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高さ2.5mからのカフェオレ落としが強烈…!名古屋「喫茶ツヅキ」のコーヒー野郎は本物中の本物だ

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名古屋には、日本中、ひいては世界各地から取材が殺到する喫茶店が存在する。

お店の名前は「喫茶ツヅキ」。昭和21(1946)年に開業し、「ユニーク珈琲を日夜研究するコーヒー野郎の店」と掲げて営業してきた。まずは店内写真をご覧いただこう。

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花屋ではない。喫茶店だ。席と席の間に、パーテーション代わりに造花がモリモリ置かれている。そして、写真左側には脚立が当然のごとくそびえ立っている。

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そう、脚立が置かれているのである。この脚立は蛍光灯を替えるために置かれているのではない。

信じられないかもしれないが、2.5mの高さからカフェオレを淹れるために使われるのだ。早速その様子をレポートしよう。

 

高さ2.5mからのカフェオレ落とし

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カフェオレを注文すると、まずは何も入っていないカップとクリームのセットがやってくる。「ちょっと待っててね」と店長さんが立ち去ると、今度は脚立を持って戻ってきた。

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「造花が置かれた喫茶店内にそびえ立つ、カフェオレを淹れるための脚立」

通常結びつくことのない単語が並んだ不思議な文章になってしまったが、現実である。ここまで脚立が格好良く、ダンディーに見えたのは初めてだ。写真からわかるように、脚立が活き活きとしている。

しばらくすると、店長さんがポット2つを手にして戻ってきた。片方に珈琲、片方にミルクが入っている。おもむろに脚立に登り、またがる店長さん。

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「はい、じゃあいきますよ〜」と合図するやいなや、両手それぞれに持つポットをテーブル上のカップめがけて傾ける。

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「じょぼぼぼぼぼぼ」という滝のような音を立てながら、ポットからそれぞれ放たれる珈琲とミルクが、カップでひとつになってゆく。店長さんに握られたポットの位置は、どんどん高くなっていく。ついにはカァンと音を立てて、なんとポットは天井にぶつかった。

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最後は仕上げ。至近距離(天井の高さに比べたら至近距離)からポットを傾けると、泡がむくむくと立ち上がった。

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なんと美しいカフェオレの泡だろうか。きめ細かく、ボリューミー。珈琲とミルクを高さ2.5mから落として淹れると、カフェオレはここまで泡立つものらしい(店長さんによると、30分は消えないとのこと)。

ふと、不思議なことに気づいた。カップの周囲がほとんど汚れていないのだ。普通、2.5mの高さから液体をカップに向かって注いだら、「派手に飛び散る」はずだ。それが一切ない。

店長さんにその秘密を聞いてみると、カップの形に理由があるらしい。

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この壺のような形によって、 珈琲とミルクがカップに着弾した際の飛沫がカップ内に封じ込まれ、飛び散らずに見事なカフェオレになるのである。普通のカップでやると想像どおりの悲劇になるので要注意(やろうとする人はいないかもしれないが)。

ちなみに店長さんは失敗せずにサラッとやってみせてくれたが、結構難しいようだ。テレビ出演時、某国民的芸能人にやってもらったところ、びっしゃびしゃに失敗したらしい。脚立カフェオレは、鍛え抜かれた者しかマスターできない、熟練の技なのだ。

なお、このパフォーマンス、テレビにめちゃくちゃ取り上げられているらしい。北は北海道から南は九州まで、ありとあらゆる地方テレビ局が取材に来たうえ(2ヶ月で10件以上にもなるらしい)、なんと海外からもテレビ局が訪れるそうだ。台湾などアジア圏を始めとして、一番遠くではなんとスペインまで。グローバルすぎる。 

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そんな脚立カフェオレ、奇をてらうだけが目的ではない。この方法で淹れることで、まろやかな風味に、そしてふわふわの泡で口当たりがとてもよくなるのだ。このパフォーマンス目当てで注文しても、一口飲んだらその美味しさにきっと驚くはず。税抜き500円で、ここまでのクオリティのカフェオレは飲んだことがない。

