こんにちは、グルメ修行僧・東山です。突然ですが、皆さんは1人でいる時に、肉が無性に食べたくなったらどうしていますか?
1人だと焼肉に行くのもはばかられるし、熟成肉とかはお財布にも厳しいし……
うぅ…肉に喰らいつきたいよぉ……!! って時です。
え?私ですか?私はそんな時は、“ラーメン”を食べます。
肉を食べたい欲求を十分すぎるほどに満たしてくれる、最強肉食系ラーメン屋を紹介しましょう。
それがココ!
「富山ブラックラーメン だらんま」です!
銀座線田原町から徒歩3分、浅草線浅草駅からは徒歩8分ほどで、雷門通りと国際通りが交わる場所のすぐ近くに位置しています。
コンセプトは、「東京一黒くてしょっぱい」。なんとも明解すぎるコンセプト。しかし、東京にラーメン屋は4,000店舗近くあるといいます。その4.000店舗の中で一番の冠をとは、 果たしてどれくらい黒くてしょっぱいんでしょうか。
富山ブラックラーメンとは、ご当地ラーメンの一種で、その歴史は昭和30年にまで遡るのだそう。
復興事業に従事していた食べ盛りな若者向けに、白飯と一緒に食べることを意識して醤油を濃くしたスープのラーメンを作ったのが起源のようです。
つまりライスと一緒に食べるのは必須というわけです!
漆黒の看板とは反して、店内はとても明るい雰囲気。席数は13席もあって、ゆったりとスペースを使えます。
卓上の調味料なんですが、箸の右にあるブラックペッパーの缶……デカくないすか?
たっぷりブラックペッパーを振って食べるのがおいしいんです。
「中華そば」が、富山ブラックラーメンです。私のおススメとしては断然「中華そば 肉多め」!
200円のコストアップに対するパフォーマンスの良さが半端じゃあないんです!!
ちなみにもっと肉を!肉をくれ!!って位肉が食べたい方には、「煮込みチャーシュー(1枚)」もあるので、好きなだけ追加ができますよ。
店長さん曰く、富山ブラックラーメンは「濃いめ」のオーダーができるそう。
ノーマルの状態の富山ブラックラーメンは、東京の人の味覚に合わせて醤油の量を抑てあり、「濃いめ」にすることで本場富山のブラックラーメンと同じ味(しょっぱさ)になるとのこと。
「濃いめにしてみたいけど、いきなり濃いめにするのはちょっと怖い…」
という方には、濃いめのタレを別皿に用意してくれるようです!
なんと親切なことでしょう。
食券を買って、着席して、待つこと4分……
中華そば 濃いめ 肉多め (900円)
バァーーーーーーーーーン!!
くっ、黒ぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!
そして、肉が大き過ぎて、麺はおろか、他の具すら覆い被してしまっています。
レンゲでスープをすくってみても、やはり黒い!
さてお味は……うぅ……!本当にしょっぱい!!
しょっぱいラーメンとして有名な二郎系のラーメンよりもしょっぱいです。
これは、本当に“東京一しょっぱい”でしょう。
しかし、とにかくしょっぱいんですけど、昆布とか魚介の節系の出汁の旨味が物凄く効いてるから、しょっぱいけどすごく旨い!
しょっぱいのに塩辛くないのです!!
麺は太麺の縮れ麺で、硬めの麺。
醤油の色を吸って、茶色く変色しています。
弾力があって、スープともよく絡んでいて美味しい!
スープがしょっぱいので、麺を噛みしめると小麦の甘さが際立って、まるで砂漠に咲いた一輪の花の蜜の如き甘さ!
にしても、この肉のボリューミーさ伝わりますか?
ラーメンの上に乗っている具のサイズではありません。
豚の角煮定食(大盛り)を頼んだかと錯覚してしまいます。
でね……この肉が本ッッ当にうまいんですよ!!
チャーシューは、オーダーが入る度にタレで煮て、温めてから提供しているのです。
だから、しっとりしていて、やわらかくて、ジューシーで肉感がたっぷりなんです!
俺は喰っている!確かに喰っている!肉を喰らっているのだ!!
という気分にさせてくれます。
ライス(富山県産コシヒカリ)はなんと100円で、お替わり自由。
一体、人をどこまで満足させれば気が済むのでしょうか!?
これだけ肉がたくさん乗ってて、しょっぱいラーメンなんだから、どれだけライスが欲しくなるか…その欲求の大きさは値にして天文学的数字!
