まいど憶良(おくら)です。
極上の油でカラっと揚がった揚げ物が食べたいなら、京都に行くべし。という話を聞きつけて、京都市は上京区にやってきました。
今回ご紹介しますのはここ、綾綺殿さんです。建物は築100年以上のお米屋さんを改修したもので、大変趣のあるもの。この建物自体が色々なロケにも使われている人気観光スポットなんです。
入り口には「綾綺殿跡」の文字が。
平安時代、天皇の居所であった内裏の中で、舞いや宴が行なわれていた殿舎、綾綺殿が正にここにあったということからその名が付いたという事です。
店内に入ってすぐに目につくのは、「本日の揚げ油」の文字。その日揚げ物に使われている油が明記されている店も珍しいですね。このこだわりにワクワク感も上昇します。
店のジャンルは、ショップ&カフェ。そして一番の人気は揚げ物。ミステリアスなお店です。
入り口近くにはこの店でも使われている油などが売られています。
ショップ&カフェの、ショップ部分は大体これで終了。気になった商品があれば詳しく教えてくれます。色々と話を聞けば、ちょっとしたオイル通になれるかもしれません。
趣ありまくりの内観、広がる癒し空間に期待値は急上昇!
趣がある、といいましたが、店内には「おくどはん」があり、中庭にもなんだか優しい空間が広がっています。
ふと窓を覗いてみると、五右衛門風呂があったりと、時代に触れることも出来ます。
優しい照明に、柔らかく照らされた空間に癒されます。さぁ、そんな優しい空間でいただきますのが、揚げ物でいいんでしょうか。大丈夫。いいのです。
まったく重くない、絶妙の揚げ具合に悶絶
ここで店員さんに「お勧めの定食を」という思いっきり他力本願なオーダーをしてみました。油がきれいです。
美味しい物を作っている人の顔って、恐ろしく真剣で怖いか、「あぁ、美味しそうになってきたなぁ」と想像しながら作っていて、自然と笑顔になっている人の2つに分かれるような気がします。
「今、美味しそうになって来たなぁ、と思いながら作っているでしょ?」
出てきましたのが、
はい、お待たせ致しました。
とんかつ&エビフライ定食1450円。人気のとんかつと、大ぶりのエビフライの組み合わせが、とっても贅沢です!
続いて、こちらも人気メニューの唐揚げ定食1200円!
さらに、チキン南蛮定食1150円。
・・・。
あっ、えっと、その。
私、小食なんですが。
残ったらお持ち帰りできるのかなぁ、と思いながら、とにかくいただきます。
とんかつ、エビフライ、どちらも人気メニューですが、これなら一度に食べられます。
とんかつは四万十ポークを使用しています。
オレンジ風味のとんかつソースは当然オリジナルなもの。実はオレンジ風味のオリーブオイルが入っているんです。
あぶら物に油入りのソースなんて、くどくならないんだろうか、と思いながら食べると、サクッとした食感ととっても柔らかい四万十ポークの食感の違いが楽しい一品でした。ソースもクドさなんか微塵もなしです。実にサッパリと、軽いとんかつでした。
続いてエビフライ。自家製タルタルソースをつけます。このタルタルソースは京都・大原のしば漬けを使って作った、これもオリジナル。これもメチャ旨です。
食べ終わった後も、「これ旨いなぁ、旨いなぁ」と、タルタルソースだけ味わってしまったほど。とんかつよりさらにサクサク感のある大ぶりのエビ。中はプリッとしています。
見てください、このエビフライの衣を。綾綺殿ではパン粉はかなり粗いものを使っています。普通であれば粗いパン粉だと油を吸ってしまって素材の美味しさを損なうこともあるのですが、さすがは油屋さんの油。
かえってカリッと感が増し、嫌な油っぽさもなしです。うむっ。旨いっ。美味しいエビフライは尻尾まで味わえるといいますが、このエビフライは尻尾もポリポリと美味しかったです。
油への圧巻のこだわり!野菜にも、当然いいオイルを使用
お野菜にかけるのも、いいオイルです。
イタリア・サルデーニャ産エキストラバージンオリーブオイル、マレッラまたはオレンジオリーブオイルをかけ、更にアンデスの岩塩、マジョラム、ディル、イエローマスタード、パプリカ、白コショウ入りの綾綺殿オリジナルスパイスを振りかけて。
おおっ、いいオイルが口の中にあるので、口も滑らか。噛まずに言えました。
写真を撮るため、何度もオイルをかけたのですが、油っぽくならず。むしろ美味しい。
さて、こちらもファンの多い唐揚げです。丹波味わい鶏のモモ肉を使用。
しっかりと味が付いているので、そのままでもOKです。綾綺殿オリジナルスパイスをちょっとかけても、美味しいんです。これは、カリっと具合が凄い。
テレビなんかで聞くような、大げさな「サクッ、パリッ、カリっ!」という音がします。その後、鶏の旨味がじゅわっと口に広がります。
今度はマレッラをかけて・・・。
綾綺殿特製スパイスをささっ、とかけると。 うんっ、美味しいです。ごはんもすすみます。
さて、驚いたことに、私の満腹中枢は、ほぼ反応なし。続きまして、チキン南蛮です。
何度も言って申し訳ないんですが、このタルタルが美味しいんです。ネギと一緒に食べると爽やかさもアップします。などと言っていると、恐ろしいことに、完食をしてしまっていました。
普段から小食を売りにしている私の言葉なので説得力があると思います。はっきり言って、食べやすいと言う次元の物ではありません。大食いの人は食べ過ぎに注意してください。
いくらでも食べられそうで怖いです。
普段なら、合間に野菜タイムをはさんで口の中の脂っこさをリセットしつつ食べる私ですが、最後に野菜が残るという現象が起こりました。
美味しかった。
いやぁ、ホント、美味しかったです。
ごちそうさま。
食後は贅沢なデザートでゆったり、まったりと・・・
と、ここで食後のデザートお持ちしました、との声が。
レモンオリーブオイルを使ったスコーンは、サクッとした食感が楽しく、さわやかなレモンの風味。
自家製アプリコットジャムや、クリームをつけて食べます。
そしてレモンオリーブオイルを使ったベイクドチーズケーキ。杏のナパージュでコーティングされたちょっぴり甘酸っぱい一品。
オレンジオリーブオイルを使ったガトーショコラはしっとりとした食感と、濃厚なチョコがたまらない。
ゆったりと、庭を眺めながら味わいたい一品です。
そして一番特徴的なのがこのグレースケーキ。カリッと焼きあがった表面とザクッとした中の食感を楽しめます。これに・・・
たっぷりとオレンジオイルをかけて食べるのですが、ちょっと心配なくらいかかってしまいました。
ところが、というか、やっぱりというか、オレンジオイルがかかっているところの方が美味しい。
アイスクリームと油も、合うんです。不思議!
