こんにちは!食べてばっかりのアラサー銀座OL、やままです。
最近引っ越しまして、浅草エリアが「庭」になりました。ただ歩いているだけで楽しく、晴れた土日にあてもなく散歩しているのですが、1軒、気になるお店が。
東京スカイツリーのふもと、合羽橋商店街から少し住宅地に入ったところで輝く「点心の店」なる看板。インパクトが強すぎてスカイツリーが霞んで見えるほどです。
こちらのお店、その名も・・・
「点心爛漫」。
天真爛漫じゃなくて“点心”爛漫ですよ!なんてチャーミング!
土日も営業されているのですが、日中になかなか伺えず、会社帰りにふらりと立ち寄ってみました。
暗い路地でも、押さえきれぬ存在感がキラリ。
この日は雨が降っていましたが、軒先に置かれた食品サンプルたちは気に留める様子もなく堂々としていました。
※ビシャビシャです
簡素な折りたたみテーブルの上に、サランラップがかけられた食品サンプル(たまにかかっていないのがある)、無造作に置かれた焼酎の瓶。
初訪問ながらも、既に愛おしい・・・!
胸の高鳴りを覚えます。期待感とともに、真っ赤な木の扉をいざオープン!
「おまかせコース」2,000円を頼んでみる
店内は厨房の目の前にあるカウンター席のみで、詰めれば5~6人は座れるかなというくらいのコンパクト設計。厨房に立っていたご主人に「いらっしゃい」と出迎えられ、いちばん奥の席へ。
背後の壁には水墨画のようなものや、某国民的キャラクターのイラスト、かと思うと著名人のサインなどがありました。
もれなく全部「壁に直書き」。うーん、天真爛漫です。
カウンター席の目の前に掲げられたメニューは、いたってシンプル。点心をいくつかアラカルトでいただいてもよかったのですが、とにかくガッツリ食べたかったので、2,000円の「おまかせコース」をいただくことにしました。ちなみにドリンクは焼酎ばかりが列記されていますが、生ビールもウイスキーもあります。
まずお通しとして振る舞われたのが、こちら。
おでんを思わせるような、やさしい味の煮もの。まんなかにあるのは手羽先なのですが、よく煮込まれているので食べやすいのなんの。肉と骨が自然と離れていきます。
ほっとするおいしさとともに白霧島をちびちび飲みながら思うことといえば、
これは、中華料理ではないのでは・・・。
いや、でも、お通しだしね!お通しは、言わば自由演技ステージですものね!
次に提供されたのはエビシュウマイ。これぞ点心、わたし安心!シュウマイのお肉にしっかりと味がついていて、おつまみにぴったり。お酒が進みます。
その一方で、ご主人は次なるお料理の準備にとりかかっていました。
※蒸し器の蒸気がふわり。お肌にやさしい・・・
フライパンに餃子を並べ、水溶き片栗粉を注ぎ、しばし待って、
あらよっと!
「はい、おまたせ!」の声とともに差し出された立派な円形羽根付き餃子に、思わず「おおっ!」とひとりで歓声をあげてしまいました。上から見るとこんな感じです。
箸で羽根を割ると、ごろっと大き目の餃子が登場。
見た目の楽しさはもちろん、「これぞ餃子」と言いたくなるシンプルなおいしさと食べごたえがあります。
やっぱりこのお店は点心専門店なんだ・・・!しみじみ実感していると、「まだ食べられそう?」とご主人。二つ返事で応じた私の前に現れたのが、こちらです。
・・・ラーメン?
器は間違いなく、ラーメンどんぶりです。たっぷりのキャベツと玉ねぎが入ったスープにレンゲを沈め、引き揚げてみれば…
餃子出てきたァ!
びっくりしてご主人の顔を見ると、「そう、水餃子」とニッコニコ。「今日は特別に、ワンタンも入ってるから!」
それはもはや、水餃子ではないぞ…!
そんな水餃子改め「餃子ワンタン野菜てんこ盛りスープ」ですが、くたっとしたキャベツと玉ねぎ、つるっと楽しめるワンタン、焼いたときとは違う表情を見せるもちもち餃子、さらには卵も入っていたりして、とにかくまるっと全部おいしい!!
これは中華料理と言うより、「材料に点心を使った家庭料理」。初訪問ながら、実家にいるかのような穏やかな心地になりました。A5ランクの牛だとか、中トロだとかウニだとか、それも確かにおいしいでしょうが、心身が「ウマイ!」と叫ぶのはこういうお料理だと思います。
さらには「これはサービス」と、レバーの煮物までいただいてしまいました。
もう、初回にして、心を鷲掴みにされました。お父さんお母さん、私は浅草に実家を見つけましたよ!!