ちなみに、注文時に「パフォーマンス付きにするかどうか」と聞かれる。今回は撮影の関係でパフォーマンスショートVer.でお願いしたが、通常Ver.だと約15分間のサービスがつく。

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めちゃくちゃいい笑顔のユーモア溢れる店長さんの指示に従って、カメラアングルを定めるところから始まり、動画の撮り方の指導が入る。脚立カフェオレ完成後は、ポットから口に直にカフェオレを注いでくれるというなかなかない体験もできる(猫舌の場合は手加減してくれるようだ)。その後は「カフェ・オーレ!」の掛け声で記念撮影。店内から注目の的になってしまうが、お客さんも店長さんもとても楽しそうだった。こんな体験、全国探しても他にないだろう。

店長さんとしては、ぜひともこのパフォーマンスを楽しんで帰ってほしいとのこと。時間に余裕をもって訪れたいところだ。もはや、「喫茶店」としてとだけでなく、「名古屋観光名所」としてもオススメだ。

なお、喫茶ツヅキが素晴らしいのはこのカフェオレ&パフォーマンスだけではない。珈琲にとてつもないこだわりがあり、スイーツや食事も美味しいのである。

 

もうひとつの名物、ボリューミーすぎるパフェ

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SNSで話題になる喫茶ツヅキの名物といえば、もりもりに盛られているパフェだ。上の写真は「ホットケーキパフェ(「フルーツパフェ」ではない)。

多種多様なフルーツ、アイス3種、生クリームにお菓子、そしてホットケーキがのって、お値段税抜き1,000円。採算とれるのか心配になるほどのサービスっぷりである。その形と迫力から、某宇宙戦艦の名で呼ばれることもあるそうだ。

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崩れそうで崩れない、この造形美とも言えるパフェは、注文してから20分かかってようやく完成する。フルーツのカットからバランスを考えながらの盛り付けまで、この量なら納得の20分だ。

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フルーツは、スイカ、メロン、バナナ、いちご、パイン、マンゴー、ぶどう2種、梨、りんご、キウイ2種、グレープフルーツにオレンジ、そしてピタヤ(ドラゴンフルーツ赤)。そのときの仕入れ状況によって種類や量に変化はあるとのことだが、これはすごいとしか言いようがない。本当に千円でいいのだろうか。

フルーツはどれもジューシーで甘く、ホットケーキや生クリームもフルーツに合った甘さで美味しい。「食べる」ではなく「食べ進める」という表現がふさわしい、圧倒的ボリュームのパフェ。喫茶ツヅキに行ったならば、カフェオレのお供にオススメの一品だ。

 

具がごろごろの絶品ホットサンド

カフェオレ、パフェと紹介してきたが、喫茶ツヅキは食事メニューもおいしい。メニューにあった「ホットサンド」は玉子・ツナ・ハムチーズ・小倉から2種類選べると書いてあったが、注文時に「裏メニューがありますよ」と店長さん。

「裏メニュー」すなわち、「カレー」と季節限定の「ビーフシチュー」があるというのだ。これは頼むしかない。

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しばらく待つと、やってきたのはカリカリのホットサンド。もうこれ絶対美味しいやつ。見るからにカリカリだ。

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まずはビーフシチューをいただく。手で裂くとバリバリと軽やかな音を立てて、中身が溢れそうになった。シチューは、牛の旨味と野菜の甘みで味わい深く、とても濃厚。カリッッッカリに焼かれたトーストと最高のコンビネーションだ。

続いてカレー。「チーズを入れますか?」と聞いていただいたので、速攻お願いした。カレー×チーズ×カリカリのトースト。最高だ。

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ホットサンドを割いてまず驚いたのが、その具材の大きさだ。ゴロッとしたお肉が登場した。喫茶ツヅキに「カレーライス」のメニューはない。つまり、このホットサンドのためだけに作られたカレーだ。トーストで包んでしまうカレーでも、一切の妥協なしに作る、そんなこだわりを感じた。

