「沖縄の名物料理」というと、皆さんは何をイメージされますか?
ゴーヤチャンプルー、ラフテー、ソーキそば、にんじんしりしり、サーターアンダーギー…などなどありますが、今沖縄では、スパムとたまごをご飯でサンドした、ポークたまごおにぎりが新ソウルフードとして人気を集めています。
ブームに火をつけたのは、那覇空港など沖縄県内で3店舗を構える「ポークたまごおにぎり本店」。どの店舗も朝から行列ができるほど盛況で、中にはSNSなどを見て海外から訪れる人もいるそうなんです。
その話題店が2018年12月、沖縄県外で初めて福岡に進出したというニュースを耳にし、さっそく行ってみました!
こちらは、地元民から“お櫛田さん”の愛称で親しまれる、博多の総鎮守・櫛田神社です。「博多祇園山笠」のクライマックス、「追い山」のスタート地点の場所として知っている人もいるのではないでしょうか?
ちょうど、2月の節分大祭の時期に訪れたため、楼門には日本一大きなお多福面がお目見えしていました。
櫛田神社から「大博通り」というメインストリートへ抜ける表参道は、商人の街として栄えた博多の面影を感じさせる建物が点在。「博多町家ふるさと館」という観光名所があり、地元民はもちろん、観光客も多く行き交います。
今回ご紹介するお店も、その一角にありました。
周囲の景観と調和した、落ち着いた雰囲気のファサード。シンプルながらもポップで愛らしい暖簾のロゴが、すごく印象に残ります。
店内は、カフェのようなオシャレな雰囲気でした。随所に木目を散りばめた温かな空間に、開放感のある大きな窓、照明のデザインもなかなか味があります。イートインが可能で、16席が用意されていました。
グレーとイエローカラーで壁に描かれた、英字やロゴもポップでオシャレです。これを背景に記念撮影をして、SNSに投稿する人も多いんだろうな~。
“温かな幸せ”を感じる沖縄のソウルフード
店長の馬場崎さんに、ポークおにぎりやお店のことについて、いろいろと教えていただきました。
「結婚を機に沖縄へ移住した創業者のある日の朝ごはんが、この店の原点になっています。食卓に出てきた奥様手作りのポークたまごおにぎりは、できたて、アツアツふかふか。創業者がそれまで食べてきたものとは、まったくの別物だったそうです。その時の感動がきっかけとなり、“ポークたまごおにぎりの本当のおいしさを多くの人に知って欲しい”と、2014年に沖縄でポークたまごおにぎり専門店を開業させました。」
「一番のこだわりは、全メニュー、注文を受けてから作り始めるところです。お米は、“甘み・うまみ・艶”でコシヒカリをしのぐともいわれる山形県の『つや姫』、ポークは、沖縄の家庭料理に欠かせない『SPAM(スパム)』のポークランチョンミート、海苔は高品質で知られる『有明海苔』を使用。炊き立て、焼きたての最もおいしいポークたまごおにぎりで、お客様に楽しんでいただいております」。
「スパムと卵焼き以外に加える、多彩なトッピングの具材も当店の特徴になっています。ゴーヤや島豆腐など、食材の一部は沖縄より入手。人参しりしりやあぶらみそといった沖縄の定番料理はもちろん、明太子や高菜、アジフライといった福岡・九州らしいメニューも用意しています」。
「アットホームな雰囲気は、オープンキッチンにも取り入れています。スタッフの制服は、白い割烹着に三角巾。沖縄の店では、美しいおにぎりを作る職人という意味を込めて、ケーキ職人の“パティシエ”からもじった“ポテシエ”と呼んでいるそうです。」
「将来の海外進出も視野に入れて、沖縄県外1号店となるこの店からブランドロゴが一新されました。デザインをしたのは、福岡を拠点に数多くのロゴやグラフィックデザイン広告を手がける、アートディレクターの梶原道生さん。このロゴのなかには、ポークの『po』、豚の鼻、卵の形、片手で食べられるおにぎりと、複数の情報が盛り込まれています。」
「現在、この店で用意するポークたまごおにぎりは、『スタンダード』7種と櫛田表参道限定の『博多リミテッド』3種、『スペシャル』3種の計13種。スープやドリンクのサイドメニューもあります。ちょっとした手みやげには、2種のボックスメニューがオススメです」。
馬場崎さんのお話を聞いているうちに、私のお腹が「グ~」と鳴りました。きっと、店内に香る焼きたてのスパムや卵のにおいが、食欲をさらにかきたてているんでしょうね。今回は食欲の赴くがまま、私が“食べてみたい”と思うメニューをすべて、注文しちゃいました(汗)。
できたて&ボリューム満点のおにぎりを実食!
まずは、オーソドックスに「ポーたま」(280円)からいただきます!
