鹿児島県のシンボルである桜島。時々「噴火しました」というニュースにちょっと怖いなと思っている人も多いかもしれません。でも鹿児島では桜島の噴火は日常茶飯事、逆に噴火回数が少ないと心配することもあるのですよ。
そんな桜島の噴火がもたらす火山灰を使って作られているのが「桜島灰干し」で、今回はそんな桜島灰干しを食べられる、「桜島灰干し家 大泉」さんにお邪魔しました。
鹿児島市の繁華街・天文館の一角にあるこのお店は、カウンターとテーブル席合わせて15人ほども入ると満席になるこじんまりとしたお店です。
お造りや焼き物、揚げ物など旬の食材を使った和食のお店ですが、そのメニューのひとつに「桜島灰干し」があります。
↑魚だけでなく黒豚や鶏も灰干し!
桜島灰干しとは、魚などを塩水に一定時間漬けてから桜島の火山灰の上に敷いた特殊なセロファンの上に乗せ、さらにセロファンを被せた上から火山灰を乗せる……つまり素材を火山灰でサンドするような形。これを冷蔵庫で24時間以上熟成させることで、適度に水分や臭みなどが抜けた「干物」が完成するというもの。
こちらのお店では、ランチタイムは定食で、ディナータイムは一品料理として桜島灰干しを味わうことができ、ランチは700円~食べられます。
↑ランチだと気軽に灰干しを味わえます
まずいただいたのはランチのカンパチかま炙り焼き定食800円。
↑この焼き目がたまりません
カンパチは鹿児島が養殖量日本一の特産品で、お刺身などでも良く食べられています。運ばれてきたカンパチかまにさっそく箸を入れてみると……柔らかい! 干物=ちょっと固い、というイメージをあっさりと覆してくれる柔らかさにまずは驚きます。食べてみても、とってもふっくらとしてジューシーさが保たれています。
ここでも干物=パサついている、というイメージを崩してくれますが、店長の樺木野さんによればこの柔らかさ、ジューシーさが、一般的な天日干しで作る干物にはない、桜島灰干しの最大の特徴なのだとか。
ちなみに定食のご飯は湧水町の棚田で作られる「幸田棚田米」、こちらは白米か玄米かを選べるというのも嬉しいですね。
↑玄米を選んでみました
↑お米、販売してます
続いていたいただいたのは、こちらも鹿児島ならではの魚・キビナゴ。体長10㎝ほどの小魚で、こちらも刺身や塩焼きなど郷土料理の定番として出てきます。
塩焼きも干物とは思えない柔らかさです。また天ぷらは衣がカリッと、中の身はふっくらとしています。
塩焼きも天ぷらもちょうどいい塩加減になっているので、しょうゆや天つゆなどは必要ないほど。ぜひそのまま食べて素材そのものの味を楽しんでもらいたいです。
また鹿児島近海で獲れるタカエビもおすすめ。
いい感じに焼き色のついたタカエビを、海老好きの私は豪快に頭から皮ごと!
皮もとても薄いので、バリバリと食べられ、海老独特の甘味が口の中に広がります。
他にも秋にはサンマ、冬にはカマスなど、その時期ならではの魚の干物が登場するそうです。また魚だけでなく黒豚や鶏肉なども灰干しされているので、魚が苦手な人はぜひこちらを味わってみてください。
紹介したお店
鹿児島市千日町12-16
☎09-210-7504
営業時間 11:30~14:00、17:00~23:00
休み 日曜
駐車場 なし
おばらけいこ プロフィール
鹿児島は南薩に生まれ、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」のひとつ旧集成館にほど近い上町エリア在住のフリーライター。
地元タウン誌出身、取材範囲は鹿児島を中心に九州全域の観光関連情報を中心にあれこれ。
芋焼酎のお湯割りと鶏刺しがあればとりあえずご機嫌になります。