今では健康食品としてすっかり認知されている「黒酢」ですが、その産地は鹿児島県霧島市福山町です。
この地は鹿児島湾(錦江湾)に面し、海からすぐに山へと繋がる地形と1年を通して比較的穏やかな気候、良質な地下水が豊富にあること、昔は貿易港として栄えたのでお酢造りに必要な米が豊富にあったことなどから、200年以上黒酢が造られてきました。そんな黒酢の故郷に今年でオープンから11周年を迎えた「日本初の黒酢レストラン」があります。
今回はその黒酢レストラン「黒酢の郷 桷志田(かくいだ)」で黒酢料理をいただいてきました。
↑国道220号沿いの入口、ここから山手に入ります
↑「おじゃったもんせ」は鹿児島弁で「いらっしゃいませ!」の意味
施設は海沿いの国道から山側に少し登ったところにあり、手作り黒酢が仕込まれている壷畑、その黒酢を使った料理を味わえるレストランや黒酢商品を扱う売店があります。レストランは錦江湾と桜島、壷畑が見晴らせるガラス張りでとってもオシャレな雰囲気。
早速、いくつか人気の料理を作っていただきました。
黒酢を使った料理の独特の旨味とコクを体感したい!
まずはここの名物である「黒豚の黒酢酢豚」。
ここでは料理のほとんどに3年熟成の黒酢が使われていますが、この酢豚は5年熟成の黒酢を使用し、写真を撮っている間もお酢特有の香りが立ち昇ってくるほどです。ん~、香りだけでも美味しそう!
そして意外や意外、食べてみるとそんなに「酸っぱい!」というほどではないのです。これは一般の米酢の約55倍も含まれているというD-アミノ酸のおかげだとか。このD-アミノ酸が黒酢独特の旨味とコクを醸し出しているのだそうです。
↑黒豚の軟骨、柔らかく煮込まれています
さらに味付けはもちろん、煮込みの段階から黒酢を使っているという「黒豚軟骨の黒酢煮込み」は、軟骨がトロトロ状になっていて、女性には嬉しいコラーゲンたっぷりの1品です。この酢豚と軟骨煮は、単品でも食べられますし、ファミリーコース1550円のメイン料理5種類の中からチョイスすることができます。
釣り人から当日の朝に直接買い付ける超新鮮な握り寿司も
ほかにも、地元の漁師さんや釣り人から当日の朝に直接買い付けるという“超新鮮”な錦江湾で釣れた魚を使う握り寿司(桷志田黑ずしランチ2100円)も人気。
↑握り寿司もオシャレな盛り付け!
こちらは酢飯だけでなく、添えられているソースにも黒酢が使われています。パプリカやお茶などを使用したソースを、お醤油の代わりにつけて食べるとカルパッチョ風味のお寿司を味わえるという趣向。
↑パプリカを使った鮮やかなソースも黒酢使用
「とにかくジャンルを超えた黒酢料理を提供したい」という中村料理長の言葉どおり、和、洋、中の各料理に工夫を凝らして黒酢が使われています。
↑スイーツプレート、アップルパイのリンゴを黒酢で煮込んでいるそう
しかも使われている野菜の多くを敷地内の畑やハウスで有機栽培しているというから、黒酢のヘルシーさと相まって身体に優しい料理ばかりなのです。
↑敷地内の畑で有機栽培されている野菜を使ったサラダ。ドレッシングに黒酢を使用
ちなみに賄いなどで普段から黒酢料理を食べているスタッフの皆さんは鹿児島の暑い夏でも夏バテなどもせず、体調のいい人が多いそうですよ。
↑ブルーベリーとイチゴのスムージー、これも黒酢入ってます!
売店には「ふりかけ黒酢」もある!
売店ではレストランでも使われている特製のドレッシング、携帯できていつでも使える「ふりかけ黒酢」、黒酢を使ったソフトクリーム、アップルパイ、ふくれ菓子などのスイーツ類など「こんなものにも黒酢が!?」と驚くような幅広い品ぞろえの黒酢商品を購入できます。
↑売店にはいろんなお酢商品が並びます
↑これなら自宅でも美味しいお寿司を作れそう!
さらにお酢の香りが漂う、黒酢を仕込んでいる壷畑の見学もできます。
↑中では黒酢が熟成している壷は雨の日も風の日もこのまま。まさに「壷畑」
↑右から1年、3年、5年熟成させた黒酢。味も香りも全く違います
美味しいものを食べて健康に、そんなヒントが詰まったスポットでした。
紹介したお店
黒酢レストラン「黒酢の郷 桷志田」
☎ 0995-55-3231
営業時間 8:30~17:30(見学・ショッピング)、11:00~15:00(ランチタイム)
休み なし
駐車場 100台
おばらけいこ プロフィール
鹿児島は南薩に生まれ、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」のひとつ旧集成館にほど近い上町エリア在住のフリーライター。
地元タウン誌出身、取材範囲は鹿児島を中心に九州全域の観光関連情報を中心にあれこれ。
芋焼酎のお湯割りと鶏刺しがあればとりあえずご機嫌になります。