トレイに載せられて運ばれてきたポークたまごおにぎりは、まさにファーストフードのハンバーガーのよう。アツアツのタマゴとごはんの甘み、スパムの塩加減と旨味、それに海苔の風味も絶妙で美味。タマゴもスパムも厚みがあって食べ応え十分なので、これ1個でお腹いっぱいになる人もいると思います(私個人的には、まだまだ余裕ですが…笑)。
続いて、「あぶらみそ」(300円)をいただきます!
沖縄では「アンダンスー」と呼ばれ、家庭ごとに独自の味があるという調味料。この店では、豚の三枚肉と味噌をあわせ、黒砂糖、きび糖、上白糖と一緒に火をかけて仕上げています。甘めの味付けが味噌の味を引き立て、それほどクドくない。後を引く味わいがヤミツキになります。
福岡の名物料理をアレンジしたという櫛田表参道限定メニューからは、「博多めんたま」(380円)をピックアップ!
厚焼き卵の中に入る明太子は、博多華丸さんが主役を務める映画のモチーフにもなった、地元・中洲に本店を構える「ふくや」の明太子。高菜のほどよい辛味も楽しめ、まさに、“The 博多”といった味わいです。観光客にはきっと、これが一番ウケるんじゃないかなあ。。。
最後は、スペシャルメニューから「ゴーヤの天ぷら」(450円)です。
大ぶりのゴーヤ天は、衣がサクサクで苦味はナシ。カツオ節の風味との相乗効果で、ゴーヤチャンプルーをおにぎりで食べているような感覚でした。
スープorソフトドリンクとセットでおにぎりを注文すると、50円引きになります。
右下の「さんぴん茶シークワーサー」(単品250円)は香りよく、さっぱりとした味わい。シークワーサーの酸味がアクセントになっています。
左下は「もずくスープ」(単品250円)。沖縄ではアーサ(あおさ)を使っているそうなのですが、福岡ではポピュラーなもずくを使用。島豆腐ととろろ昆布も入っています。
どちらも、おにぎりと相性バッチリ。その日の気分や都合にあわせて組み合わせができますよ。
ほかにも、博多の定番定食であるアジフライをモチーフにしたおにぎりなど、気になるメニューがいっぱいありましたが、それはまた次の機会に…。しばらくリピートしそうな予感です。
モダンステイを提供する1日2組限定の宿泊施設もあり!
実は、この店にはもう一つの顔があります。その答えは、写真の赤い矢印の先にあるドアの向こう側にありました。
ドアに描かれていたのは、「宿屋ひととき」。
そう、この建物の2・3階は宿泊施設になっているんです!
もともとこの場所にあった築52年のビルを、一棟まるごとリノベーション。「博多旧市街のタイムレスなひととき」がコンセプトで、1フロア1部屋のみ、全2部屋の造りになっています。1部屋50平米を超えるゆったりとした客室で、1~6名が利用できるそうです。
今回、店長の馬場崎さんのご好意で、3階の客室「BAKU(博)」を特別に見せていただきました!
50.15平米の広さをもつ、この部屋のテーマは「女子旅」。リビングにはダブルベッドが2台、ドアを隔てた隣の和室には布団を2組み敷けるスペースが用意されています。女性が横に並んで利用できるようにと、洗面台も横広い造りになっているのもポイントです。
お風呂は、樽型のヒノキ風呂。落ち着いた和の雰囲気で、ゆったり旅の疲れが癒せそうです。
美顔器やヘアアイロンなど、女性が喜ぶアイテムも備えてありました。こちらの部屋の宿泊料金は、平日1泊1室30,000円~。一方、モダンで落ち着いた空間にデザインしているという2階の「KAZU」(54.20平米)は、平日1泊1室25,000円~で5名まで宿泊可能。ファミリーや友達同士での宿泊にオススメだそうですよ。
ちなみに、どちらの部屋も朝食は、作りたてのポークたまごおにぎりが1人1個用意されています。地下鉄の最寄り駅となる祇園駅から徒歩3分の立地で、博多や天神の繁華街も徒歩圏内。周囲には観光名所がたくさんあるので、博多観光の拠点としても最適だと思います。
店長の馬場崎さんの目標はこの店を、「観光客にも地元民にも愛される、地域活性化の拠点になるように育てること」。沖縄のブームにのり、「お櫛田さん参り」定番の立ち寄りスポットとして、ますます人気を集めそうな気がします。
櫛田神社近くを訪れる際は、皆さんもぜひ一度この店へ足を運んでみてくださいね。きっと私と同じように、ポークたまごおにぎりのトリコになるはずですよ(笑)。
紹介したお店
ポークたまごおにぎり本店 櫛田表参道
電話:092-263-8300
営業時間:7:00~21:00
定休日:なし
書いた人
ニシダタケシ
福岡・九州の編集プロダクション・シーアールに所属。生まれも育ちも福岡という生粋の九州男児。
流行りもの&甘いもの好きで、嫌いな食べ物はほとんどなし。「毎日完食!」をモットーに、小さなカラダで福岡のおいしいものを食べ歩きます。
憧れの人は出身校の大先輩・タモリさん。グルメレポではたま~にデカ盛りにも挑戦しますよ!