「帰り道、気を付けるんだよ」
「ココに来る2日くらい前に連絡くれたら、いろいろ用意できるから」
お会計(お酒も飲んだので3,000円ちょっとだったはず)を済ませ、帰り支度をする私を、ご主人があたたかい言葉とともに送り出してくれました。
これはもう、近日中に再訪だ。
訪問2日前に予約をしてみる
翌週早々、私はすぐにお店に連絡をしました。「2日前に訪問予告をするとどうなるのか」を確かめるためです。
「おっ、いらっしゃい」と出迎えられ、前回同様に煮物がお通しとして振る舞われます。加えて本日は、
切干大根も。
やさしい甘さ、This is 和食ネー!プロローグで興奮していては、身がもちません。ここからが「おまかせコース」の本番なのだから!!
まずは「これ食べて待っててね」と、蒸し器からシュウマイが差し出されます。うまい。白いごはんに乗せて食べたい味。
切干大根からの“点心回帰”にホッとしたのも束の間、目の前には肉塊がチラついていました。牛肉です。銀紙に包んで低温でじっくり温めていたようで、コンパクトな厨房のなかから「もっといろいろ(道具や調理器が)あれば、作りやすいんだけど・・・」なんて声が聞こえてきます。
まもなくして現れたのが、
ローストビーフ。
点心ステージはいつの間にか終了していたのか・・・!せっかくなので、餃子のタレや醤油でいただいてみます。うまい、うまいぞォォォ!
続いて冷蔵庫から取り出されたのは、たっぷりの魚介類。しかも、パン粉を身にまとっていました。またしてもご主人は「もっといろいろ(道具や調理器が)あればいいんだけど・・・」と言いながら、お皿に紙ナフキンを敷いていきます。
さては、キッチンペーパーがなかったんだな・・・。
そしてこの展開、どう考えたって
フライですよ、もちろん。
鮭、タラ、それからさっきのローストビーフにも使っていたと思われる牛肉に、手羽先餃子までもがフライ料理と化しました。
※牛肉フライ!
エビフライはスペシャル仕様!
3尾連なった“3連エビフライ”です。
子どものころに感じていた「エビフライ=ごちそう」感がくすぐられるせいか、実物を目の当たりにすると、ものすごくテンションが上がりました。もちろんおいしい。尻尾までバリバリいただきました。
ちなみに写真にはフライが各種ひとつずつ写っていますが、それぞれ2個以上ずつ振る舞われていることをご報告いたします。
・・・と、ここまできて再び点心(?)タイムです。
締めの水餃子、というか
「餃子&野菜てんこ盛りスープ ~シーフードエディション~」。
立派なエビ、カニ、ホタテ、タラ、野菜、それだけで大満足ですが、あくまでもこれは「水餃子」ですので、餃子もたんまり入っています。
これが本当に、うまい。
まずスープがいい。魚介類の本気が滲み出ています。ここに餃子のエキスも漏れ出していますからね!そんなスープで煮込まれたクタクタの野菜の威力たるや、すごいことになってます。揚げ物のあと、という絶妙なタイミングも嬉しかったなあ。
魚介類多め、ボリューム多め(多すぎ)ということで、この日はお酒2杯とおまかせコースで5,000円くらいだったでしょうか。「2日前に連絡する」ことの威力を実感しました。
全部大好物だったなあ、最高においしかった。中華というより家庭料理だったけれど、それでいいんです。それが、いいんです。
予告なく突然訪問してみる
その翌週は、訪問する予定がありませんでした。
・・・が、思いがけず早めに解散することになってしまった飲み会のあと、「ひとり2次会」としてフラッと立ち寄ってみたのです。とにかくご主人のお人柄にホッとするので、お酒を1杯飲みながらおしゃべりがしたかった。
カウンター席に腰かけながら「今日は2次会として来たからお腹いっぱい」と伝えると、「じゃあ、お通しもやめておこうか」とやさしいお言葉。助かります。
壁にかかったテレビを見たり、なんのことはない与太話をしたりで1時間ほど経ったところで、ふと魔が差しました。
「1次会であんまり野菜が出てこなくて…今日はちょっと寒いから、野菜スープみたいなの、できますか」
かの「深夜食堂」じゃないんだから・・・と自分を戒めつつも、ちょうどほかのお客さんがいらっしゃらなかったこともあり、私のわがままにご主人は快く応じてくれました。
でもね、
「餃子&野菜てんこ盛りスープ~野菜マシマシ編~」が提供されるとは思わなんだよ。
いや、嘘です、多少は脳裏をかすめておりました。予想的中、ホームラン気分。
それにしても、汁物に入っているキャベツって、なんておいしいんでしょう。水餃子の肉汁が滲み出ているせいなのか、なんなのか。
※野菜も多いが餃子も多い
1次会でお腹がいっぱいだったはずなのに、結局ぺろりです。
「よく食べるなあ!」と驚くご主人に照れつつも、うれしそうに微笑んでくださるので私もうれしい。やっぱり、ここはもはや「浅草の実家」です。
「次はカレーにしようか、スペアリブを入れてさ。2日前くらいに連絡くれたら用意できるから」
ご主人の次なる提案、もう予告段階で中華というジャンルが忘れ去られていますが、それでいいんです。なにせ「実家」ですからね!
