二子玉川(ふたこたまがわ)、略してニコタマ。二子山親方とは何の関係もありません。東京西側、あるいは横浜川崎北部の人々には憧れの「セレブな奥様方の街」です。
関東以外に在住の方や上京したての方は、世田谷区とはいえ都心からまあまあ距離のある二子玉川がなんでセレブの街なのだろう?といぶかしく思うかもしれません。
現在のイメージが定着したのは、田園都市線沿線を舞台とした某ドラマが1980年代に人気を博し、直後にバブル時代へ突入→地価がうなぎのぼり、という経緯からでしょう。
21世紀に入ってからは再開発もあいまって、セレブでおしゃれな街としての地位をさらに固めたように思われます。
しかし、少し歩けば昔ながらの商店街もあったり、かつては暴走族も多かったりと、「セレブでおしゃれ」なだけではない多様な人の集まる街であり、パン屋さんも「いかにもニコタマ」な最先端のパン屋さんから、老舗まで非常に幅が広く、競争も激しいためレベルも高いのです。
そんなバラエティに富んだ二子玉川のパン屋さんを、実際に歩き回って発掘し、本当に美味しいお店だけまとめてみました。
- 1.【天然酵母クロワッサン】120年以上前の創業時のレシピを守り続ける「PAUL玉川店」
- 2.【70種類以上のパンが並ぶ】30年前にバゲットとクロワッサンから始まった「FOUCHON玉川高島屋店」
- 3.【季節のパンフェアが楽しい】お手ごろ感が魅力の「サンジェルマン玉川高島屋店」
- 4.【本業は輸入食品店】製造と販売をしているのはこの玉川高島屋店だけ「明治屋デリベイク」
- 5. 【街のパン屋さん】早期復活希望…!「藤屋ベーカリージュン」
- 6. 「バターがなんと30種類】天然酵母を使い溶岩窯で焼き上げたパンが並ぶ「ブレッド&バターファクトリー二子玉川」
- 7.【グルメ食材のワンダーランド】スペイン王室御用達のグルメストア「マヨルカ」
- 8.【レーズン酵母と酒粕酵母使用】小さな子供にも優しいパン屋さん「カンパニオ」
- 9.【小麦粉本来のうまみ】洗練されたイタリアのパネッテーリア「ジャンフランコ」
- 10.【シナモンロールの有名店】上野毛で愛され続ける「キャッスル」
1.【天然酵母クロワッサン】120年以上前の創業時のレシピを守り続ける「PAUL玉川店」
クロワッサンがイチオシのお店です。天然酵母のクロワッサンだから、食感が他のお店とは違うのだとか。「1889年の創業当時のレシピを守り続け、現地フランスの契約農家で栽培された小麦しか使わないというこだわりの味」と、スタッフの方も誇らしげに話してくださいました。なんと、生地を冷凍空輸便で運び、焼き上げを日本でするほどの徹底ぶりです。
甘いパンも、総菜パンも充実していて、特にクロワッサンサンドはランチにぴったりですよ!
一番人気はやっぱり、クロワッサン。
口に入れた瞬間、バターの香りがふわっと口の中いっぱいに広がります。甘さはごく控えめで、ほぼ純粋な「小麦粉の甘み」といった感じです。かなり大きめサイズのクロワッサンなのですが、その大きさも甘さを考えるとちょうどいいバランスなのかもしれません。
一押しは、クロワッサン・ショコラ・ブラン。
ふつうのクロワッサンに比べて、ホワイトチョコレートの甘さがインパクト大。ホワイトチョコレートがのって失われたぶんのサクサク感を、上に散らされたのカラメルの食感がサポートしています。こちらは、現在は限られたお店でしか提供していないとのこと。
店名:PAUL 玉川店
住所:東京都世田谷区玉川3-17-1玉川高島屋S・C 南館B1F
TEL:03-5797-3170
営業時間:10:00~21:00(ラストオーダー 20:00)
URL:http://r.gnavi.co.jp/5u5fnhck0000/
2.【70種類以上のパンが並ぶ】30年前にバゲットとクロワッサンから始まった「FOUCHON玉川高島屋店」
紅茶で有名なFAUCHONのベーカリー。こちらの店舗はおなじみの紅茶や蜂蜜などの物販も充実しています。30年前にバゲットとクロワッサンから始まった同店では、今では、70種類以上のパンが毎日売り場に並んでいるそうです。
FAUCHONならではのハイセンスなルックスに加え、一つ一つの商品に手を抜かない味を追求する姿勢も素晴らしいですね。
おすすめは、カレ・クレーム。
FAUCHONのブランドを前面に出した「F」の文字。中身はカスタードクリームです。
このカスタードクリームが並みのカスタードではなく、しっかりとした卵の味とバニラの香りがします。多すぎることもなく、少なすぎることもなく、ベストな分量でクリームが入っています。ただのクリームたっぷりじゃ満足できない!なんて本格派の方には特にオススメ。
