外観からして老舗オーラがビンビンきてるお好み焼きの「染太郎」
日本を代表する観光地・浅草。
そばに天ぷら、すき焼きと老舗や名店がひしめきあうエリアだけに、かえって、どこでご飯を食べればいいのか悩んでしまいがち。
ましてや
- 味のある空間で
- 浅草っぽい食べ物を
- そんなに高くないお値段で
という条件まで加わえてしまったら、「そんな都合のいいお店探せないよ~~~」とお手上げだろう。
でもね、あるんです。すべての条件を満たす、超絶おススメのお店が。
1937年創業。戦前から営業してるお好み焼き屋の「染太郎」だ。
平屋の店舗の左半分が、生い茂った樹木で覆いつくされている。外観からして老舗のオーラがビンビンきてる。
エアコンがなく鉄板も熱いので、夏場の店内はむんむんたる熱気。うちわが欠かせない。それはそれで冷えたビールがうまいし、情緒があって面白いのだが、快適さでいえばちょうど今ぐらいの時期に行くのがベストだろう。
脱いだ靴はビニール袋にいれて、持って上がる。すべて座敷席。
長い年月をかけて、煙をたっぷり吸いこんだ柱や壁の木が、最高に渋い色あいだ。
四方をお餅で固める「しゅうまい天」
▲しゅうまい天(730円)の材料
もちろん普通のお好み焼きもいいけれど、ちょっと変わり種を攻めたいのなら、しゅうまい天を頼んでほしい。
生地とは別に、ひき肉、玉ねぎ、お餅が出てくる。
ひき肉と玉ねぎを生地にいれて
かき混ぜる。
この時点では、まだお餅に触れない。
じゃあ、お餅はどうするのか。こう使う。
ちょっと隙間をあけて、お餅で囲いを作り、間に生地を注ぐ。四方をお餅の壁に囲まれたその光景は、さながら餅の城。
生地がある程度固まったら、お餅の幅をつめ、四角く成形する。
お餅と生地がくっついたらひっくり返して、お餅がふくらんできたら、もう一回ひっくり返す。ソースではなく、かるく醤油をかければ完成だ。
見た目も味もお好み焼きっぽくないが、じゃあ、しゅうまいなのかと言うとそれも違う。
ひき肉のジューシーな味わいと、外側のモチモチした食感が組み合わされた「しゅうまい天」としか呼びようのない食べ物なのだ。
創業80年の老舗店で、こんなに新感覚の食べ物に出会えるなんて。
ひっくり返した銀皿で、焼きそばを蒸す
ここの焼きそばはソースをたらす前から、すでに麺が茶色い。
ウソかマコトか、スタッフさんは「麺を染めているから、店名を染太郎にしたんだよ」とおっしゃっていた。
銀皿をひっくり返して、ちょっとの間だけ蒸す。
中太麺で食べごたえがある焼きそば。
2人で行ったら、しゅうまい天に焼きそば、お好み焼きを1枚食べたら、もうそれだけでお腹はパンパンだ。
締めのデザートは、あんこ巻き
▲あんこ巻き 550円
ちょっとお腹に余裕があれば、ぜひ締めのデザートとして攻めたいのがあんこ巻き。
古くから東京のお好み焼き屋やもんじゃ屋に存在しているメニューだが、いまや、あんこ巻きをおいてるお店はそこまで多くので、食べたことないって人も多いのでは。
あんこはお好みにあわせて、こしあんか小倉あんをチョイスできる。
作り方はとっても簡単。
小麦粉の生地を薄くのばして
一列にあんこを並べる。
生地が固まったら、玉子焼きの要領でくるくると巻いていく。
ほんの2〜3分で出来上がり。
食べやすいサイズにへらで切って、アツアツをほおばる。
生地はぷにっぷに。ついさっきまで肉や野菜を炒めていた鉄板なので、甘いだけじゃない、複雑な旨みが生地に染みている。この鉄板でしか生み出せない唯一無二のデザート。それがあんこ巻き。
お好み焼き屋の締めとして、最適な一品だ。
取材したお店
作者:松澤茂信(まつざわしげのぶ)
東京別視点ガイド編集長。
るるぶとか東京ウォーカーが積極的に載せないようなとこばっかし巡ってます。
そういう人生です。けっこー楽しいです。
(編集:編集プロダクション studio woofoo by GMO)
東京別視点ガイド:http://www.another-tokyo.com/
Twitter:https://twitter.com/matsuzawa_s