味ももちろん最高。ごはんにかけて「カレーライス」として出しても人気になること間違いなしのウマさだ。肉と野菜の旨味が溶け出してスパイスと混ざり合ったトロっとしたルウ。食べ応えあるゴロゴロの具材に、カリカリのトースト。全てが最高だ。これが裏メニューだなんて。

ちなみに、「裏メニューだけど普通に注文できるのか?」と質問したところ、「ホットサンドを注文されたら毎回必ず提案してます」とのこと。店長さんイチオシのメニューのようだ。それも納得の美味しさ。これを見た人は、ぜひ「ホットサンド」を注文して、裏メニューを堪能してほしい。

 

本領とも言える珈琲は種類が “超”豊富

ここまでいろいろとご紹介したが、最初に書いた喫茶ツヅキのキャッチコピーを覚えているだろうか。

「ユニーク珈琲を日夜研究するコーヒー野郎の店」だ。そう、喫茶ツヅキは珈琲に対する並々ならぬこだわりがあるのだ。

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まずその種類の多さがすごい。「〇〇珈琲店」と珈琲の名の付くお店でも、ここまで品揃えがあるお店はなかなか見つからない。

興味をそそられた(がお財布的に躊躇してしまった)のが「コピ・ルアック」。実はこれ、ジャコウネコという猫の協力によって生産される珈琲豆なのだ。グルメなジャコウネコが食べた美味しい珈琲の実が、ジャコウネコの体内で消化されて種(珈琲豆)だけ残り、それがお尻から・・・というルーツの豆である。もちろん衛生面では全く問題ない。世界一高級な種類の珈琲なので一杯2,500円ほどするが、なかなか飲めるものではないのでチャレンジするのもアリだ。

また、こだわりは種類の豊富さだけではない。なんと喫茶ツヅキでは、豆は2週間で「古くなった」とみなし、入れ替えるのだそうだ。さらに焙煎時には、一粒一粒を目で見て確認し、少しでも悪いところがある豆は弾く。新鮮で状態の良い選りすぐりのモノだけを使用し、香り高く味わい深い「生きた珈琲」を淹れる。それがコーヒー野郎のこだわりだ。

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「梅干しコーヒー」や「ぜんざいコーヒー」などの変わりダネもある。組み合わせに驚くが、実はこれ、ただただコーヒーにいろいろと突っ込むわけではない。店長さんが日々研究を重ね、珈琲豆の種類や焙煎方法、そして淹れ方について、それぞれの食材にもっとも相性の良いモノを選んでいるという。ここにもコーヒー野郎のこだわりがあらわれている。

 

アクセス&注意事項

喫茶ツヅキは、名古屋駅から地下鉄桜通線で一駅の「中村公園駅」が最寄りだ。中村公園駅からは徒歩8分ほど(がんばれば、名古屋駅から徒歩20分くらいでも行ける)。

注意事項が1点。必ず、時間に余裕を持って行くこと。なぜかというと、並々ならぬこだわりによって珈琲を淹れるのもフードメニューを作るのも時間がかかるからだ。さらにカフェオレパフォーマンスのオーダーが入れば、15分は他のお客は待つことになる。土日ともなると「2時間待ち」もザラだ。ぜひとも時間に余裕をもって行ってほしい。

そしてせっかくなので、ユーモア溢れる店長さんのパフォーマンスやこだわりの珈琲を、じっくりと味わってみてほしい。 名古屋でしか味わうことのできない、最高の思い出のひとつになるはずだ。

 

店舗情報

喫茶ツヅキ

営業時間:7:30〜19:30
定休日:なし
住所:愛知県名古屋市中村区太閤通6-1 ツヅキビル2階
TEL:052-482-0001
ぐるなびURL:https://r.gnavi.co.jp/880pp6410000/
公式HP:http://kissatuzuki0.wixsite.com/kissatuzuki/contact_us

 

書いた人

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CatNoseです(アイコンが変わりました)。名古屋在住デザイナー兼ライター兼会社員。
サルワカ」というWebメディアを運営中。「SANGO」というWordPressテーマの製作者。飼っているのは犬。


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