お客様の声に応えて復活した、という人気商品がこちらのシトロン。
レモン味のパンなのですが、単なる「レモン風味」ではない、ぎゅっとレモンを凝縮したような、その場でレモンを絞ったかのような風味がとっても刺激的です。外はカリカリ、中はほろほろと崩れる生地の触感がまた楽しいですね。
店名:FAUCHON 玉川高島屋店
住所:東京都世田谷区玉川3-17-1 玉川タカシマヤ B1F
TEL:03-3709-3111
営業時間:10:00~20:30
URL:http://r.gnavi.co.jp/3v94gtw20000/
3.【季節のパンフェアが楽しい】お手ごろ感が魅力の「サンジェルマン玉川高島屋店」
いろんな駅で見かけるサンジェルマン。知り合いのお宅を訪ねるのに、お土産に買っていこうかな、なんて形で買ったことがある人も多いのではないでしょうか。サンジェルマンの魅力は、なんといってもそのお手頃感。
また、10月はハロウィン、春は豆のパンなど、季節のパンのフェアもほぼ休みなく行われているので、常に新しい味があるのも、とっても楽しいですね。
人気商品は、メープルウォールナッツ。
たっぷり入ったナッツと、ぜいたくなメープルの香りに、舌もおなかも大満足な一品。ふんわりとしていながらも水分の多めな生地で、これ一つでけっこうおなか一杯にしてくれます。女性の方でも食べやすく、お土産におすすめとのことです。
お店の方のオススメは、ダブルウインナーロール。
一つのパンにウインナーが2本入ったパン。ウインナーの間にはマヨネーズとパセリが挟まれています。主役のウインナーは比較的、脂が少なめで、やわらかいパンにはさまれてしっかりと食感を主張しています。
店名:サンジェルマン玉川タカシマヤ店
住所:東京都世田谷区玉川3-17-1玉川タカシマヤ B1F
TEL:03-5491-5411
営業時間:10:00-20:00
4.【本業は輸入食品店】製造と販売をしているのはこの玉川高島屋店だけ「明治屋デリベイク」
日本の輸入食品店の老舗、明治屋のベーカリー。パンを販売している店舗は他にもあるものの、製造と販売しているのはこの玉川高島屋店のみなのだそう。
材料への思い入れが感じられるのが、輸入食品店が本業であるこちらのお店の魅力です。小麦粉をはじめ、お総菜パンに使われるウインナーやチーズ、チョコレートなどにもこだわりが見られます。
また、明治屋の中にあるパン屋さんなので、アレンジを自分で考えることができるのも魅力。プレーンなパンを買って、ハムやソーセージを選んで買うなどしても楽しいですね。
オススメは、塩バターショコラ。
まだまだ人気の「塩パン」ですが、こちらは塩パンの中にチョコレートが入っています。
外側の生地のカリモチ食感、中身のみっしり詰まった生地からふんわり感じられるバターのコクは、塩パンならでは。中のチョコレートの甘さを、塩気が強調してくれます。
店名:明治屋デリベイク 玉川ストアー
住所:東京都世田谷区玉川3-17-1玉川タカシマヤ B1F
TEL:03-3709-2191
営業時間:10:00~21:00
5. 【街のパン屋さん】早期復活希望…!「藤屋ベーカリージュン」
駅から少し歩いた、住宅地の間にある一見するとごくふつうのパン屋さん。お総菜パンがメインなので、ランチとして買っていく方がとっても多いのだとか。
創業35年の老舗ながら、開店当初から健康志向のお店です。お店の入り口には、「当店のパンは、健康のため減塩・ミネラル入りになっております。」の貼り紙がしてあります。ちなみに「ミネラル入り」とは、ミネラルウォーターを使っているから。開店当時はミネラルウォーターを使用したパンは珍しかったのだそうです。
お店には電子レンジが置いてあり、お総菜パンを温めて食べることもできます。
食パンです。
びっくりするくらい中身がみっちりと詰まっていて、水気の多い野菜などをはさんでも生地が負けなさそうです。一口噛むだけで小麦粉の香りがふんわりと口の中に広がる、期待を裏切らない”純”な食パンです。水分を逃がさないために焼き上がり後すぐに食パンを入れている木箱は、35年使い続けているというから驚きです。
オススメは、キーマカレーパン。
キーマカレーがお芋で包まれて、その上からさらにコロッケ生地で包んであります。パン、コロッケ、芋、カレーの比率が絶妙で、最後まで飽きさせない食べ応え。口をいっぱいにひろげてほおばりたい一品です。
店名:藤屋ベーカリー・ジュン
住所:東京都世田谷区玉川4-8-4 深志ビル1F
TEL:03-3708-3030
営業時間:7:00〜20:00
※7/1現在、「都合により、しばらくお休みさせていただきます」の貼り紙がシャッターに貼られています。早期復活を祈ります…!
