エスニック料理屋さんやカフェで人気の「ハイナンチーハン」。漢字だと海南鶏飯と書き、シンガポールチキンライスともいいますね。
茹で鶏とその茹で汁で炊いた白米を器に盛りつける料理で、シンガポールやマレーシア、タイなどの東南アジア周辺地域では一般的に食べられています。タイでは「カオマンガイ」ですね。
本日は、シンガポールで様々なチキンライスを食べ歩いた料理研究家の五十嵐ゆかりが、しっとり柔らかなハイナンチーハンをつくる方法を、科学を交えてご紹介いたします!
しっとり柔らかなハイナンチーハン
〈材料:2人分〉
- 生姜・・・・・・・・・・・・・・・・・・1片(10g)
- 鶏もも肉・・・・・・・・・・・・・・・・2枚(約400g)
- 水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・800ml
- にんにく・・・・・・・・・・・・・・・・1片(5g)
- ジャスミンライス(なければ普通の白米)・1合分
- 醤油・・・・・・・・・・・・・・・・・・小さじ1
- ごま油・・・・・・・・・・・・・・・・・大さじ1
- パクチー(ざく切り)・・・・・・・・・・適量
- きゅうり(薄切り)・・・・・・・・・・・適量
- トマト(くし切り)・・・・・・・・・・・適量
《たれ》
- A 生姜(皮をむいてすりおろす)・・・・・1/2片(5g)
- A レモン汁・・・・・・・・・・・・・・・・大さじ1
- A 醤油・・・・・・・・・・・・・・・・・・大さじ1
- チリソース(市販品)・・・・・・・・・・適量
〈作り方〉
- 生姜は薄切りして鍋に入れ、水を加えて中火にかける。ふつふつとしてきたら鶏もも肉を加えてアクを取り除き、蓋をしてふつふつする位の火加減で20分茹でる。
- 火を止めて茹で汁が冷めるまでそのままおく。
- にんにくはみじん切りする。
- フライパンににんにく、ごま油を入れて弱火にかけ、香りがたったらジャスミンライスを加えて中火で油が全体にまわるまで炒める。
- 2.の茹で汁(250cc)、醤油を加えて蓋をし、ふつふつとしてきたら弱火で10分煮る。
- 1.の鶏もも肉を加え、さらに5分煮る。
- 10分蒸らしたら鶏もも肉を取り出して食べやすい大きさに切る。
- ごはんを混ぜる。
- 器にごはんを盛り、鶏もも肉を添えてパクチー、きゅうり、トマトを添える。
- Aとチリソースを添える。
レシピは上記の通りですが、ここからはポイントごとに、科学的観点で補足いたします。
■科学1 鶏もも肉は60℃以上のお湯から茹でる!
鶏もも肉を水から茹でると、表面のたんぱく質が凝固するまでに時間がかかるため、旨みや水分が流出してしまいます。沸騰させない程度のお湯に入れて茹でることで、表面のたんぱく質が凝固して、旨みや水分の流出を防げます。たんぱく質は60℃以上から凝固し始めるため、60℃以上の温度のお湯に入れるようにしてください。
■科学2 鶏もも肉は弱火で茹でる!
鶏もも肉を強火で加熱すると、細胞が急激に収縮することによって水分や肉汁が流れ出てしまいます。また、表面のたんぱく質の凝固の層が厚くなるために表面がかたくなり過ぎてしまいます。弱火では水分が保たれ、表面のたんぱく質の凝固の層が厚くなりにくいためにジューシーに仕上がるのです。
■科学3 ジャスミンライスは油で炒めてから煮る!
ジャスミンライスを油で炒めてから煮ることで表面が油でコーティングされます。すると、水が中に浸透しにくくなり、ちょうど良いかたさに仕上がります。
■科学4 鶏もも肉を仕上げに煮る!
鶏もも肉の脂は冷めるとかたまる性質を持ちます。この脂が溶け始める温度は30〜32℃程度です。ハイナンチーハンの鶏もも肉は、冷めた状態でトッピングしては脂がかたまって口当たりが悪くなります。仕上げに少し煮ることで肉の脂が溶け、なめらかな口当たりと美味しさ、コクを感じられます。
しっとり柔らかなハイナンチーハンを作るための科学をまとめます。
1. 鶏もも肉は60℃以上のぐつぐつさせない程度のお湯から茹でる
2. 鶏もも肉は弱火で茹でる
3. ジャスミンライスは油で炒めてから煮る
4. 鶏もも肉を仕上げに加えて煮る
いかがでしたか。
しっとり柔らかなハイナンチーハンを作るための科学をご紹介いたしました。しっとり柔らかに仕上げるには難易度が高そうなハイナンチーハンですが、ちょっとしたコツを守ればご家庭でも簡単に作ることができますよ。特別な調理器具を用意しなくても、ご家庭にある調理器具で十分においしく作れます。
得意料理はハイナンチーハン!!なんて言ってみたくありませんか?今回ご紹介した方法で作れば、きっと得意料理の1品に加えられるはず!ぜひ試してみてくださいね。
プロフィール
執筆:管理栄養士 五十嵐ゆかり
株式会社フードクリエティブファクトリー代表。「大切な人との暮らしをもっと楽しく」を活動テーマとし、管理栄養士・料理研究家として活動している。レシピ開発や栄養監修、コラム執筆、レシピ制作ディレクター、フードアーティストの育成を活動の中心とする。
(編集:河瀬璃菜/フードクリエイティブファクトリー)