こちらはいったい何を揚げたものかお分かりでしょうか
片瀬江ノ島から北へ数キロいった、小田急江ノ島線・善行駅。観光客でにぎわう江ノ島とは好対照な、静かで落ち着いた駅だ。 そんなおだやかな駅前で、ひときわ目立つ黄色い看板。「揚げ物専門店ビーバー」である。
テイクアウト専門の揚げ物屋さん。店頭に置かれたベンチに座って、買い食いもできる。
小学生とおぼしき兄弟がなかよくコロッケを食べていたり、はたまた自転車に乗ってきた主婦が夕飯のオカズにでもするのか唐揚げを大量に買っていったりと、幅広い客層に愛されているようだ。
幅広いのは客層だけではない。
揚げられるものの範囲が異常なほど幅広いのだ。
唐揚げ、コロッケ、とり軟骨といった一般的な揚げ物から、揚げモナカアイスに揚げ雪見大福と、アイスまで揚げてしまう始末。
さらに斬新なのが、メニュー表に書かれている(持参)というシステム。
揚げ大福(持参)
揚げパンの耳(持参)
揚げチョコバナナ(持参)
とあるのだが、これは「大福やパンの耳を自分で持ってくれば揚げてあげるよ」という意味。大福やパンの耳はまだしも、チョコバナナを持参するのはなかなかハードルが高そうだ。
コロッケ1個40円、メンチカツ1個80円とやたらお安いお値段なのだが、材料の値上げにはかなり苦戦しているようす。心付けをいれる箱が設置してあった。お客さんの多くを学生さんが占めてるようなので、値上げをせずに頑張っているのだろう。
看板が真新しいこともあったので、ここ4〜5年で出来たお店なのかと思いきや、創業は1977年。この場所で40年近く営業している。
オヤジさんが1人でまわしているんだけど、定休日は無し。営業時間も朝10時から夜22時半までとかなり長い。「40年ぜんぜん休んでないんですか!?」と尋ねたところ、「夏に1日と、年末に1日だけ休むよ」とのこと。鉄人だ。
来年からはさすがに定休日を1日作ろうかとかんがえてるんだとか。
フランクフルトだろうと雪見だいふくだろうと、揚げる!
▲とりかわ 300円 + 焼き肉のタレ50円
ビーバーの目玉商品といえば、これ、とりかわだ。
容器一杯に揚げた鳥皮をぎっしり詰めてくれる。鳥皮ってジャンクな味でぎとぎとしてるけど、ときおり無性に食いたくなるときがあるんだよね。
揚げ方は「ふつう」「ふつかり」「ふつかりかり」「かりかり」の4レベルから選択可能。味つけも塩、レモン汁、ガーリックなど11種類から選べるぞ。 有料にはなるけれど、店長さんが一番おススメの焼き肉のタレでいただいた。
▲揚げフランクフルト 150円
フランクフルトをからっと揚げた1本。
衣をまとってアメリカンドックにも似たおいしさだ。食べても食べても腹が減る中高生は、きっと重宝するんじゃないかな。
▲揚げイチゴミルク 2個160円
メニューをざっと見て「あげイチゴミルク??」と疑問をいだいた一品。どんなものが出てくるのか想像できなかったが、頼んでみたら丸っこい物体であった。生クリームが添えられている。
中身は、イチゴ果肉のはいったアイスであった。
イチゴのアイスと揚げ物。字面でみると絶望的な組み合わせに思えるんだけど、実際に食べてみると、これが案外悪くない。 ほんのり暖まったイチゴ果肉と、ちょっとトロけたアイス部分が、サクサクの衣に包みこまれて、意外と一体化してるんだな。揚げ物のポテンシャル凄いな。
▲揚げ雪見だいふく 200円
きわめつけは揚げ雪見だいふく。
まるっこい揚げものの上にこんまりトグロを巻いた生クリーム。まず、そのビジュアルが面白い。
メンチカツから肉汁が溢れだすように、ハシをいれると、とけたバニラがじゅわっと溢れてくる。揚げ物にすることで、二段階も三段階も味が濃くなった感じがする。むちゃくちゃ甘くて、むちゃくちゃ濃ゆい!
取材したお店
ビーバー
TEL:0466-82-1010
作者:松澤茂信(まつざわしげのぶ)
東京別視点ガイド編集長。
るるぶとか東京ウォーカーが積極的に載せないようなとこばっかし巡ってます。
そういう人生です。けっこー楽しいです。
(編集:編集プロダクション studio woofoo by GMO)
東京別視点ガイド:http://www.another-tokyo.com/
Twitter:https://twitter.com/matsuzawa_s