6. 「バターがなんと30種類】天然酵母を使い溶岩窯で焼き上げたパンが並ぶ「ブレッド&バターファクトリー二子玉川」
二子玉川ライズの通りを挟んで北側にある、ブレッド&バターファクトリー二子玉川。
天然酵母を使い溶岩窯で焼き上げたパンに、日本だけでなく世界各国から仕入れたバターがなんと30種類も並ぶお店。
さらに工房でパティシエが作る焼き菓子や美しいケーキまで!
店内にはいたるところに商品を説明した手書きのポップがあるので、パンとバターの組み合わせを相談するのも楽しそう。
人気ナンバーワンのレーズンブレッド(ハーフ) 230円
手に取るとずっしりとしているのに、手で割ってみるとふんわり。もちもちとした食感にぎっしりと巻き込んであるレーズンの一粒一粒が大きくてジューシー!
お店では町村バターとの組み合わせをオススメしていましたよ。
おススメはナスとキーマカーレーのチャパタ 260円
ナスはとろーり、鉄板にこぼれたチーズのカリカリが美味しいのもお約束。
薄めのチャパタとナスとチーズが一体感があり、大きめの見た目よりも女性もペロッといけちゃいますよ。
週末は15、16時頃には品薄になってしまうそうなので、お昼までに行くことをオススメします。
店名:ブレッド&バターファクトリー二子玉川
住所:東京都世田谷区玉川1-17-7
TEL:03-3700-3301
営業時間:AM7:00~PM7:00
URL: http://r.gnavi.co.jp/meudhjuk0000/
7.【グルメ食材のワンダーランド】スペイン王室御用達のグルメストア「マヨルカ」
1931年の創業からスペインで愛され続ける老舗中の老舗が、スペイン国外に初出店したのがここ二子玉川。
べーカリーの他にもデリや高級チョコレート、さらには豊富なオリーブオイルから珍しい缶詰食材などスペインのグルメ食材のワンダーランド!
お店の顔!エンサイマーダ
エンサイマーダとはスペインのマヨルカ島の伝統的なお菓子のことで、外側がカリッとして、中はしっとりしたケーキのような甘いパンのこと。
甘いものがお好きなら、とオススメされたこちらをチョイス。
エンサイマーダ ヌエス 290円
口の中いっぱいに広がるシナモンの香りに、アーモンドやクルミなどのナッツがゴロゴロとなんともゴージャス!かいしっかりとした甘さもまたスペインならでは。
こちらも外せない、ボカディージョ(サンドイッチ)
思わずかわいい!と声に出してしまうほど、小さなハンバーガーの様な見た目がなんともフォトジェニック!ほとんどがSMLの3サイズ用意されています。
トルティージャとハモンセラーノ 190円。
スペインの角切りのジャガイモが入ったオムレツの優しい味わいに、生ハムの塩気が絶妙にマッチ。そしてバンズがパリッと美味しいのです。
このボカディージョをすべて違う種類でお土産に買っていけば、華やかな見た目で喜ばれること間違いなし!
広々とした店内はベビーカーも楽々、カフェスペースも充実しています。
オーソドックスなワインだけでなく、マヨルカオリジナルの冷えたカヴァ(スパークリングワイン)まであることに驚愕!パンとお惣菜と缶詰のおつまみ…パーティーに必要なものがここですべて揃っちゃう。川沿いのベンチでゆっくり乾杯するのもいいですね。
店名:マヨルカ
住所:東京都世田谷区 玉川1-14-1 二子玉川ライズショッピングセンター テラスマーケット2℉
TEL:03-6432-7220
営業時間:AM10:00~PM11:00
8.【レーズン酵母と酒粕酵母使用】小さな子供にも優しいパン屋さん「カンパニオ」
用賀駅から徒歩5分、桜新町駅からは徒歩7分のところにあるカンパニオ。
小さな店内にはレーズン酵母と酒粕酵母の2種類を使って時間を掛けて焼き上げたパンが並び、動物の形をした可愛らしいものも。
対面販売方式なので気軽に「これは何が入っていますか?」と質問しながら選ぶことができます。
お目当てこだわりのカンパーニュだったのですが、なんと12時前にもかかわらず売り切れ!日によるそうですが確実にゲットするなら午前中に行くのが良さそう。
カンパーニュそのものは売り切れなものの、カンパーニュがベースになっているお総菜パンはウインナーやジャーマンベーコンチーズなどバリエーションが豊富!
