こちらが壱度注ぎですよね。
そして、こちらが弐度注ぎ・・・。
あっ!!
遠目には全く同じように見えた生ビールですが、接写してみると泡の違いが明確でした。
マスター「壱度注ぎは、勢いよく一気に注ぐことで、炭酸を飛ばします。そのため泡が荒めになります」
勢いよく注いだせいもあるのでしょう、飲んでみると「ビールの香りが立ち昇る」、そして「グーッと一気飲みできるような軽やかさ」がありました。
マスター「弐度注ぎは、まず壱度注ぎを注ぎ、注ぐときにできた自然な泡を、二度目の注ぎでこれまでに経験したことのない柔らかい泡に入れ替えます」
泡がクリーミーなので口当たりもマイルドになるのかと思ったのですが、むしろ逆でした。
よりキメの細かい泡が「フタ」代わりになって炭酸をビールの中に押し留めます。
いわゆる「辛口」と表現されるような炭酸感。それが弐度注ぎの味わいでした。
なるほど・・・理屈を知れば、確かに味が変わるのも理解できますが、それにしても驚きの体験でした。
本当に「注ぎ方」だけで、味に違いが出るんですね。
次は「弐度注ぎ」と「重富注ぎ」を飲み比べてみました。
マスター「重富注ぎは、弐度注ぎと見た目にほとんど差はありません。泡の見た目もほとんど同じです。
違いは、重富注ぎは4種類の注ぎ方の中で唯一「平成のビアコック」で、一般の生ビールの注ぎ方と同じように注ぎます。
つまり、重富注ぎは現代の一般的な生ビールと同じと言えます。
重富注ぎは二度に分けて注ぐ(ビール、それから泡)という点においては弐度注ぎと同じですが、その注ぐ速度はなんと弐度注ぎよりも4~5倍もゆっくりと注ぎます」
グビッ!うん、これもウマい!!
飲んでみると、ガツンとくる炭酸!!
ゆっくり注いで、キメ細かい泡でキッチリ蓋をしてある為に、炭酸を逃がしていない訳です。
そういう意味では、炭酸を飛ばす壱度注ぎの反極にある注ぎ方だなと思いました。
そして、同じ二度注ぎなのに、ビアコックと速度の違いで、弐度注ぎと重富注ぎの間には明確な違いが表れています。
炭酸の強さで言えば、
重富注ぎ > 弐度注ぎ > 壱度注ぎ
と、それぞれの段階に分かれていることに気付きました。
しかし炭酸の強い弱いで、これだけ味に差が出るものなんですね~!!
また「平成のビアコック」で注がれる重富注ぎは、現代の一般的な生ビールと同じ注ぎ方で作られる訳ですから、今までに自分が飲んできた生ビールと比較するモノサシに成り得る、という面があります。
前提となる生ビールの品質管理の良さをストレートに確認したいのであれば、重富注ぎを頼むと良いのではと思います。
最後に「参度注ぎ」を飲み比べてみました。
参度注ぎは、今までの3つの注ぎ方と明確にルックスが異なります。
モッコリと盛り上がった泡が特徴です。
動画で、このモッコリ泡のぷるふわ感をお楽しみください。
ビールの泡を「ウマそう」と思ったのは初めてでした。
泡にかぶり付くように飲みました。
ゴキュッ!ゴキュッ!!
うまいっ!!
正直、私はこの「参度注ぎ」が一番美味しく感じました。
マスター「ということは、あなたはビールの苦みが実はあまり好きじゃないのかもしれませんね」
どういうことですか?
マスター「参度注ぎは苦味を泡に移して逃がす注ぎ方をしているので、ビールの苦みが軽くなってマイルドな味わいになるんです。」
なんですと~!!
私はビールの苦みが好きじゃなかったのか。自分のことなのに、初めて気付かされました!
どこまでも奥の深い「注ぎ方」のテクニック。
全く同じビールなのに、注ぎ方を変えるだけで、これだけの味わいの違いを作り出すなんて・・・!
注ぎ方まとめ
実は「ビールスタンド重富」さんでは、1人のお客さまに対してビール2杯まで、という制限があります。
なので、私なりのオススメの2杯の組み合わせをまとめてみました。
- 壱度注ぎ→参度注ぎ
個人的に「味の差」を一番感じ易い組み合わせかと思いました。
重富デビューは、まずはこの組み合わせでいかがでしょう?
- 重富注ぎ→壱度注ぎ
まず「世間一般の生ビール」と比較するための1杯「平成のビアコック」による重富注ぎを味わう。その後に、重富注ぎの反極にある「炭酸飛ばし」の壱度注ぎを飲み、両者の比較を楽しみます。
- 弐度注ぎ→重富注ぎ
同じ「二度注ぎ」である両者。
だからこそ、「昭和のビアコック」(弐度注ぎ)と、「平成のビアコック」(重富注ぎ)による違いを堪能できます。
違いが解かり易いので、最初に炭酸が弱い弐度注ぎから飲みましょう。
いかがでしょうか。
もちろん、あなたの好きな2杯を飲めば良いのですが、ご参考までに。
これであなたもビールマスター!家庭で出来る「弐度注ぎ風」「参度注ぎ風」の注ぎ方
まずは前提として、出来る範囲で「ビールを美味しく飲む工夫」をしましょう。
注ぎ方が注目を浴びる「ビールスタンド重富」さんですが、この記事を読んでいただいた方には、注ぎ方以前に、美味しさの前提となる工夫があることをご理解いただけたと思います。
つまり、
①買ってきたビールは冷蔵庫で2日以上寝かせる。
②グラスを綺麗に洗って、自然乾燥で乾かす。
このたった2つの工夫で、家で飲むビールが断然美味しくなります。
ちなみに、マスター曰く「冷蔵庫の扉側にビールを置くと、扉の開け閉めでビールの中身が揺れるので、冷蔵庫の棚側でビールを寝かせてください」とのことです。
それでは、注ぎ方のレクチャーです!
弐度注ぎ風「キリッと」味の注ぎ方
参度注ぎ風「マイルド」味の注ぎ方
特にこちらの参度注ぎ風!
泡の綺麗な盛り方!必見です!!
モリッ!とそそり立った泡の巨塔!
この注ぎ方をマスターして、友人との家飲みパーティーで披露したら「おお~っ!」と場が沸き立つこと間違いなし!!
年末年始はぜひご自宅で「注ぎ方による味の違い」を試してみましょう!!
きっと楽しいですよ!!
2月は「ビールスタンド重富」で、普段飲めない生ビールが飲めます!!
最後に「みんなのごはん」の読者様にとっておきの情報です!
ビールスタンド重富さんが通年に提供されているビールの銘柄は「アサヒビール」だけなのですが、なんと2月は「キリンラガー」「サッポロ黒ラベル」「サントリーモルツ」の、普段はビールスタンド重富で飲めない銘柄のビールを飲むことができます!!
ぜひ2月に広島行きの予定を作って、日本一行列する生ビール屋さんで、生ビールの違いを試してみてくださいね!
紹介したお店
ビールスタンド重富
住所:広島県広島市中区銀山町10-12
TEL:082-244-4147
営業時間:17:00~19:00
※不定休のため、定休日は公式ホームページでご確認ください。
http://sake.jp/beer_stand/menu/#calendar
著者プロフィール
食記ドットコム~広島食べ歩きグルメブログ
広島グルメを紹介するブログです。
ブログURL: http://syokuki.com/
おすすめ広島ランチ、広島の居酒屋、ミシュラン広島、広島のデカ盛りなど多岐にわたって紹介しています。