3日前に連絡し、カレーに期待してみる
「次はカレー」という言葉に惹かれ、ちょっと早めの3日前に連絡をしてみました。電話口の「お腹を空かせておいで!」の言葉に従い、訪問当日は朝から固形物を腹に入れずに臨みましたよ。
お通しは煮物、そしてほかのお料理を待つまでの点心が目の前に。この日はエビシュウマイと小籠包2つずつでした。
「点心爛漫」における貴重な点心ステージですから、味わって、いただきます。それに、空腹に負けて急ピッチで食べてしまうと、あとのカレーがとんでもないことになりますのでね!
カレーに至るまでの次なる1歩は、
ホタルイカの酢味噌和え。きゅうりも美しい!
完全に「和」の道を歩み始めました。よし、ここからが本番だ!
続きましては
ぶり大根。
カマがどーんと盛られています。魚の目玉好きにはたまらないごちそう!ぶりがおいしいのは言わずもがな、大根のとろとろ具合も絶品です。舌と上顎でほんの少しプレスしただけで潰れていってしまいます。飲める。
ここでいったん、焼餃子を挟みました。ぱりぱりの羽根つき円盤餃子・・・このお店の名前が「点心爛漫」であることを思い出させてくれるステージ。これがまた毎度本当にウマイんだ。
そこに現れたニューフェイスが、こちら。
とり皮串です。
ご主人はとり皮が好物だそうで、自らのまかないとして召し上がっているのだとか。それを分けてくれました。塩味が効いていてツマミに最高!
ここまでで十二分に満足してしまっているのですが、満足度をさらなる高みへと導いてくれるメインディッシュがいよいよ登場します。
そう、もちろん、予告通りの、
スペアリブ入り野菜ごろごろカレー。
「カレーを入れる器がない」と言って、どんぶりに盛ってくださいました。そりゃ、カレー皿はないでしょう。中華料理のお店だもの。
〆にふさわしい、さらっとしたルーは甘み控えめ、スパイスの効いた味。野菜の甘みが引き立ちます。特にニンジンの甘さとやわらかさに感激。ジャガイモはホクホク系よりも水分多めのネットリ系が好みなのですが、まさにその食感!これまた感激です。
肝心のスペアリブは、よーく煮込まれているので骨以外きれいにいただけました。
さらにゆで卵まで入っていて、彦摩呂さんじゃなくても「玉手箱」と称したくなる逸品です。
黙々と食べ進めていると、ご主人から提案が。
「ごはんがないから、代わりに肉まんでも食べる?」
このタイミングで、立派な肉まん。カレーライスにおけるライスの代わりに、これをカレーにつけて食べてみてはどうかという提案だったのです。これは点心への冒涜にあたらないかしら・・・。
不安になりつつも、差し出されるやいなや、すぐ実践。
カレーwith肉まん。
巷のコンビニエンスストアand so onで大人気の商品「カレーまん」、その中身と外身が逆になっちゃっただけですからね。おいしいに決まっています。うまいうまいと完食に向けてひた走りながら、私は気づきました。
そうか、これが「中華料理店のカレー」だったのか、と…!!!
ここが「点心爛漫」というお店であることを思い出させてくれるスペシャルコース、たっぷり堪能させていただきました。
「おまかせコース」の今後はどうなる
初訪問から1ヶ月間、あまりにもおいしくて楽しくて居心地がよいものだから、結局毎週通ってしまった「点心爛漫」。
行けば行くほど、おまかせコースの点心率が下がっていっている気がします。
それもそのはず、実はご主人は和食料理店の板前さんだったのです。昨年、体調を崩されたことを機に休業。今年に入ってから、平日の夜間帯だけ「点心爛漫」の厨房に立っているのだそう。土日祝日はオーナーさんが厨房に入って点心中心の中華料理を提供されているので、今日レポートした「おまかせコース」は平日夜しかありつけません。
オーナーさんから「好きなように厨房を使ってください」と伝えられているそうですが、まさかご主人がぶり大根やカレー(with肉まん)が振る舞っているとは、オーナーさんも驚かれることでしょう・・・。
さて、今後の「おまかせコース」はどんな道を辿っていくのか!これからも通い続け、五感で確かめたいと思います。
紹介したお店
点心爛漫
TEL:03-3844-5739
住所:東京都台東区西浅草2-17-2
営業時間:平日 17時ごろから(閉店時間はその日の状況次第)/土日祝 11時ごろから(閉店時間はその日の状況次第。21時ごろまでは少なくとも営業されているそうです)
※「おまかせコース」は平日限定メニューです。土日祝のメニューとは異なるのでご注意を!
※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。
著者プロフィール
85年生まれのアラサー銀座OL。今のところ独女です。人生の楽しみは食べること。”食べものエッセイスト”を自称し、ブログ「言いたいことやまやまです」にて食べもの関連記事を公開中。好物はスーパーの総菜コーナーの白身魚フライと、料理の汁に浸した白米ORパン。お酒はハイボール&焼酎派です。
ブログ:言いたいことやまやまです
Twitter:@やまま