ここ数年、福岡のラーメン界は、醤油ベースのラーメンやまぜそば、全国のご当地麺といった“非豚骨系”と呼ばれる店が台頭し、注目を集めています。
その新潮流を生み出した元祖ともいわれるのが、福岡空港からほど近い、工場地帯の一角に店を構える「らぁめん シフク」です。
2016年、九州の実力ラーメン店を紹介する情報誌の人気投票において、“豚骨ラーメンを出さないお店”として初となる“福岡総合1位”を獲得。ラーメン通を中心に、かなりの話題になりました。
そんな人気店を切り盛りするのが、崎向(さきむかい)善信さん。
もともと豚骨ラーメンが好きで、豚骨ラーメン店で修業をしながら自分が理想とするラーメンを食べ歩いて探していた時、東京のとある塩ラーメン店に遭遇。
「おいしければ、豚骨じゃなくても福岡の人に受け入れられるはず!」と、塩ラーメンに福岡で長年愛される水炊き料理の世界観を取り入れた一杯で、2012年にこの地で自分の店を誕生させました。
\こだわりのスープ&麺から人気の秘密に迫る!/
この店のラーメンは、丸鶏、鶏ガラ、モミジをなどの部位を香味野菜と共にじっくりと丁寧に炊き上げた、「清湯(ちんたん)」と「白湯(ぱいたん)」という2種のスープが基本となります。
「塩らぁめん」や「醤油らぁめん」(いずれも600円)で使う「清湯スープ」は、鶏ガラをたぎらせないように優しく炊くことで、あっさりとした口当たりながら鶏の旨味やコクをしっかりと感じられる一杯を表現。
一方、「鶏白湯らぁめん」(650円)で使う「白湯スープ」は、先述の部位に鶏のくるぶしも加え、高火力で長時間かけて煮込むことにより、鶏のあらゆる旨味をギュっと凝縮。しっかりとボディがありながらも、丸みを感じる味わいに仕上げています。
どちらのスープも、目の大きさが異なる網で段階的にこすことにより、滑らかな舌触りに。そのおいしさを生み出す鶏は、信頼の置ける業者から状態のいいものを毎回卸しているそうです。
その鶏からスープを作るのですが、「清湯スープ」に比べると「白湯スープ」の1日に採れる量は少なく、早めになくなる日もしばしば。こちらのラーメンを食べたい方は、早めの時間を狙って訪問するのがベターでしょう。
そのスープに加える元ダレは、干し牡蠣・アサリ・カツオ節・煮干しの旨味が詰まったダシを使用。キレ・コク・甘味を与える3種の塩と白醤油で調味します。
最後の仕上げに回しかけるのは、特製の香味油。唐辛子・ニンニク・リンゴなどを使用した自家製で、ハイクオリティなラーメンをより香り豊かな一杯へと導きます。
麺も“手作り”にこだわります。 入口近くに設けた製麺室で仕込むのは、手もみの中太平打ち縮れ麺・細ストレート麺・中太ストレート麺の3種。メニューとのマッチングなどを考えて、これらを使い分けます。
原材料となる小麦は、国産のものを厳選して独自の配合でブレンド。生体水に限りなく近いという「パイウォーター」と呼ばれる水を用い、気温や湿度の変化を見極めながら配合や製法を最適化することで、その日最もベストな状態の麺へと仕上げていきます。
注文は、入口横の券売機で食券を購入するスタイルです。今回は、売り切れ必至という「鶏白湯らぁめんの“玉子入り”」(750円)に、唐揚げセット(250円)を注文しました。
\鶏の多彩な味わいが楽しめるセットを実食!/
注文した品々がテーブルにそろいました。
まずは、博多の水炊きを思わせる白濁スープからいただくことにしましょう。
すすった瞬間から、鶏の濃厚な旨味が一気に口の中へと押し寄せてきました。
評判どおり、思わず頬がほころぶおいしさ。福岡ではおなじみの水炊き店でよく出会う、優しいながらもコクがあるスープと同じ味わいを感じます。
次に、ストレートの細麺が主流の福岡ではあまりなじみがない、多加水の中太手もみ縮れ麺です。モチモチとした食感で、ツルっと滑らかな舌触り。白濁のスープにもよく絡みます。
丼を彩るトッピングも、崎向さんのこだわりを感じる具材がそろいます。
あったかスープで、ほんのりとピンク色を帯びた鶏チャーシュー。炙って焼き目を付けてから提供されます。塩だけというシンプルな味付けで、素材の旨味をしっかりと感じることができるところも魅力。じっくり低温で調理されているため、食感もしっとりと弾力があります。
こちらは、国内ではわずか1%しか取れないという沖永良部島のキクラゲです。優れた栄養価が特徴で、プリプリとした食感は、これまで私が食べたものとは確かに違うなと感じました。
半熟にゆで上げ、塩ダレに半日ほど漬け込んだという卵。主に、鹿児島県知覧町で生産された「たまごの菊ちゃん」というブランドを使っています。こちらもなかなかの美味。レギュラーには付いていないので、食券を購入するときはぜひ“玉子入り”を押してください!
セットで注文した鶏の唐揚げ。こちらも、揚げるのはオーダーを受けてからというこだわりようです。鶏本来の味わいを大切にしている店のため、唐揚げも味付けは控えめ。一口サイズの大きさにも好感がもてます。
この店の常連さんが好むという食べ方に憧れて、私もスープだけを残した後、ご飯を入れて雑炊風にしてみました。
まるで、水炊きの締めを楽しんでいるかのような感覚。鶏の旨味たっぷりのスープを、最後の一滴まで残さずに堪能しました!
木を基調とした温かみのある店内には、カウンターとテーブルをあわせて21席を配置。平日でも開店直後から行列ができるらしく、店内は常に多くの人でにぎわっているそうです。
製麺室の近くには、炊飯器や漬物、ふりかけなどが用意されています。すべてセルフで、ご飯はお代わり自由。まずはラーメンのお供として楽しんだ後、締めの雑炊風にするためお代わりをする、そんな食べ方だって叶います。
卓上の調味料も多彩です。柚子胡椒は、福岡市内から車で1時間ぐらいの場所にある、福岡県朝倉郡小石原までわざわざ買い付けているそうですよ。
ウエットティッシュやヘアゴムも用意するなど、細かな気配りもうれしいポイント。崎向さんの精一杯のおもてなしは、こんなところからも垣間見えることができますね。
「基本に忠実、丁寧に作ることをモットーにしています」と笑顔で話す崎向さん。店名の「シフク」には、“ラーメンを食べて至福になってほしい”“普段着(私服)のように気兼ねなくこの店で過ごしてほしい”という思いも込めているそうですよ。
皆さんも福岡へお越しの際は、おいしいラーメンへの真摯な姿勢が感じられる一杯で、“シフク”の時間に浸ってみてはいかがですか。
紹介したお店
らぁめん シフク
電話:092-474-0090
営業時間:11:00~LO15:00、18:00~LO21:30※第2・4水曜は昼のみ
定休日:日曜、第1・3・5水曜
書いた人
ニシダタケシ
福岡・九州の編集プロダクション・シーアールに所属。生まれも育ちも福岡という生粋の九州男児。
流行りもの&甘いもの好きで、嫌いな食べ物はほとんどなし。「毎日完食!」をモットーに、小さなカラダで福岡のおいしいものを食べ歩きます。
憧れの人は出身校の大先輩・タモリさん。グルメレポではたま~にデカ盛りにも挑戦しますよ!