「天神ビッグバン」という再開発事業が2024年の完了へむけて進行中のこの場所で、まるで昭和にタイムスリップしたかのような空間があります。
「一膳めし 青木堂」
福岡市に来たことがある人であれば一度はお世話になったかもしれない、安くてボリューム満点の大衆ごはん。
グルメマンガ「クッキングパパ」にも登場したことがある、この界わいでは超メジャーな食堂です。
多い時で、1日に200人以上が来店することも!
創業60年を超えてもなお愛され続ける、福岡の隠れ名店へご案内しましょう。
ここは、天神エリア内にあるオシャレスポット・大名の「紺屋町商店街」。この一角に、今回ご紹介する「一膳めし 青木堂」があります。
こちらが店内です。久しぶりに店を訪れた人が思わず「記憶が蘇る」と言ってしまうほど、創業時とほぼ変わらない佇まい。
ご近所さんからビジネスマン、近隣のアパレルショップで働く人や美容師さん、国内外の観光客…etc、実にさまざまなタイプのお客さん朝・昼・夜とやってきます。
朝定食もあるため、周辺のホテルでは和食の朝食を望む宿泊者に、青木堂さんをオススメするところもあるそうです。
地元民に長く愛される秘密に迫る!
まずはこの店を現在守る3代目店主の青木秀徳さんに、写真や資料を見せていただきながらお店の歴史について教えていただきました。
青木秀徳さん:「これは、お店が開業した当時の写真と、配られたチラシです。オープンは1957(昭和32)年。当時ここはまだ『大名』という地名はなく、『薬院紺屋町』と呼ばれていました。元々、天神にあった『九州劇場』内で高級果物やアイスキャンディを販売していた店だったのですが、初代である祖父が今の場所へ移転し、一膳めし屋へとリニューアルしました。寿司屋の居抜きだった店内は、当時とほとんど変わらない配置なんです」
この店の2階で生まれ育ったという青木さん。 物心ついたときからこの店を継ぐことを予見していたそうで、大学卒業後に東京の大手居酒屋チェーンで7年間修業をして、30歳前から3代目としてこの店を継ぎました。
時は流れど、チラシにある“コレは安い!!コレはうまい!!”のコンセプトは今も変わらず、青木さんによって受け継がれています。
※余談ですが、青木さんの父親である2代目の仁一郎さんも、まだ現役でよく厨房に立っているそうです。
メニューはご覧のとおり、福岡市の都心とは思えない手ごろな価格設定。定食や丼物をはじめ、ヘルシー系からガッツリ系まで、和・洋・中の幅広い料理がそろいます。
「玉子料理」の文字の横にある「硬め、柔め、対応します」というフレーズからもわかるように、お客様が注文するどんな料理のリクエストにも柔軟に対応されているところに、お母さんのような“温かさ”を感じます。
そして、この店の人気を支えるもう一つの要因といえる、店右奥のショーケース。
豆腐(60円)からトンカツ(300円)まで焼魚・納豆・煮物などの総菜が50種以上あり、自分で好きなものをとって食後に会計してもらうシステムになっています。
店内にはこんな張り紙もありました。
「一膳めし屋」の冠どおり、主役はやっぱり“ご飯”。
その日の気分や懐具合、体調にあわせて、自分だけのオリジナルメニューが作れるところもいいですね。毎日通う常連さんが多いのも納得です。
創業当時から愛される人気メニューを実食!
メニューがいっぱいあって迷いましたが、今回は「本日のオススメ定食」というボードに出ていた「目玉のせ野菜炒め定食」(680円)にしました。
創業時から今日まで、近隣住民や働く人たちの元気の源になっている人気メニュー。栄養バランスもよく、ボリュームもあることから、野菜不足を気にする若い人が注文することも多いでそうです。
あっさり塩味の野菜炒めはキャベツやモヤシがたっぷり入って、シャキシャキとした食感。
目玉焼きの黄身は野菜と絡められるよう、ほどよいトロトロ具合で仕上げられています。
近くにいたお客さんがおいしそうに食べている姿に誘われて、「ふわふわオムライス」(590円)も注文しちゃいました(笑)。
チキンライスをふわふわの卵で包み、たっぷりと赤いケチャップをかけた“昔ながら”のオムライス。
大げさかもしれませんが、一口食べるたびに、母が作ってくれたオムライスにはしゃいでいた頃に戻ったかのようなノスタルジックな気分に浸れます。
ちなみに、創業時から変わらない佇まいの店内ですが、よく見ると、青木さんの思い入れを感じるものをちらほらと見つけました。
こちらは、マンガ好きの青木さんが厳選する本をそろえた「青木堂文庫」と呼ばれるスペースです。
本棚の右側には、ダンスに夢中だった高校時代からの憧れという、マイケル・ジャクソンの写真やフィギュアも飾られています。
「スターウォーズ」のフィギュアもたくさん飾られているなか、創業60周年のお祝いでお店をよく利用する映画関係者が作成してくれたというレアなポスターもありました。
「いつ訪れても変わらない佇まいで、お客様に懐かしさを感じさせる味を提供したいですね」という青木さん。
豚の味噌焼きやソースかつ丼など、青木さんが考案したメニューも続々と登場しており、これから先も私たちの胃袋を満たしてくれそうです。
そんな人情味あふれる店主が作る“おふくろの味”を求めて皆さんもぜひ一度、福岡のレトロ食堂へ足を運んでみてくださいね。
紹介したお店
一膳めし 青木堂
電話:092-751-0144
営業時間:8:30~15:30、17:00~21:00(20:30OS)、祝日11:00~17:00
定休日:日曜 ※GW、年末年始、お盆で休みの場合あり

- ジャンル:食堂・定食
- 住所: 〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名1-11-28
- エリア: 大名
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書いた人
ニシダタケシ
福岡・九州の編集プロダクション・シーアールに所属。生まれも育ちも福岡という生粋の九州男児。
流行りもの&甘いもの好きで、嫌いな食べ物はほとんどなし。「毎日完食!」をモットーに、小さなカラダで福岡のおいしいものを食べ歩きます。
憧れの人は出身校の大先輩・タモリさん。グルメレポではたま~にデカ盛りにも挑戦しますよ!