「夏休みを年内に取れ、さもなければ処分する」とボスから脅迫まがいの注意を受けて遅すぎる夏休みを取得した。その休みを利用して神奈川県の湘南平に行ってきた。世間様と妻は平日なので今回は単独行になる。ザ・自由。
▲旅の途中でかわいらしいパンダに遭遇。
▲かわいらしい…よな…。
湘南平は、神奈川県の平塚市と大磯町のあいだにある小さい山である。先の大戦で富士山から東京へ向かうB29爆撃機をここの高射砲陣地から砲撃したが届かず役に立たなかったという悲しい歴史を持つこの小さな丘陵を登り切れば人間的な成長を見込めて、かつ、運動不足解消・メタボ対策になる!と意気込んだわりには、山頂まではマイカーで登った。「出来るだけ楽をしたい」という人間の哀しい性のあらわれ…。
▲半分、青い。
山頂の公園の頭上には嘘のような青空がひろがっていた。知らなかった。平日の空がこんなに綺麗なものだったとは。私事であるが、僕は神奈川県の県立高校に通っていた。当時、湘南平といえば、カップルの恋愛成就の願掛けスポットであり、ヤンキーの集合場所であった。なぜ、カップルは翌年別れるのに永遠の愛を誓おうとするのだろう?なぜ、ヤンキーは深夜の山で肝試しをするのだろう?今もその疑問は解けないでいる。きっと、永遠に解けないパズルなのだろう。やれやれだ。今回、湘南平を訪れたのは、カップルとヤンキーのようないけ好かない連中が2018年の湘南平で何をやっているのか、リサーチしたい気持ちも大きかった。
▲テレビ塔。子供には東京タワーと嘘をつける。
湘南平山頂には、レストハウスとテレビ塔がある。かつて、テレビ塔では加熱したカップルの手により恋愛成就願掛けで南京錠をかけるという放送法違反のテロ行為が行われていた。僕の記憶に間違いがなければ、全盛期は塔を覆い尽くすように南京錠がかけられていたのだが、ない。きれいさっぱりなくなっていた。
▲(注)ひとつだけあった。個人情報なのでボカしました。ピンボケじゃないぞ。
どうやらイケすかない若者たちの愛は死んだみたいだ。超高齢化社会の縮図をみるようで悲しい。それでも塔のいたるところに愛のメッセージは記されていたが、恋愛成就というよりは一方的で好戦的な愛の告白が多いように見えた。犯罪につながらないことを心より祈るばかりだ。
▲憎しみからは何も生まれないと思うんだ…。
▲2階の東側を占める「好きすぎる心理…」に魂を奪われそうになる。YTなのかTYなのか二股なのか…。
テレビ塔をさらにぐんぐん登っていくと、アナーキーなアートがあって80年代の湘南のヤンキー魂の残り香を感じられた。金網に囲まれているのがアメリカ映画に出てくる収容所を連想させる。
▲夜、ひとりでは絶対に訪れたくない場所
▲もはやアート
▲個人名が多いので撮影に気をつかいました。
学校のトイレで安心してウンチができなかったあの頃…そんな80年代の亡霊から逃げるようにして塔を降りてレストハウスに向かう。公共施設のレストハウスというと無難な建物が多いけれども、湘南平のそれは一味ちがう。よく言えば、サザエのつぼ焼き、悪くいえば秘密基地を思わせる形状をしているのだ。
▲ターンXレベルに左右非対称。
▲近づけば近づくほど個性的な外観。
展望台からは湘南エリアと大山エリアそれから富士山が一望できる。富士山方面は少しモヤっていて富士山はぼんやりとしか見えなかったけれど、これだけ海に近い場所からパノラマで神奈川県の沿岸部から丹沢まで見渡せる場所は他にないはず。それだけで一見の価値はあると思う。
▲湘南方面
▲小田原方面
▲綺麗な心を持った者だけが見ることができる富士山
▲双眼鏡も完備!
こちらの2Fにある湘南平展望レストランFlatさんで食事をした。失礼ながらオシャレなカフェのようなお店で、焼きそば、かけうどん、等を販売するような、よくある休憩所風のお店ではなかった。もちろんお店からの眺めもサイコー。湘南から西湘南、箱根エリアを見渡せるレストランを僕は他に知らない。
▲お店から相模湾が一望できるよ!
▲豊富なメニュー まぐろカツカレーって!
メニューが豊富でいろいろ迷ったが、地魚フライバーガーセット(税込1100円)をチョイス。ここのお店は魚、野菜、パンは地元の食材を使用しており、当日の魚はアジであった。
どーん。見た目から美味しそうである。アジフライはパリパリジューシーで、パン(トマトバンズ)は手作り感満点で、ほのかに野菜のフレイバーがしてとても美味しい。魚と野菜中心でメタボな僕にはとても嬉しいセットであった。
▲バンズが赤い!
▲ボリューム満点。
今度来たときはしらすピッツアを食べてみたい。大満足。そして、カップルの願掛け南京錠はレストハウスに設置されていたこちらのモニュメントに掛けるようなシステマチックな仕様に変更されていた。カップルの愛でテレビ塔が倒れかけたのだろう。
▲愛の願掛け。知恵の輪に酷似しているのは、愛の困難さをあらわしているのかしらん。
▲鍵を破りたくなる衝動をこらえる。
▲愛が撤去される可能性も…。現実は無情だ。
よかった~カップルたちの愛が死んでいなくて~。僕も妻との縁が切れないように南京錠をかけておこうと思ったけど、あいにく持ち合わせの南京鍵がございませんでした。まあ、仕方ないよね。皆さまも、たまには一人でその土地土地の食材を活かしたランチをしてみてね!ではまた。
▲お店の看板
今回のお店
書いてる中間管理職
フミコフミオ
海辺の町でロックンロールを叫ぶ不惑の会社員です(再就職しました)。90年代末からWeb日記で恥を綴り続けて15年、現在の主戦場ははてなブログ。最近は諸行無常を嘆く日々。更新はおっさんの不整脈並みに不定期。でも、それがロックってもんだろう?ピース!
ブログ「Everything you've ever Dreamed」:http://delete-all.hatenablog.com/