幕末の第11代薩摩藩藩主・島津斉彬の実弟で、斉彬が亡くなったあとは息子で第12代藩主の島津忠義の後見人として討幕・明治維新にも深くかかわった島津久光。その久光の四男・珍彦(重富島津家)の別邸の米蔵として使われていた石蔵は、1918年に建てられ、現在は国の登録有形文化財になっています。
↑島津家といえば丸に十字の紋、もちろんこの石蔵にもあります
その石蔵が以前リノベーションされて「cafe潮音館(ちょうおんかん)」として営業していたのですが、1年ほど前から長期休業していました。しかし今年3月17日にリニューアルオープンしたということで、早速お邪魔してみました。
今回リニューアルオープンにあたってお店を切り盛りすることになったのは、東京出身の林さん。
東京でイタリアンレストランに勤めていましたが、転勤で奥さんの出身地である鹿児島に。そして昨年、たまたま2人でサイクリングをしている時にこの潮音館の前を通りがかり、駐車場に作られたツリーハウスに惹かれて訪れてみることに。そこでオーナーと出会い、休業しているカフェを知ることになりました。
カフェを見た林さんが「ぜひやらせて欲しい」と申し込むとトントン拍子に話が進んで、この春、再び「cafe潮音館」としてリニューアルオープンすることになったという、なんとも運命的な出会いだったそうです。
どっしりとした風格さえ感じる石蔵の内部は、ロフトスペースがあり天井も高くとても築100年とは思えないほどオシャレな雰囲気。
↑ロフトになっている部分もオシャレです!
↑1階部分のテーブル席から天井を見上げるとこんな感じです
ほぼ以前の店内を引き継いでいるので、長期休業前に訪れた人でも違和感はほとんどありません。メニューはこだわりの生パスタをメインに、無農薬野菜のバーニャカウダや以前の潮音館でも人気だったハンバーグ、専属パティシエの作るスイーツなどなど。しかもこちらで使われる野菜は、林さんの自宅の近くで農業を営む方が育てる無農薬の新鮮な野菜。「鹿児島は黒牛や黒豚、近海の魚など県産の食材が豊富。食の安心安全ということからも地元の食材をたくさん使うメニューにしました」とのこと。
ランチコースは週替わりで前菜、2種類から選べるパスタ、ひと口デザート、セルフのホットコーヒー付きで1350円、ディナーコースは飲み放題付きで3500円~。
↑この日の前菜:カブのポタージュ、ラタトゥイユ、ブロッコリーのアンチョビソテー。カブのポタージュはとっても優しい味わい
↑この日のパスタは鹿児島県産牛のボロネーゼ、見た目よりボリュームあり!
↑生パスタならではのもっちもち感を楽しめる
↑ひと口デザートとオーガニックコーヒー、コーヒーはセルフサービスでどうぞ
さらにお店の貸切もでき、15名~40名ほどのパーティーには最適です。こちらは料理1人2500円~、ピアノやプロジェクターなども使えるということで、アイディア次第で楽しいパーティーができそうです。
この潮音館が立つ磯エリアは2015年に世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」に登録されている「旧集成館」があり、錦江湾と桜島がド~ンと見えるビュースポット。明治維新から150年で、大河ドラマ「せごどん」が放送される2018年に築100年を迎える歴史ある石蔵のカフェで美味しい食事を楽しんだ後は、ブラブラと周辺を散策しながら歴史や鹿児島ならではの絶景に触れるのもおすすめです。
↑潮音館の近くには江戸時代の石橋を保存している石橋記念公園や祇園之洲公園もあり。この石橋は祇園之洲公園にある「高麗橋」、手前の像は石橋を造った名石工の岩永三五郎
↑こちらは石橋記念公園の「西田橋」。島津のお殿様も西郷隆盛も渡ったそう
紹介したお店
cafe潮音館
☎ 099-247-1203
営業時間 11:00~21:00
休み 水曜
駐車場 15台
おばらけいこ プロフィール
鹿児島は南薩に生まれ、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」のひとつ旧集成館にほど近い上町エリア在住のフリーライター。
地元タウン誌出身、取材範囲は鹿児島を中心に九州全域の観光関連情報を中心にあれこれ。
芋焼酎のお湯割りと鶏刺しがあればとりあえずご機嫌になります。