スイーツ好きには天国のような時間です。
飲み物には珍しいほうじ茶のカプチーノを選択。泡立てたミルクで書かれたクマさんの、力の抜けそうな表情がまたなんとも言えないですね。
ご馳走様です。
油の魅力を知ってほしいと力説する店長さん
店長さんにお話をお聞きしました。
言わずもがなかとは思いますが、お店のコンセプトは・・・。
店長さん:「本店である山中油店の良質な油を使ったお料理を実際に召し上がっていただけるお店です。築100年の町家を改修した落ち着いた店内で油の魅力と奥深さを感じていただけます。
当店ではとんかつソースとオリーブオイルを合わせたり、デザートにオリーブオイルをかけるなど、 意外で美味しい組み合わせをお客様に提案しています」
もう一つ、珍しい油を紹介してもらいました。
ストレスをかけずにゆっくりと絞ることによって、ゴマの甘みを引き出した胡麻油。こちらについては・・・?
店長さん:「練りゴマのような味わいの胡麻油で、お野菜の甘みを引き立たせてくれるので、 冷奴にそのままかけたり、炒めものやチャーハンなど、 いろんなお料理に使っていただきたいですね。また当店でもカレーのベースや仕上げにかけるなど、 ちょっと面白いアクセントとして使っています」
油と健康の関係については、過去にも色々注目されていましたが、それに加えて美味しくいい油を取り入れるという事を考える、いいきっかけになりそうに思います。
店長さん:「揚げ物が苦手で、家では美味しく揚げる事が出来なかったけれど、
ここの油だったら美味しく揚げられた。そういって定期的に油をお求めになる
お客様もいらっしゃいます。ご家庭でも気軽に良質で美味しい油を楽しんでいただきたいです」
そういえば、こんなに食べやすい揚げ物も珍しいですよね?
店長さん:「年をとってから、昔は大好きだったとんかつがどうも食べられなくなった。けれど、ここのとんかつだったら食べられるんよ。と、足を運んでくださる方もいらっしゃいます」とのお答え。
分かります。今、身をもってその食べやすさを体験したところです。油物はどうも重くって・・・、という方にこそ来て欲しいお店です。
ただ、油物が好きで、ドカ食いしてしまうんですよね、という方は、食べ過ぎにご注意を。本当にいくらでも食べられそうで、怖いです。
歴史を感じる町並み・・・周辺は観光名所
この一区画は古くからの街並みがきれいに保存、補修されているので、この町自体が散策にもよい観光地のようなものです。
この店を目当てに観光ツアーを組む人もいるという、山中油店さん。 綾綺殿さんの母体である油屋さんです。
こちらも様々なロケに使われている人気スポットです。
油専門店として200年以上の歴史があり、国の登録有形文化財、そして京都の重要景観建造物に指定されている建物は、なるほど歴史マニアならずとも、見入ってしまいます。
またちょっとした小物を見ているだけでも楽しいです。
油の量り売りは、こんな感じでしていたのかなぁ、とか想像しながら見たり、
実際に量り売りもしていたりします。
店内では、珍しい油のテイスティングが出来ます。
他所ではなかなか手に入らない物もあり、土産物なんかにすると良いかも。例えば、このおだしドレッシングは珍しさと使い勝手の良さもあって土産用以外に自分使い用に、遠方から買い求めにくるファンも多いようです。
すぐ向かえには蒔絵のギャラリーなどもあります。
昔ながらのアートに触れることも出来ます。
日によってはお茶のサービスもあったりと、歴史と時間を共有できる空間です。
街全体が美術品のようでした。
紹介したお店
本日の油は何かなど、詳しくはこちらら。
プロフィール
憶良(おくら) : 元ゲームプランナー、元ゲームプロデューサー。
ゲーム企画講師や駄菓子屋店長などを経て現在に至る。
休日は名古屋から鳥取あたりの温泉に浸かり、地元スーパーで珍しい食材を買っては料理する。
その際食べ歩きにも積極的と、食に対してはかなり貪欲。
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