カンパーニュときなこの組み合わせが斬新だなぁとこちらをチョイス。
きなこクリームのカンパーニュ(コーンフレーク入り) 250円
口の中に香ばしさが広がるカンパーニュらしいしっかりした生地ながら、ふわっとした軽い口当たり。
ピーナッツのような濃厚なきなこクリームの中にコーンフレークのしゃりしゃりした食感がアクセントになっていて新鮮!
そして150円からと手軽な価格が嬉しい、人気のサンドイッチからもおススメをチョイス
チキンカレーフランスサンド 210円
とてもマイルドなカレーソースにゆで卵にチキンという、まさに子供が大好きな組み合わせ!そこにレタスのみずみずしさがアクセントになっています。
サンドしているフランスパンも1㎝ほどの薄切りなので、小さなお子さんも食べやすそう。
店名のカンパニオはイタリア語で「パンを分け合う人」という意味もあるそう。まさに小さな子供と家族みんなで食べたいパンが沢山ありました。
店名:カンパニオ
住所:東京都世田谷区用賀3-5-10
TEL:03-3707-1455
営業時間:AM10:00~PM6:00 月曜定休
9.【小麦粉本来のうまみ】洗練されたイタリアのパネッテーリア「ジャンフランコ」
用賀駅東口から徒歩5分ほど。
イタリアのジャンフランコ氏が90年以上受け継いできた天然酵母を譲り受け、イーストのみでは醸し出せない、小麦粉本来のうまみを引ぎだしたパンを焼いているそう。
店内に一歩入ると小麦のいい香りが広がり、洗練されたおしゃれな雰囲気はさすがイタリアのパネッテーリア(パン屋さん)です。
とても親切な女性スタッフに、酵母の味を堪能できるものを尋ねるとおススメされたのが一番人気のこちら。
バゲット 300円
1日3回焼いていても、並べるとすぐに売り切れちゃうこともあるそう。
外側はばりっと中はふんわりしっとり。噛むとしめるほどに小麦の香りと味が強くなり、最後にしっかりとした甘みが口の中に残る上品な味わいで美味しい!
ハードパン好きならあえて小さいサイズを選んで外側をたっぷり堪能するのもいいかも。
12ブッロ 140円
こちらはバゲット生地とバターを12層に折り込んだもの。クロワッサンを想像していたら全くの別物!もちもちとした層が口の中でほどけていき、最後に上質なバターがじゅんわり。さらに外側はパリパリしていてこの食感の違いも面白い!
12ブッロの新鮮な食感は、パン好きへのお土産にしたら盛り上がりそう。
売り切れが多くならないように調整しながら焼いてるそう。親切なスタッフの方とのコミュニケーションも楽しいお店でした。
バゲットの焼き上がり時間はこちら。
店名:ジャンフランコ
住所:東京都世田谷区用賀4-14-21
TEL:03-6432-7317
営業時間:[水~日]AM10:00~PM6:00
10.【シナモンロールの有名店】上野毛で愛され続ける「キャッスル」
大井町線の上野毛駅と、田園都市線の用賀のちょうど中間、世田谷の「中町」で創業30年。ご夫婦が営む地元の人に愛されているまちのパン屋さんが「キャッスル」です。こちらのシナモンロールは有名人にもファンが多く店内にはサイン色紙がたくさん!
シナモンロールは12時と14時の焼き上がりなので、開店直後にはまだ並んでいないので要注意。この焼き上がりに合わせるように12時にはお客さんがどんどんと入ってきていました。
お店の方のオススメはシナモンロール300円。
普段は5枚にカットされているそうですが、焼き立てなのでそのままいただきました。
主張しすぎないシナモンと優しい甘さがベストマッチ。そしてフワフワを通り越してふわんふわん!この食感の虜になるのも納得です…
前身が洋食屋さんだそうで三元豚カツサンド(350円)をはじめとするお惣菜パンも人気。
お店に入ると、お父さんがキッチンからでてきて声を掛けてくれる温かさも人気の秘密ですね。
店名:キャッスル
住所:東京都世田谷区中町4-8-7
TEL:03-3704-5756
営業時間:[火~日]AM10:00~PM6:00
お気に入りのパン屋さんは見つかりましたか?
都内でも珍しい豊かな自然に囲まれているのも二子玉川の魅力のひとつですから、お気に入りのパン屋さんで好きなパンを買って、多摩川の川辺でピクニックをしてみるのもオススメですよ。
フードクリエイティブファクトリー編集部
中野区にある企画制作会社。
「食を通して大切な人との暮らしをもっと楽しく」という意図のもと、様々な企画やレシピ制作の他、執筆、メディア出演、イベント企画、出演にコンサルティング事業など食に関する事業をしています。