スープをすすってライスを一口…
麺をライスに乗っけて一口……
チャーシューにかぶりついてライスを一口………
止まらん!まさに至福!!
もはやこのラーメンは“おかず”です!
肉多めは、なんと1枚50gもの巨大なチャーシューが3枚のります。
チャーシューだけで150g!? 麺と同じ位の量じゃないのそれ!?
そして、運が良ければ写真のようにチャーシューの切れ端がサービスで入っています。
これだけでご飯1膳食べられるくらい、最高にうまい!
後半にもなると、麺がスープを吸って、もっと茶色くなります。
また、この麺がライスと合うんだなぁ!!
小生……なんとライスを計3膳も食べてしまいましたよ。
いやー、最高でした。
この超個性的かつ、怪物的コストパフォーマンスを誇るラーメンの秘密を是非知りたい!
と懇願したところ、店長さんは快く厨房に入れてくれました。
これが、あの最強チャーシュー!!
仕込みにもかなり手が込んでいるそう。
その工程は以下の通り。
- 豚バラのブロック肉を2時間ボイル
- 特製のタレに3時間浸けこむ
- 肉をタレから取り出して1晩置く
- 再度タレに3時間浸けこむ
- 1枚にカットして、提供前にタレでさっと煮る
いやいやいや!手ぇ込みすぎでしょ!?
なのに、この大きさって……!
東山「店長さん!ぶっちゃけ原価率とか大丈夫なんですか!?」
店長さん「肉多めが一番原価率高いけれど、なんとかなっていますよ」
と満面の笑みで答えてくれました。
東山「一体全体、あの真っ黒なスープはどうやったら出来るんですか?」
店長さん「それはタレに秘密があるんですよ」
東山「そうですかぁ…タレですかぁ……タレはラーメン屋の命ですもんね。おいそれと作り方を教えてくれるわけにはいかないで……」
店長さん「タレの作り方はこうです」
東山「教えてくれるんかいっ!?気前良すぎぃぃぃぃぃぃ!」
タレの基となるのは、“ヤマゲン醤油”。
これは富山県産の醤油で、普通の醤油よりも濃くて甘いのが特徴。
そしてなんと…
この濃くて甘い醤油を…
量が1/2になるまで煮詰めていくのです!!
!?
つまり、醤油を2倍の濃度にするということですよ!
10時間かけて、寸胴でじっくり醤油を煮詰めていくのだそうです。
そんな話聞いたことありません!凄すぎ!!
丼にタレと、魚粉と無添加昆布粉を加えます。
無添加昆布粉とは、上質な昆布をミクロの粒子になるまで粉砕したもの。
それをたっぷり入れるのですが、これがあの強烈な旨味の秘密だったのですね!
昆布の旨味成分は日本人が大好きなグルタミン酸ですから、我々にとってはドストライクな味になわけですね!
そして、驚いたのがラーメン一杯あたりのタレの量。
ラーメン1杯に対して、タレを40cc加えます。
ピンとこないかもしれませんが、タレは醤油を2倍濃縮しているので……
タレ40cc→醤油80cc!!
ヤクルトが1本65ccなので、ヤクルトよりもちょっと多い醤油が入ってるんですよ!?ラーメン一杯に!!
そして、「濃いめ」に関してはタレが60cc入ってるので……
醤油120cc!
ヤクルト約2本分です!
そりゃあ、「東京一黒くてしょっぱい」になるわけだ!!
東京には数多くのラーメン屋がありますが、ここまで個性的に尖ったラーメンにはなかなか出会えません!
それにしても、取材を通して驚いたのは、「気前の良さ」。
一般的に、ラーメン屋というのは秘密主義を貫く店が多く、厨房に入れてくれるなんてまずないですし、タレの作り方や分量など決して教えてくれない店がほとんどです。
なのに、ここまで細かく教えてくれただらんまの気前の良さはすごい!
東京一黒くてしょっぱいラーメン屋さんは、チャーシューだけでなく、懐まで大きかった!!
紹介したお店
富山ブラックラーメン だらんま 浅草店
TEL:03-5828-0337
住所:東京都台東区西浅草2-1-11
著者プロフィール
グルメ修行僧 東山広樹
中学生の時から料理を始め、高校生の時にはMy中華鍋を買い、更に料理に没頭。その後、調味料や酒を研究する大学の学科へ進学や、都内人気ラーメン店でのアルバイト、料理・飲食系の雑誌社での編集業務など、料理に関わる経験を積む。現在はラーメン屋の開業に向けて修行中の身。
【ブログ】Cooking Maniac